食欲が止まらないのはなぜ?原因と食欲を抑えるツボなど5つの対処法
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食欲が止まらないのはなぜ?原因と食欲を抑えるツボなど5つの対処法

お腹がいっぱいになるはずの量を食べたのに食欲が止まらない、ということはありませんか?

食欲が止まらない原因は、主にストレスや体調、環境などに問題がある場合がほとんど。食欲が止まらないからと食べ続けると、心身に負担がかかり、脂質異常症や便通異常症などさまざまな病気を引き起こすことがあります。

食欲が止まらない3つの原因と、それによって生じやすい病気について知っておきましょう。「食欲を抑えるツボ」など5つの対処法もご紹介します。

〔目次〕
食欲が止まらないのはなぜ? 考えられる3つの原因
食欲が止まらないと病気になるリスクも
すぐにできる! 食欲が止まらないときの対処法5選
食欲が止まらない原因を知って適切な対処法を

食欲が止まらないのはなぜ? 考えられる3つの原因

ピザ

止まらない食欲の原因には、「ストレス」「月経前」「睡眠不足」などが挙げられます。まずは食欲が止まらない原因を探っていきましょう。

食欲が止まらない原因1:ストレス

トラブルや心配ごとによって食欲がなくなることはありませんか? そのストレスが落ち着いてほっとすると、今度は食欲が増加することも。

ストレスによる食欲の増減には、自律神経の働きが影響しています。

急な強いストレスを感じると、体は危機が起こったと考え、体全体で連携して危機に対応しようとします。体内でストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が分泌され、自律神経では交感神経の働きが活発に。交感神経は心身の活動を高め、体をいわば「戦うため」にシフトチェンジさせるもの。「戦いの時は食べている場合じゃない!」と体が判断し、食欲が失われるのです。

そして、ストレスが落ち着いてほっとすると、脳の神経系に働きかけて快感をもたらす「ドーパミン」というホルモンが分泌されます。このドーパミンが過剰に分泌されると、今度は食欲が増してしまうのです。

また、不快なストレスが漫然と続くと、コルチゾールが分泌され続けたり、ドーパミンが過剰に分泌されたりして、自律神経の働きも乱れてしまいます。このような状態を、漢方では「中庸がずれている」と捉えます。「中庸」とは過不足なく偏りのない状態のこと。

たとえば「食事はしているのに、普段は食べていないジャンクフードも食べたくなってしまう」といった食欲の変化がみられた場合は、ストレスがかかっているという体からのサインとして受け止めましょう。

食欲が止まらない原因2:月経前

食欲と女性ホルモンの増減グラフ

女性の場合、月経前はイライラしてつい食べ過ぎてしまうことも。これには、女性ホルモンの働きが関係しています。

排卵~月経前にかけて、分泌が増える女性ホルモン「プロゲステロン」。妊娠を成立・継続させるためのホルモンで、これの分泌量が増えると、むくみや眠気が生じるほか、食欲の増加が見られます。

また、プロゲステロンの増加で血糖値の急上昇や急下降が起こりやすくなるため、満腹だと感じても食べ続けてしまうことが。

さらに、月経前は増加するプロゲステロンと入れ替わるように「エストロゲン」の分泌量が減ります。それと連動して減少するのが幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」。セロトニンが不足すると、精神が不安定になり、満足感が得られず食欲にブレーキがかかりにくくなります。

この女性ホルモンの影響による食欲の変化は、月経が始まると自然におさまるケースがほとんど。体重が増えても月経時に減少するので、「月経がそろそろくるのかな」と月経のくるサインと受け止めましょう。

食欲が止まらない原因3:睡眠不足

夜遅くに疲れて帰宅し、早く寝たいのについ食べ物に手が伸びてしまう...。その原因は睡眠不足かもしれません。さまざまな調査で、睡眠不足が体を食欲増進に向かわせることがわかっています。

