血液には体を温める役割があるため、血行不良は冷え性(冷え症)の原因になります。血流を改善し、冷え解消に役立つのがストレッチ。温め効果の高いお風呂の中でのストレッチや自宅で手軽に実践できる体操を紹介します。
冷え性(冷え症)は血行不良が原因?
恒温動物である人間の体は、体内温度を37℃に保つ一定の働きがあります。体温調節は3段階で体温調節が行われ、これらすべての調節にかかわる自律神経が乱れると、血流が滞り、体温調節機能の低下を招いて冷えの原因になります。
- 〔3段階で行われる体温の調節〕
- 熱の産生:熱は主に筋肉、内臓、脳などの活動の他、食事の摂取、一部の脂肪組織などによってつくられます。
- 熱の移動:温められた血液により、熱は心臓から血管を通して体のすみずみにまで供給されます。
- 熱の放散:体温の過度な上昇を防ぐため、発汗や皮膚血管の拡張によって余った熱を体外に放出します。
冷えの多くは、適度に体を動かすことで、滞っていた血液の流れが促され、改善されていくことがわかっています。体を動かすのが難しい場合は入浴も有効です。
冷えを引き起こす原因について、さらに詳しくは以下の記事で解説しています。併せてご一読ください。
手足以外も! 3つの冷え性(冷え症)タイプ
冷え性は冷えの感じ方や起こりがちな不調によって、大きく3つのタイプに分けられます。
- 全身冷えタイプ
体を温めるエネルギーが不足して全身に熱が届かない - 末端冷えタイプ
酸素や栄養を運んでくれる血液が足りず体をすみずみまで温められない - 内臓冷えタイプ
体に水がたまりがちで水はけの悪さが原因で冷えている
以下のページで冷え性タイプ診断ができます。特徴や改善策を確認してみましょう。
冷え性(冷え症)改善におすすめのストレッチ8選
お風呂ストレッチ
温かい湯船に入りながらストレッチを行うことで、血流を促す効果がアップし、副交感神経の働きを高める効果もあります。
ストレッチを行う前に肩まで湯に浸かり(全身浴)、約1分間リラックスしたら湯量を減らして半身浴に調整します。「お風呂ストレッチ」を行う際はできるだけ骨盤を立て、体の軸を真っ直ぐにすることで、運動の効果がさらに高まります。
歌舞伎回しストレッチ
- 〔歌舞伎回しストレッチのやり方〕
- 両足を軽く開いて座り、両腕を胸の前の位置に伸ばします。腕が下がらないように手首を交差させます。
- 首を時計回りにできるだけゆっくり回しましょう。同様に反時計周りに。左右10回ずつ行います。
後ろ手ひねりストレッチ
- 〔後ろ手ひねりストレッチのやり方〕
- 両足を軽く開いて座り、両腕を後ろに回して右手で左手首をつかみます。右手で左手を引っ張り、上半身を左にゆっくりとひねります。
- 上半身を元に戻し、左右の手を入れ替えて、同様に上半身を右にゆっくりとひねりましょう。左右10回ずつ行います。
足こぎストレッチ
- 〔足こぎストレッチのやり方〕
- 両足をそろえて座り、左右の足の親指を軽く重ねます。足をハの字にすると膝に負担がかかるので、できるだけ足先は真っ直ぐに。
- 両足を交互にゆっくりと曲げたり伸ばしたりします。両足の先がそろう度に、親指を軽く重ねることを意識しましょう。左右それぞれ5回ずつ行います。
寝起きのウォーミングアップ体操
寝起きは体がかたくなっています。血行を促し、筋肉を少しずつほぐすウォーミングアップ体操で1日を始めましょう。
プルプル体操
- 〔プルプル体操のやり方〕
- 仰向けに寝たまま胸の前で合掌し、両足をまっすぐそろえて、掛け布団を太ももにはさみます。
- その姿勢のまま、両ひじに軽く力を入れて手のひらをグーっと押し合い、同時に太ももにも軽く力を入れてはさんだ布団をギューッと圧迫します。
- 30秒~1分ほどして手や足がプルプル震えてきたら力を抜きます。
首ひねり体操
- 〔首ひねり体操のやり方〕
- 仰向けに寝たまま、左手で右側頭部をゆっくりと左側に押していき、少し「痛気持ちいい」と感じるところで止めて一呼吸したら元に戻します。
- 反対側も同じようにひねります。左右差があるので、気持ちいいと感じたら少し長めに押しましょう。
風船体操
- 〔風船体操のやり方〕
- 仰向けに寝たままひざを立てて両手をお腹に当て、3秒間かけて鼻から息を一気に吸い、風船をフゥーっとふくらませるようなイメージでお腹をふくらませます。
- 腹圧がグーっと高まるのを感じたら、風船の空気がシューっと抜けていくようなイメージで鼻もしくは口から約10秒間かけて息を細く長く吐いてください。1~2の呼吸を5~20回行います。
すき間時間にできる温め法
血流をよくする動きを2つ紹介します。1つ目の「骨盤体操」はお腹の血行改善に、2つ目の「鷲(わし)のポーズ」は肩甲骨の可動域を広くしながら、ふくらはぎの筋肉を鍛えていきます。
骨盤体操
- 〔骨盤体操のやり方〕
- 足を肩幅に開きます。両手で両ひざをつかんで軽く膝を曲げて腰を落とします。
- 手を膝に置いたまま、左後方、右方向へゆっくり体をひねります。
- ひねりやすかった方向へ4~5回ひねります。すると骨盤のゆがみが改善され、ひねりにくかった方向へもひねりやすくなります。1日1回行いましょう。
鷲のポーズ(ガルーダーサナ)
- 〔鷲のポーズのやり方〕
- 足をそろえて真っ直ぐに立ちます。やや膝を曲げ、右足でバランスをとりながら、左腿を右腿の上に重ね、足の甲を右ふくらはぎの下の方へからめます。
- 息を吸って、吐きながら軸足をさらに深く曲げて重心を真っ直ぐ下に降ろします。
- 両腕を真っ直ぐ前に伸ばして床と平行にし、肩甲骨を左右に広げます。体の前で右腕が上になるように腕を交差させて、肘を曲げ、右肘を左腕に密着させ、左腕が床に対して直角になるようにして両手のひらを合わせます。余裕があれば手のひらは強く押し合わせましょう。
- 肘は落ちないようにして、指先をまっすぐ天井のほうへ向けて伸ばしましょう。 吐く息で上体を前に倒します。
- 呼吸を止めずに15〜30秒ポーズを維持します。腕と脚を反対にして繰り返します。
鷲のポーズ(座って行う場合)
- 〔座って行う鷲のポーズのやり方〕
- 椅子に浅く腰掛け、右足を左足の上に重ね、右足を左ふくらはぎに絡ませます。
- 「鷲のポーズ」の要領で、右腕を下にして左腕を交差させ、肘を曲げて両手のひらを合わせます。腕と足を反対にして繰り返します。
血行改善につながるツボ押しやマッサージ、熱をつくるのに必要な筋トレは以下の記事で詳しく紹介しています。ストレッチと併せて実践してみてはいかがでしょうか。