パクチーの育て方・栽培方法!種まき時期や長く収穫するコツも
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パクチーの育て方・栽培方法!種まき時期や長く収穫するコツも

パクチー(コリアンダー)は育て方が比較的難しくないことから、家庭菜園におすすめのハーブです。種まきのコツや注意点など、主に種からプランターでパクチーを栽培する方法をまとめました。原産地や英語での呼び方などパクチー豆知識も併せて紹介します。

〔目次〕
パクチーの特徴・原産地は?
パクチー栽培に準備するもの
パクチーの育て方と栽培のポイント
パクチーの栽培環境におけるコツ
パクチーの育て方Q&A

パクチーの特徴・原産地は?

パクチーの特徴・原産地

パクチーは地中海沿岸を原産とするセリ科の1年草。葉から根、果実(種子)まで、すべて余すことなく活用でき、古代より薬用ハーブとして利用されてきました。全草に独特な香りがあり、アジア・エスニック料理にアクセントを添えます。また、完熟果(コリアンダーシード)は、ほんのりと甘く柑橘系の爽やかな香りが楽しめ、ビールやカレーなどの風味づけに用いられます。

パクチーとコリアンダーの違いは?

「パクチー」という名称はタイ語で、英語では「コリアンダー」ですが、米国ではヒスパニック料理に使われることからスペイン語の「シラントロ」と呼ばれ、中国語では「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれます。

日本には平安時代に渡来して「コスイ(胡荽)」、「コニシ(古仁之)」と呼ばれていたほか、南蛮貿易以降はポルトガル語が訛って「コエンドロ」、香りから「カメムシソウ(椿象草)」などと呼ばれていました。現在、農水省では「コウサイ」と呼んでいますが、一般には「パクチー」または「コリアンダー」の名で親しまれています。

エスニック料理に葉や根を使う場合には「パクチー」、完熟果をスパイスとして利用する場合には「コリアンダーシード」と呼ばれることが多いかもしれません。

コリアンダーシードは果実? 種?

一般に「コリアンダーシード」と呼ばれているところは植物学的には果実で、果肉が多汁に発達しないので、痩せこけた果実の意味で「痩果(そうか)」に分類されます。セリ科のシード(種)は皆、痩果で、他にキク科やシソ科も痩果です。

果実をむくと中に種子がありますが、果実と種子の分離は難しく、果実のまま種子と呼ばれ扱われています。コリアンダーの場合、丸い1粒の果実は2つに分離することができ、それぞれの半球に1個ずつの種子が入っています。

パクチー栽培に準備するもの

パクチー栽培 準備

パクチーは丈夫で育てやすく、育った葉をその都度摘み取って収穫する楽しみがあります。1年草なので、春に花茎が伸びて花が咲き夏に果実(種子)を作ると枯れてしまいますが、結実した果実(種子)を収穫して秋に種をまけば、また楽しむことができ、家庭菜園にもおすすめです。

まずは種まきから始める育て方を、比較的チャレンジしやすいプランターでの栽培方法で紹介します。準備するものは以下の通りです。

1:パクチーの種(本来は果実ですが、以下「種」と記します)

初めて栽培にチャレンジする場合は、園芸店やホームセンター、通販サイトで種を入手します。「コリアンダー」の名で売られている場合もあるので、よく確認しましょう。パクチーの風味をマイルドに改良された品種もあります。育てている知り合いから種を分けてもらっても楽しいですね。

種から栽培する場合、下準備が重要です。パクチーの種は果皮(硬い殻)で覆われているため、あらかじめコップなどの硬いものを当てて転がし、果実を半分に割ってまきます。果実を割るときは、押しつぶして中の種を傷つけないように気をつけましょう。丸いまままくと、一粒から2本芽が出ますのでその場合は2本とも育ててください。

2:プランター

プランター

プランター栽培は、直射日光や雨風を避けたり、風通しのよい場所に移したりと、環境に応じて移動できる点がメリットです。プラスチック製だと軽くて移動しやすく、重宝します。