たとえば、米スタンフォード大学が30歳から60歳の男女約1,000人を対象に行った疫学調査。5時間の睡眠をとった人は8時間の睡眠をとった人に比べて、食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌が約15%増加し、逆に食欲を抑制するホルモン「レプチン」は約16%減少していたことが明らかになりました。

米コロンビア大学の研究でも、睡眠時間が4時間以下の人と7~9時間の人を比べると、4時間以下の人の肥満率が73%高いという結果が得られています。

また、漢方では健康な体に必要な要素は「気」「血」「水」の3つであると考えますが、このうち生命エネルギーである「気」を補うのは睡眠と食事だけ。そのため、睡眠が不足すると体は足りない分を食事で補おうとします。このことからも、睡眠不足が食欲増加に影響すると考えられます。

食欲が止まらないと病気になるリスクも

聴診器

食欲が止まらず食べ続けてしまうことは心身に負担をかけます。その結果、体重増加だけでなくさまざまな不調の原因に。ここでは、過食によって生じるリスクを4つご紹介します。

脂質異常症・糖尿病・動脈硬化

特に女性の場合、食欲のおもむくままに食べてしまうと、短い期間で悪玉コレステロールや中性脂肪、血糖の値が急激に上昇します。これにより、脂質異常症や糖尿病の発症リスクが高まります。さらに更年期の女性は動脈硬化のリスクも。

食欲が止まらない原因が睡眠不足の場合は要注意。脂質代謝を促し、中性脂肪の分解を助ける成長ホルモンは、就寝後1時間以上経った後の深い睡眠のときに分泌されます。そのため、十分に眠れないとこの働きが正常に行われず、脂質異常症のリスクが高まる恐れがあります。

便通異常・機能性ディスペプシア

慢性的なストレスが原因で食欲が増している場合、そのストレスが精神面での負担になり、便秘や下痢が続く過敏性腸症候群といった便通異常につながる恐れがあります。

また、検査で異常が見つからないのに胃の痛みやもたれが慢性的に続く「機能性ディスペプシア」を引き起こす可能性も。

摂食障害

「食欲をコントロールできない」「体重が増えてしまった」という変化が、自己嫌悪や罪悪感をもたらすと、短時間で大量に食べた後に嘔吐や下剤で対処する「神経性過食症」などの摂食障害を起こす場合があります。

摂食障害がさらなる合併症を招くこともあるので注意が必要です。

逆流性食道炎

眠る時間になっても食べ続け、食べてすぐに横になってしまうと「逆流性食道炎」になるリスクが。胃から逆流した胃酸が食道の粘膜に炎症を起こす逆流性食道炎は、過食気味の人に多い傾向があります。

食後1~2時間は横にならないようにしましょう。

すぐにできる! 食欲が止まらないときの対処法5選

どうしても食欲が止まらないときに実践したい5つの対処法をご紹介します。どれも手軽に取り入れられるものなので、ぜひ試してみてください。

ツボを押す

ツボには食欲のコントロールに関わるものがあります。食欲が止まらないと思ったらこれらのツボを押してみるのも一案。

あわせて、食欲増加の原因になっているストレスや睡眠不足を改善するツボもチェックしましょう。

〔ツボの基本的な押し方〕
ツボに指を当て3段階で徐々に力を加えて押していく。
そのまま痛気持ちいいくらいの強さで5秒くらい押す。
3段階で徐々に力を抜いていく。
1~3を5回程度繰り返す。

食欲を抑えるツボ

食欲を抑えるツボ

食欲が止まらないときに押したいツボは「神門(しんもん)」「胃点(いてん)」「飢点(きてん)」の3つ。

〔食欲を抑えるツボ3選〕
神門 ...... 耳の上のくぼみの際にあり、ストレスを和らげ自律神経を整える
胃点 ...... 耳の穴の入り口付近にあり、食欲を調整する
飢点 ...... 耳の前にある小さな突起の付け根部分のくぼみにあり、食を抑える

