「ドキドキ緊張して、職場で朝のおはようが言えない」、「人前で挨拶やスピーチをとっさにふられて頭が真っ白になった」などの経験はありませんか。
今回はこのような「あがり症」を治すセルフケアを、橋口先生が実際に診療にあたり、症状が改善された症例と一緒にご紹介します。人前で話す際に悩みがあるという人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
あがり症は治すことができる病気?
注目されると緊張してドキドキしたり、顔がこわばって真っ赤になったり、頭が真っ白になってしまったりするので、人前での挨拶や発表は極力避けたいというあがり症のことを医学的には「社交不安症」と呼びます。飲食店で注文できない、会社でプレゼンテーションできないなど、日常生活に支障をきたす場合は、精神科か心療内科で治療をお受けになることを勧めます。緊張予防の薬を続けることでとてもよくなる人の多い病気です。
緊張や息苦しさを、ため息呼吸法で和らげる
管理職のAさん(49歳男性)もあがり症の症状に悩む一人。治療を受け始めて改善してきたところでしたが、大勢の前での発表が立て続けに3回ありました。緊張緩和の頓服薬ものんで無事乗り切れたそうですが、発表の前から息苦しい感じが続いてとても疲れたとのこと。
そこで力を抜く呼吸法をお教えしました。緊張すると呼吸は浅く早くなり、無意識に息を吸おうと力が入ります。普段から息をゆっくり吐く練習をしましょう。練習しておかないと緊張した時に長く息を吐くのは案外難しいもの。
コツは「ため息をつく」です。フーッと長く息を吐き、吸うのは自然に任せる。これだけです。そもそも呼吸筋は主に息を吐くための筋肉、弛緩すればひとりでに空気は入ってきます。車の運転中など周りに人がいないときは、声を出しながらため息をついてみましょう。意識的に行うため息は立派な呼吸法です。ゆっくり息を吐いていると交感神経の緊張が緩み、顔や肩の力も緩みます。
明るい表情をつくるコツで、人づきあいも良好に
あがり症の人は人と目を合わせることも苦手で表情がこわばってしまいがち。B君(22歳男性)は大学入学後に顔のこわばりのため人づきあいが難しいと受診しました。治療によって緊張が和らぎ、友達付き合いだけでなくアルバイトや就職活動の支障もなくなり無事社会人になったところです。
彼には眉と眉を離した表情を心がけることをアドバイスしました。眉と眉を離すと自然に目も見開かれ、口角が上がって友好的な柔らかい表情になるからです。相手だけでなく自分も寛いだ気分になる表情です。お試しください。
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この方にお話を伺いました
緑蔭診療所・医師 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)
1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。