パクチーの栄養素と効能は?健康・美容に良い効果的な食べ方
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パクチーの栄養素と効能は?健康・美容に良い効果的な食べ方

エスニック系のレシピに欠かせないパクチーは多くの栄養素を含み、葉や茎、根、花、果実(種子)まですべてを食すことのできる野菜です。より効能を得るための食べ方から保存方法、カメムシに似ているといわれる香りの成分までパクチーの特徴を詳しく紹介します。

〔目次〕
パクチーとは
パクチーの栄養素と機能性成分・効能は?
パクチーの食べ方
パクチーの食べ過ぎには注意
パクチーの保存方法
新鮮なパクチーの見分け方

パクチーとは

パクチーとは

アジア・エスニック料理に欠かせないパクチー。2016年頃のパクチーブーム以来、野菜売り場でもおなじみのハーブになりました。比較的手軽に栽培できることから、近年は、家庭菜園やキッチンハーブとしても注目を集めています。

パクチーは地中海沿岸を原産とするセリ科の1年草。葉や茎には独特な香りがあり、アジア・エスニック料理にアクセントを添えます。一方、熟した果実(コリアンダーシード)は、ほんのりと甘く柑橘系の爽やかな香りが楽しめ、風味づけに用いられます。

パクチーの香りはカメムシに似ているのは本当!?

パクチーの独特な香りは、アルデヒド類のにおい成分によるものです。「クサ虫」とも呼ばれるカメムシの臭気にも同じ成分が含まれているため、カメムシのにおいと似ているといえるでしょう。パクチーが今ほど普及していなかった頃は、「カメムシソウ(椿象草)」と呼ばれることもありました。

パクチーの別名「コリアンダー」も、トコジラミを意味するアラビア語「koris(虫)」に由来するとされます。トコジラミもまた臭いを発する虫。古代から親しまれてきたパクチー(コリアンダー)の長い歴史を紐解いても、強烈なにおいを意識せざるを得ないハーブであることは確かなようです。

パクチーの栄養素と機能性成分・効能は?

パクチー 栄養素 効能

パクチーはビタミンやミネラルといった、健康維持に欠かせない栄養素や機能性成分を豊富に含んでいます。美容効果やリラックス効果も期待できるので、意識的に取り入れるといいでしょう。ここでは、パクチーに含まれる代表的な栄養素や機能性成分について紹介します。

美肌づくりに欠かせない「ビタミンC」

パクチーは、ビタミンCを豊富に含んでいます。ビタミンCはコラーゲン生成に必要な栄養素で、美肌づくりには欠かせません。紫外線による、シミやそばかすを防ぐ効果も期待できます。

ビタミンCは水に溶けやすく加熱により壊れやすい栄養素ですが、サラダなどにパクチーを使って生で食べることで、たっぷりと無駄なくとることができます。

骨や歯の材料となる「カルシウム」

パクチーは、カルシウムが豊富です。カルシウムは骨や歯を形成するのに欠かせない栄養素ですが、現代人は不足しがちです。カルシウムが足りないと、歯や骨が弱くなるので、特に成長期に当たる10代は積極的にとりましょう。

また、更年期以降の女性は、女性ホルモンの減少によって骨密度が低下し、骨折のリスクが高まります。トッピングするなど、毎日の料理にパクチーを取り入れ、カルシウムを補うといいでしょう。

腸内環境を改善する「食物繊維」

パクチーを食べると食物繊維もとれます。パクチーに含まれる不溶性食物繊維には、水分を吸収してカサを増やし便の排出を促す作用や、満腹感を得やすくして食べ過ぎを防ぐ働きがあります。現代人にとって不足しがちな栄養素の1つなので、上手にとりましょう

心落ち着かせる香り成分「リナロール」

パクチーの果実に含まれるオレンジ系の清涼感ある香りは、リナロールというにおい成分に由来し、スパイスとして白ビールやカレーなどの香りづけに利用されています。リナロールは、すずらんやラベンダーにも多く含まれ、その芳香は化粧品などにも用いられています。

鎮静作用や消炎作用、リラックス効果の他、食欲増進や消化促進、腸内ガス蓄積防止、胃液分泌促進作用も知られており、整腸作用やデトックスも期待できます。

食欲を増進させる香り成分「アルデヒド類」

パクチーの茎葉は、カメムシの香りに近いヘキセナールをはじめ、デセナール、ドデセナール、ヘプタナールなどのアルデヒド類によって独特の香りを有します。これらの香りが食欲をそそることから料理に用いられていますが、パクチー嫌いな人の原因成分でもあります。

むくみケアや高血圧予防に「カリウム」

パクチーに含まれる栄養素の中で、カリウムも見逃せません。カリウムは余分な塩分を排出、むくみを解消し、高血圧予防にも役立ちます。塩分過多になりがちな現代人にとって積極的にとりたい栄養素です。