ストレスに効くツボ「太衝(たいしょう)」

ストレスに効くツボ

食欲増加の原因がストレスによる自律神経の乱れにある場合は、足の甲にある「太衝(たいしょう)」を押してみましょう。

漢方の五臓のうち自律神経に関与する「肝」を整えるツボで、足の親指と人差し指の間の、骨と骨とが交わる指側のくぼみにあります。

睡眠不足のときに押したいツボ「失眠(しつみん)」

睡眠不足のときに押したいツボ

眠れないときにおすすめのツボが「失眠(しつみん)」です。

かかとの中央にあり、高ぶった神経を落ち着かせて眠気を誘います。

酸味をとる

甘い物が止められないときは、甘味を抑制する働きがある酸味を取りましょう。

甘い物にはリラックス効果があり、一時的にストレスを和らげます。そのため、イライラしていると甘い物を食べたくなりますが、食べ過ぎはNG。甘い物を食べ続けてしまう場合は、梅干しやグレープフルーツ、酢の物を食べるか、黒酢をお湯で薄めて飲むのがおすすめです。

運動でストレスを発散する

運動でストレスを発散する

ストレスとは病気を起こす悪い気「邪気」のようなもの。体を動かせば、汗と一緒にストレスを体の外に発散できます。また、ほどよい疲労感を得られると睡眠の質も向上するので、睡眠不足の改善にも役立つでしょう。

ストレスの発散と睡眠不足の改善ができれば、食欲もおさまるはず。

ただし、心身のエネルギーが不足している時は運動がストレスとなり、逆に食欲を増してしまうことも。疲れを感じているときや、いつもできていることがスムーズできないときは睡眠で「気」を補うようにしましょう。

よく噛んで食べる

いわゆる「早食い」をすると満腹中枢が働く前に食べ終わるため、食べる量が多くなりがちに。スマホやテレビを見ながらの「ながら食べ」をせず、食べることに集中して、味や香りを楽しみながらゆっくり食べましょう。

また、噛むことで脳内の満腹中枢を刺激する「ヒスタミン」が分泌され食欲が抑えられます。1口30回を目標によく噛んで食べるとよいでしょう。

欲は欲で制す

伸び

食欲と睡眠欲は脳の近い場所でコントロールされています。そのため、充分な睡眠で脳の欲求不満を満たすと、食欲を和らげられます。

質の良い睡眠をとるために、交感神経から副交感神経への切り替えに役立つ香りを使うのもよいでしょう。チンピやネロリ、ラベンダー、マジョラムスイート、カモミールローマンなどリラックス効果の高い香りを入浴時や睡眠前に嗅いでみてください。

また、誰かを好きになったり、お気に入りの芸能人がいたり、習いごとを始めたりなど、何か夢中になることが見つかると、欲が満たされて食欲が落ち着くことも。「あれもダメこれもダメ」とするのではなく「欲は欲で制す」も意識してみてください。

食欲が止まらない原因を知って適切な対処法を

食べることは決して悪いことではありません。味や香り、見た目や食感を楽しむことで五感を刺激できるので、心身のバランスをとるためにはとてもいいこと。

そのため、食欲が止まらないときは「我慢が足りない」と自分を責めるのではなく、心身のバランスが乱れているサインだと受け止めて。その原因を知ってどのように対処するかを考えるのが大切です。

原因や自分に合った対処法が分からない場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。

この方にお話を伺いました

東京女子医科大学東洋医学研究所所長・教授 木村 容子 (きむら ようこ)

木村 容子

医学博士。日本内科学会認定医・指導医・理事。著書は『太りやすく、痩せにくくなったら読む本~医師が教えるほんとうのダイエット~』(大和書房)など多数。

※この記事の情報は、木村容子『太りやすく、痩せにくくなったら読む本』(大和書房・文庫)、木村容子『女40歳からの「不調」を感じたら読む本』『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社)、木村容子『ストレス不調を自分でスッキリ解消する本』(さくら舎)を参考に執筆しています。

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