東洋医学には、舌の色と形、舌苔(ぜったい)、舌裏の血管を見て体調を知る「舌診(ぜっしん)」という診断方法があります。
粘膜で覆われ多くの血管が集まる「舌」は、血液や体液の状態が反映されやすい部位。そのため、体質や内臓の様子を映し出す"鏡"ともいわれます。
いつもと比べて変化があるときは不調のサイン。毎朝鏡で自分の舌を確認し、健康状態をチェックしましょう。
健康な舌の特徴
健康な舌は、ピンク色で白く薄い舌苔があります。
舌診断でわかる4つの不調タイプ&改善法
舌の状態は、主に水分不足、体の巡り悪化、元気喪失、栄養偏りの4つのタイプに分けられます。
舌苔が黄色い
舌が赤い、舌苔が少ない、舌の表面に亀裂があるなどの症状が見られる人は水分不足タイプ。
口や喉が渇き、ほてりを感じることがありませんか? がぶ飲みは体の負担になるので、少しずつ口に入れるちょこちょこ飲みで、こまめに水分補給をしましょう。夏は、熱中症を防ぐためにも梅茶や昆布茶など塩分を含む飲み物が◎
また、脂っこいものや揚げ物は控えめにし、お腹にやさしいもので体調を整えましょう。
舌が紫暗色
舌に紫暗色の斑点がある、舌の裏にある血管が太く目立っている人は、血管が滞った状態。
手足の冷えやむくみなどが現れやすくなっていませんか? 入浴や半身浴で汗をかき、その後はしっかり水分補給をしましょう。
ぬるめの湯に入ると自律神経も整い、体の巡りがよりスムーズに。
巡りをよくするツボもおすすめです。
舌が白っぽい
舌が白く形が変化している、舌苔が湿っている人は、水分不足タイプなど3タイプが悪化し、何もしなくてもだるい状態になっています。
弱った体力と気力を回復させるには、質のよい睡眠が大切。30分以内で「気分がすっきりする」程度の昼寝もおすすめです。
食べ物はエネルギーを補う、山いもなどのイモ類、枝豆などの豆類を積極的に食べましょう。サバなどの青魚も血を補い、体を元気にしてくれます。
舌苔が湿っぽい
舌がピンク色で腫れぼったい、舌苔が白く湿っている、舌の縁に歯形がついている人は栄養が偏っているかも。
胃腸が弱った状態。食欲減退、栄養不足で体力が低下しがちです。食べ過ぎや飲み過ぎが原因となることもあります。
できるだけ冷たい物より温かい物をとるようにして胃腸を休ませましょう。また、適度な運動や入浴で、代謝・血行を促進して余分な水分を体の外へ出すことも大切です。
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この方にお話を伺いました
東京女子医科大学東洋医学研究所所長・教授 木村 容子 (きむら ようこ)
医学博士。日本内科学会認定医・指導医・理事。著書は『太りやすく、痩せにくくなったら読む本~医師が教えるほんとうのダイエット~』(大和書房)など多数。