熱中症はスポーツなど屋外活動で起こるものだと思っていませんか。
室内の生活中心で運動の習慣がない人は暑さへの慣れ(順化)ができていないことが多く、お風呂掃除や締め切った倉庫内での作業のあとや、蒸し暑い熱帯夜などに熱中症になることがあります。
屋内で病院に搬送されるような重症(Ⅲ度)の熱中症に陥るのは、高齢者や乳幼児以外では稀ですが、軽い症状は決して珍しくありません。
めまいや立ちくらみなどの症状、実は熱中症のサインかも!?
「熱失神」と呼ばれるめまいや立ちくらみ、「熱痙攣」と呼ばれる筋肉のこむら返り、大量の発汗などは軽症(Ⅰ度)の熱中症のサイン。
体がぐったりして力が入らず頭痛や吐き気があれば中等症(Ⅱ度)の「熱疲労」と呼ばれる状態です。他人事だと思わず体調管理に気をつけましょう。
屋内でも上記のめまいや立ちくらみなどの症状が現れたら、これから紹介する対策のポイントを参考に安静にしてくださいね。
熱中症対策のポイント!
熱中症対策のポイントは、「環境管理」と「体調管理」です。
ここでは、屋内での気温・湿度管理のポイントと、熱中症になりにくい体調管理のポイントの2つをご紹介します。
熱中症になりづらい環境を整える
熱中症を引き起こす環境要因としては気温、湿度に加えて風があるかないかが重要。クーラーと扇風機を上手に使いましょう。
クーラーを使うときは、屋外の気温と室温の差が大きくなり過ぎないよう、設定温度は25~28℃にして、扇風機で緩やかに風を送りましょう。
また、日中は陽射しをカーテンなどで遮るのも重要。夜間は扇風機の風が体に直接当たらない向きにしたほうがだるくなりませんよ。
体調管理は食事・水分・睡眠がカギ
体調管理のポイントは、食事と水分を十分にとることと、睡眠不足を避けることです。3食とっていれば大汗をかく作業や運動のとき以外、水分補給だけで塩分の追加は不要です。
アルコールやカフェイン飲料には利尿作用があるので水分補給には不向き。二日酔いで朝食がとれず寝不足という状態は熱中症のリスクが非常に高い状態なので注意しましょう。
夏の体は、外気の暑さや冷房の冷えに順応するために、多くの活動エネルギーを消耗しています。
普段は朝食を抜いてしまうという方はおにぎりやバナナなど簡単なものでも、できるだけ朝食を取り睡眠時間も確保するように意識しましょう。
暑い夏こそ要注意! クーラーが原因の冷え
熱中症以外に「冷房病」も夏の重要な体調悪化の要因。冷気は下にたまるので室温設定25℃でもデスクワークが多い方や女性は、ひざ掛けが必要な場合もあるでしょう。じっと動かないことで下半身の冷えを悪化させてしまいます。
足首の屈伸運動ならデスクでもできます。できれば時々歩き回って膝の屈伸をすると、足のむくみ、だるさを軽減できるのでおすすめです。
1日1回15分でいいので運動や半身浴で積極的に汗をかくと冷房病と熱中症の予防に役立ちます。
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この方にお話を伺いました
緑蔭診療所・医師 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)
1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。