「たいして寒がりではないのに手足の先はいつも冷たい」「普段から寒がりで、冷えると疲れやすい」「風邪を頻繁にひく」という悩みはありませんか。
これらは「冷え症」の症状の一部ですが、「ストレス」や「筋肉量が少ない」など原因が異なり、それぞれに適した改善方法があります。
今回は現代医学に漢方を取り入れた診療を行っている、医師の橋口先生が診療を行った2人のケースから、それぞれのタイプの冷え症改善方法を紹介します。
寒がりではないのに手足の先だけ冷える「ストレス型冷え症」
仕事のストレスから体調を崩して受診され、だいぶ良くなったAさん(30代女性)から先日こんな質問が。
「実は前から冷え症で養命酒を飲もうかと思うのですが、処方薬と併用して大丈夫でしょうか。」※
頑張り過ぎて体調を崩したAさんの冷えは「寒がりではないが手足の先だけ冷える」というタイプ。若い女性に多いタイプの冷え症です。
緊張や気合の入った状態では交感神経の緊張から、手足の末梢血管が収縮するので手足が冷たくなります。
※少量のアルコールの飲用が止められていなければ、「薬用養命酒」の服用から30分以上時間をおけば、併用しても差し支えありません。薬用養命酒の飲み方について、詳しくはこちらをご覧下さい。
「薬用養命酒」に関するよくあるお問い合わせ
ストレス型冷え症におすすめの漢方、薬酒
このタイプの冷え症の改善ポイントは副交感神経を優勢にすること。心身両面でリラックスすると手足が温かくなるだけでなく、合併しやすい肩こりや、こりからくる緊張型頭痛も改善します。
漢方では、ストレスを感じている状態では「気」の巡りが悪くなり、気が末端まで届かなくなるので手足が冷えると考えられています。そのため漢方は、気の巡りをよくする生薬と精神的にほっとする効果のある生薬を含む「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」などがよいでしょう。
また、薬酒では「ハーブの恵み」がおすすめです。クロモジ、カルダモンなどの気の巡りをよくする東洋ハーブと、ナツメ、リュウガン、ネムノキなどのほっとする効果のある東洋ハーブが含まれています。
全身が冷えやすい「筋肉量が少ないタイプの冷え症」
同じく30代の女性Bさんは子どものころから寒がりで冷えると疲れやすく、風邪も頻繁にひくといって受診されました。
食も細く華奢(きゃしゃ)で筋肉量の少ない方。食事からエネルギーを得て体内(主に筋肉)で熱を産生する力が乏しいタイプの冷え症でした。
筋肉量が少ないタイプの冷え症におすすめの漢方、薬酒
Bさんは精神的にも疲れやすいため、ほっとする作用や、気を補って体を温める効果がある生薬を含む「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」という漢方を処方。すると、冷房にも強くなり風邪もひきにくくなって体重も少し増えました。
加齢とともに生命力を司る「腎」の力が落ちることもあるので、その場合Bさん同様の冷え症が起こります。薬酒では「薬用養命酒」が向くタイプです。
アルコールが苦手な人におすすめの薬酒の飲み方
アルコールに弱い方が薬酒を用いる場合は、少量の熱湯に1回分の薬酒を入れ冷めるまで置き、ある程度アルコールが揮発してから飲むようにしましょう。
薬酒だけではなく、体を温める作用やリラックス作用があるハーブティーもおすすめです。ジャーマンカモミールやリンデンをハーブティーにして飲むことで、各ハーブの持つ鎮静作用や健胃作用などの効果もあわせて得られますよ。
自分がどちらの冷え症タイプか詳しくチェックするには、以下の記事を参考にしてみてください。
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この方にお話を伺いました
緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。