春は目覚まし時計が鳴ってもボーっとしたり、ウトウトしてしまったりしませんか。
春先から初夏にかけては「陽気病み」とか「木の芽時病」と言われるような、何となくけだるくてシャキッとしない不調も多い時期です。
体内時計のメカニズム
「春眠暁を覚えず」のメカニズムを考えてみました。
体内時計のマスタークロックは脳の視床下部の視交叉上核というところにあり、光刺激とメラトニンと呼ばれるホルモンが連動して睡眠と覚醒をコントロールしています。夜暗くなると松果体というところからメラトニンが分泌されて眠くなり、朝、光を浴びるとメラトニンの血中濃度が下がり、活動に向いた交感神経が優勢な状態に切り替わるのです。
自律神経の中枢も視床下部にあって体内時計と連動しています。
ヒトの体内時計は24時間より少し長いのですが、朝日を浴びることで体内時計をリセットしているのですね。
春は朝に副交感神経から交感神経優位な状態に切り替わりにくいのが「春眠、暁を覚えず」の理由だと考えられます。
ちなみに冬は朝、明るくなるのが遅いので体内時計も遅れがち。春よりも冬のほうが朝起きにくくなってもおかしくありませんが、寒い時期は目覚まし時計でいったん目覚めると、寒さで交感神経が刺激されて起きてしまうのかもしれませんね。
すっきり起きるためのセルフケア
朝の眠気やだるさの解消には香りの力が役立ちます。ベッドサイドに覚醒効果のあるローズマリーのアロマスプレーを用意し、寝起きにひと吹き。朝食にはペパーミント+レモングラスのハーブティーを飲んで、交感神経への切り替わりを促しましょう。
ローズマリーのアロマスプレーの作り方)無水エタノール10ml、精製水20m、精油6~7滴をスプレー容器に入れ、よく振ってから使用する。
2週間に1回は寝不足のツケを取り戻して
日本人には寝不足の人がとても多いので、春に限らず寝起きが悪い人も多いはず。寝だめはできませんが、寝不足のツケを返すことはできます。
少なくとも2週間に1回は長く寝る日を作りましょう。その際、起きる時刻が遅くなりすぎると体内時計が狂うので、早く寝て長く寝るか、いつも通りに起きて昼過ぎくらいまでの早い時間帯にもう一度寝るのがお薦めです。
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この方にお話を伺いました
緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。