目安としては、60cm幅のプランターであれば最終的に種とり用に3~4株。1株にする場合は、直径15cmほどの鉢を用意しましょう。

3:培養土

土は、園芸店やホームセンターで販売されている培養土が便利です。生育に適した土にブレンドされており、植える際に肥料もいりません。パクチーの場合、ハーブ用、野菜用のどちらも利用できます。

古い土を使う場合は、2週間くらい前に牛糞などの堆肥を少し加えておきましょう。

4:プランターに土を入れる

プランターには、まず、水やりの際の土の流出を防ぐため、ふるいにかけた園芸培養土の大粒の土や赤玉土の大粒などを薄く敷き、その上に培養土を入れます。ウォータースペースになるよう、上辺の縁から2~3cmほど空けておきます。

パクチーの育て方と栽培のポイント

パクチー 育て方 栽培ポイント

種をまく前に:パクチーの種をまく時期

プランターと種の準備ができたら、いよいよ種まきを始めます。

パクチーは、9~11月の秋まきが原則で、収穫は、本葉2~3枚から、翌春に花茎が伸びて花が咲き、夏にこぼれ種を落として枯れるまで続きます。4月中旬~5月中旬の春まきでは、発芽後まもなく花茎が伸びてしまい、葉数は増えず、果実も収穫できません。
ただし、ベビーリーフで楽しむ場合は春まきも可能です。果実の小さい品種などは花茎が伸びにくいのですが、品種を選んで種子を入手することはできませんので、基本は秋まきとなります。

パクチーの旬は冬から初夏にかけてですが、店頭に並ぶパクチーは、春まきと秋まきとで品種や一束の本数が調整されて通年出回っています。家庭菜園でも、ベビーリーフを利用すれば1年を通して新鮮なパクチーを楽しむことができます。

育て方①:プランターにパクチーの種をまく

パクチーの発芽に適した気温は15~25度です。夏まきや冬まきの場合は、室内で種まきし、発芽後に外に出すようにします。

種まき前に、鉢底から水が出るまでたっぷりと灌水します。灌水後、3mm以下の細かいふるいやキッチン用の金属のザルなどで土を細かくふるって、下の大粒の土が見えなくなる程度に薄くしき、種まき用のベッドを作ります。その細かくふるった土のベッドに、2.5~5cm間隔の碁盤の目になるように規則正しく種を置いていきます。プランター一面に種を置いたら、そのまま指で土に押し込むか、更に種が見えなくなるように土をふるいかけます。

最後にふるった土が湿る程度に霧吹きでやさしく水を与えます。毎日、土の表面が乾かないように霧吹きで水やりをして発芽を待ちます。

育て方②:パクチーが発芽したら定期的に収穫していく

発芽の目安は10~14日ほどで、芽が出たあとは直射日光の最も長く当たる場所に置きましょう。発芽まで光は必要ありませんが、芽が地面から顔を出した瞬間から強い光が長く当たらないとモヤシになってしまい、これで失敗する人が多いので注意が必要です。

本葉が3~4枚になって、ベビーリーフで食べられるようになったら、規則的に一つおきに地面との境目でハサミで切って収穫しましょう。その後も、成長と共に葉が密集してきたら、その都度規則的に一つおきに地面との境目で切って収穫を繰り返します。パクチーが若いうちに収穫する際は地上部を切って根を地中に残すことが大切です。

育て方③:パクチーの水やりと追肥

パクチー 水やり 追肥

土の表面が乾いていたらたっぷりと水やりをしましょう。
プランターは乾きやすい上に、軽い土の場合、灌水してもプランターの縁を通って水が流れてしまい、土の表面だけ濡れて中の土が乾いたままのことがよくあります。指で少し堀ると分かりますので、その場合は、鉢受に水を溜めて底面吸水することも考えましょう。

逆に、土の表面が乾かないうちに水やりを繰り返していると、酸欠で根腐れする原因にもなるので、水のあげ過ぎにも注意が必要です。

園芸培養土に十分に肥料があれば、追肥の必要はありません。もし、葉が黄ばんでくる場合は、油かすを一握り施すとよいでしょう。

育て方④:大きくなったパクチーを外葉から収穫する

成長の早いパクチーは、種まきから2カ月ほどで草丈(葉長)約20cmになります。大きくなって葉の数が増えたら、外葉から葉を数枚ずつ収穫することも可能です。また、花茎が伸びる前に根ごと抜き取ると、根も料理に利用できます。

