新型コロナウイルスに感染された方々、発病しないか経過観察の対象となっている方々のご回復をお祈り申し上げます。
そもそも通常のウイルス感染症で特効薬と言える抗ウイルス薬があるのはインフルエンザとヘルペス(単純ヘルペス及び水ぼうそう・帯状疱疹ウイルス)だけ。
ウイルス感染症の治療は、体力の消耗を防ぎ二次感染を防ぐ対症療法です。新型コロナ感染症に対してもいくつかの抗ウイルス薬が試みられていますが基本は対症療法で、感染した人の体力や免疫力、基礎疾患の有無などが回復のポイントになります。
疲れや病気から回復するための自動調節システムとは?
そもそも、人が疲れたり病気になったりしても回復できるのは、自律神経系、内分泌系、そして免疫系を中心とする体の自動調節システム(恒常性維持機構:ホメオスターシスと言います)がうまく働くからです。
この自動調節システムは体内時計とリンクして変化するので、覚醒と睡眠あるいは活動と休養のバランスがとれていることが重要です。
睡眠不足や疲労、緊張が続くと免疫系は不活発になり、風邪をひきやすくなったり口内炎を繰り返したりします。
口内炎は免疫低下のサイン
頻繁に口内炎ができる原因の一つは単純ヘルペス感染です。このウイルスは体内にずっと潜んでいて、免疫系がダウンしかかると活性化して口内炎や口唇ヘルペスとして発症するのです。
出始めに医療機関を受診して抗ヘルペス薬を内服すると治りが良く再発も徐々に減ります。
口内炎というとビタミンB群(特にビタミンB2)の不足と思う方が多いと思いますが、肉、魚、卵、乳製品などを普通に取っていれば不足することはまずありません。パンや麺類、おにぎりなど糖質だけの食事が多いようなら注意が必要です。
舌の縁や頬粘膜の同じところに口内炎を繰り返す場合は、夜間の歯の食いしばりや歯並びによってできる傷の場合もありますので歯科で相談してみましょう。
免疫力を高めるセルフケア
免疫力アップのセルフケアでもっとも大切なのは質の良い睡眠をとることです。ジャーマンカモミールのハーブティーはリラックス作用が優れているだけでなく、抗炎症作用、抗ウイルス作用もあります。
また、粘膜保護作用もあるので、冷ましたハーブティーを口の中に含んでいると口内炎の痛みを和らげるのにも役立ちます。
夕方以降、疲れを感じた時のリフレッシュには、覚醒作用があるコーヒーやチョコレートなどカフェインを含む嗜好品やタバコの替わりに、ペパーミントやレモングラスなどのハーブティーを利用するのがおすすめです。
また、腸内環境の改善も免疫力アップに有効です。
リラックスだけでなく活動的に過ごすことも免疫力アップにつながります。軽いウォーキングや自宅でできるヨガなどを試してみてはいかがでしょう。
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この方にお話を伺いました
緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)
1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。