夏は、大量の汗とともにカリウムが失われると、夏バテを起こしやすいといわれています。加熱により失いやすい栄養なので、新鮮なパクチーでカリウムを取り入れましょう。

免疫機能をアップ「βカロテン」

βカロテンは、人参やほうれん草といった緑黄色野菜に豊富に含まれ栄養素のこと。皮膚や粘膜を健康にし、免疫機能を高める働きがあり、老化予防に役立ちます。

パクチーの食べ方

パクチーの食べ方

少量のパクチーをトッピングするだけで、本格的なアジア・エスニック料理の味に仕上がります。薬味効果も高く、魚や肉の臭み消しにもぴったり。パクチーは刻むほど香りが立ち上ります。生の場合はざっくりと、加熱するときは細かく刻むなど、お好みで調整しましょう。

サラダやトッピングに使う

生のパクチーは加熱による栄養素の損失が少ないため、ミネラルやビタミンを効果的にとることができます。新鮮なパクチーをざくざく切ってサラダに加えると、香りと共にシャキシャキした食感を楽しめるでしょう。

細かく刻んだパクチーをドレッシングに合わせると、薬味効果により具材のツナやエビなどのくさみを抑えます。焼きそばにトッピングにしてエスニック風に仕上げてもいいですよ。

炒め物にする

パクチーを炒め物に加えると、香りと食感でほどよいアクセントを与えることができます。加熱によってパクチーの香りが抑えられるので、パクチー料理に慣れていない人も食べやすくなるでしょう。また、油で加熱することで、パクチーに含まれるβカロテンの吸収率がアップします。

鍋やスープなどの煮込み料理に

煮込み料理は、スープに溶け出した栄養も、無駄なくいただけるのがメリット。パクチーは、タイ料理のトムヤムやクイッティオ、ベトナム料理のフォー、煮込み料理や麺類、スープなどにも使われます。辛味や酸味とも相性がよく、パクチーを加えることで風味豊かな仕上がりに。

煮込み料理では、ぜひ根の部分を利用しましょう。煮込むことでだしがとれ、パクチーの甘みや旨味がスープに凝縮されて、生とは違った香りや風味を楽しめます。なお、煮込み過ぎると香りが無くなるので、仕上げに入れるようにします。

ハーブを使った鍋、スープのレシピは以下で紹介しています。ご興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

パクチーの食べ過ぎには注意

豊富な食物繊維により、パクチーを食べ過ぎると下痢や腹痛を起こしやすくなります。パクチーの山盛りサラダのように、一度に大量に食べるのは控え、サラダの場合も50g程度にするのがいいでしょう。

パクチーの保存方法

パクチーの香りや風味を逃さずにできるだけ新鮮さを保つ、冷蔵保存と冷凍保存の方法について紹介します。

冷蔵保存

湿らせたキッチンペーパーや新聞紙などで根元を包み、ビニール袋に入れます。香りが徐々に弱まっていくので、数日間で食べましょう。

冷凍保存

冷凍であれば、長期保存が可能です。根がある場合は、茎葉と根を別々に保存します。茎葉は刻み、根はラップに包んで、それぞれ冷凍保存袋に入れて密封し、冷凍室に入れます。料理に使う際は凍ったままでOK。1カ月以内を目安に食べ切りましょう。

新鮮なパクチーの見分け方

パクチー 見分け方

新鮮なパクチーは、葉がみずみずしく、シャキッとしています。また、根がついた状態のほうが、鮮度が長持ちします。

反対に葉が変色していたら、鮮度が落ちている証拠。香りも薄まっています。パクチーの香りや薬味効果を存分に堪能するためにも、新鮮なうちに食べるのが一番です。

とれたての新鮮なパクチーを味わいたいのなら、プランターで栽培するのも一案です。下記の記事ではパクチーの育て方を詳しく紹介しているので、併せてチェックしてみてください。

この方にお話を伺いました

博士(農学)元東京農業大学准教授 日本メディカルハーブ協会理事・事務局長 株式会社グリーン・ワイズ 木村 正典 (きむら まさのり)

木村 正典

専門は人間・植物関係学、都市園芸学、野菜、ハーブなど。ハーブの精油分泌組織の顕微鏡観察に長く携わるとともに、豊かな社会づくりのための建物緑化、都市緑化、有機栽培、学校菜園、コミュニティガーデン、市民農園、家庭菜園、ファーマーズマーケットなどの役割と意義について研究。講演活動の他、学校や集合住宅の屋上などでの菜園指導も行っている。『二十四節気の暮らしを味わう日本の伝統野菜』(GB)、『ハーブの教科書』(草土出版)、『有機栽培もOK!プランター菜園のすべて』(NHK出版)、『木村式ラクラク家庭菜園』(家の光協会)など著書多数。「NHK趣味の園芸 やさいの時間」旬ベジ二十四節気講師。

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