育て方⑤:種をとる

春になると株の中心から花茎が伸びてきます。これを抽苔(ちゅうだい)と言います。抽苔するとそれ以上葉の数は増えず、開花してやがて結実し、枯死します。

抽苔してきたら、花や未熟果を収穫してサラダなどで楽しみましょう。未熟果は葉と同じ香りです。完熟果になるとオレンジ系の香りに変わりますので、その変化も確かめてみましょう。種(果実)をとる場合は、未熟果の収穫をせずに、果実(種)が茶色く乾燥するまで放置します。果実(種)のついている柄まで完全に茶色くなったら、果実(種)を採種し、さらにしばらく乾燥させてしっかりと追熟させます。

採種後1カ月以上乾燥させたら、空気を追い出すようにしてジップつきの袋で密閉し、冷凍庫で保管しましょう。完熟した果実(種)はスパイスとして利用したり、種まきに用いたりします。

パクチーの栽培環境におけるコツ

パクチー 栽培環境 コツ

パクチーの生育に適した温度は18~25℃。日のよく当たる場所に置くと生育が良くなり、花数、果実の数も増えます。日当たりが悪くても、種とりには向きませんが、葉が軟らかくなってサラダ向きになります。

パクチーは強靭で育てやすいので、暑さ・寒さ対策を取る必要もないでしょう。

パクチーの育て方Q&A

パクチー 育て方 Q&A

Q:パクチーは水耕栽培でも育てられる?

パクチーは水耕栽培も可能で、水耕栽培用キットも売られています。水耕栽培は、土を利用しないので室内でも育てやすく、水の管理がしやすいなどのメリットがありますが、肥料は完全に化学物質になります。

種まきの準備をしたら、スポンジやロックウールという水耕栽培用の培地などを使って発芽させ、室内の日当たりのよい場所で管理します。週1回程度水を入れ替え、水中に溶けている酸素が無くなることによる酸欠を防ぎましょう。

Q:パクチーを種まきから育てるのは難しい?

パクチーを種まきから育てるのは難しい?

パクチーは種からでも育てやすいハーブのひとつです。発芽時に水を切らさず、発芽後に直射日光に長く当てることができれば、失敗なく育てられます。

どうしても気になる場合は、苗からの栽培もよいでしょう。苗を入手したら、根を傷つけないよう、やさしくポットから抜き出し、鉢土を崩さないようにしてプランターに植えます。

Q:パクチーを長く収穫するには?

基本となる秋まきの場合、種を2.5~5cm間隔の碁盤の目にまいて、本葉2~3枚のベビーリーフから規則的に収穫していくと翌年の種とりまで長く楽しめます。

春に抽苔しても葉を少しずつ収穫したり、花や未熟果を収穫して楽しむことができます。春まきの場合は、ベビーリーフ状態からすぐに抽苔してきてしまいますので、毎週のように次々と種まきしていくことでベビーリーフを長く楽しむことができます。

スパイス料理に欠かせないパクチーは栄養も豊富です。どんな効能が得られるのか、以下の記事で詳しく紹介します。

この方にお話を伺いました

博士(農学) 元東京農業大学准教授 日本メディカルハーブ協会理事・事務局長 株式会社グリーン・ワイズ 木村 正典 (きむら まさのり)

木村 正典

専門は人間・植物関係学、都市園芸学、野菜、ハーブなど。ハーブの精油分泌組織の顕微鏡観察に長く携わるとともに、豊かな社会づくりのための建物緑化、都市緑化、有機栽培、学校菜園、コミュニティガーデン、市民農園、家庭菜園、ファーマーズマーケットなどの役割と意義について研究。講演活動の他、学校や集合住宅の屋上などでの菜園指導も行っている。『二十四節気の暮らしを味わう日本の伝統野菜』(GB)、『ハーブの教科書』(草土出版)、『有機栽培もOK!プランター菜園のすべて』(NHK出版)、『木村式ラクラク家庭菜園』(家の光協会)など著書多数。「NHK趣味の園芸 やさいの時間」旬ベジ二十四節気講師。

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