実は家庭で栽培可能! 高級スパイス サフラン
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実は家庭で栽培可能! 高級スパイス サフラン

サフランが咲くと、水戸では、間もなく霜が降り始める合図です。8月末に球根を植えると、10月下旬頃に地面から松葉のような細い葉が現れ、11月には紫色の美しい花が開きます。中央部にあるオレンジ色のめしべが、紫の花色をさらに美しく引き立たせています。このめしべを乾燥させたものが「サフラン」。古代から利用されている有名な香辛料です。香辛料の名前だった「サフラン」は、やがて花自身の名前になりました。sahuran.jpg

スパイスのサフランといえば、パエリアの色付けや、風味付けに使いますよね。スーパーではスパイス・ハーブコーナーで販売されていますが、ちょっと高値です。なんせ10gのサフランを得るには1,500以上(!)の花が必要だというのですから、お高いわけです。

それなら!と、球根を植えて栽培し、花を楽しみながらめしべを収穫することにしました。日当たりと排水の良い場所に球根を列に植えると、予定通りに花が咲いてきます。花が開いたら早めにめしべをソーッと、優しく抜きとります。途中で切れないようにご注意ください。ナメクジが花を食べることが多いので、夜8時頃に懐中電灯と割り箸を持って、ナメクジ捕獲作戦を行うのが理想です。181030 ill02.jpg

1つの花からとれるめしべは、たったの0.006gほど!

サフランの生薬名は番紅花(ばんこうか)。冷え症や月経不順などに効果が期待できるそうです。
※妊娠中、授乳中は使用しない。大量摂取はしない。

ところで、ある日の夕方、Sさんと一緒に「サフランを見てから帰ろうか」と薬用ハーブ園に行くと、猫のミーちゃんではない、全体が毛で覆われている茶色っぽい動物を発見しました。なんと野ウサギです!181030 ill03.jpg

「ミーちゃんとケンカしなくてよかったね...」と双方の無事を喜びました。

間もなく本格的な冬がやってくるので、寒さ対策を始めないといけません。園内のラクウショウの木の葉は、乾燥しても鳥の羽のような形を保ちます。葉と葉が重なると空気の層ができ、日中のお日様の暖かさをそこに閉じ込めるので、霜除けには最適です。寒さにちょっと弱いパイナップルセージには落ち葉をちょっと厚めに敷きます。寒さに強いオレガノやサフランは霜柱ができない程度に。熱帯が原産のレモングラスは10月下旬に掘り上げて温室に入れないと、冬は越せません。晩秋のハーブ園は猫の手も借りたいくらい、冬の仕度で忙しいのです。181030 ill04.jpg

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忙しい日々の癒し、ニャンモナイト

    【サフラン】
  • 学名:クロカス サティヴス(Crocus sativus)
  • 科名:アヤメ科クロッカス属
  • 原産地:西南アジア
  • 特徴: 開花するのは朝なので、めしべを収穫するなら天気のよい朝にします。収穫したらティッシュに広げて速やかに乾燥させ、瓶などに保存します。
  • 開花期:10月下旬〜11月
  • 栽培のポイント:日当たりと排水のよい場所に、あらかじめ堆肥と消石灰を混ぜてよく耕してから、球根を植えます。球根は傷がついていない重さ13g以上の大きめのものを選ぶようにします。花が咲いた後はお礼肥をあげましょう。sahuran 2.jpg

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この方にお話を伺いました

水戸 養命酒薬用ハーブ園(水戸市植物公園内) 西川 綾子園長 (にしかわ あやこ)

西川 綾子園長

水戸市植物公園園長。園芸家。筑波大学第二学群農林学類卒業後、民間企業を経て水戸市植物公園開園のために水戸市へ移住。NHK「趣味の園芸」講師や書籍の執筆なども行う。2009年第14回NHK関東甲信越地域放送文化賞を受賞。2014年公益社団法人日本植物園協会常務理事就任。2017年オープンの「水戸 養命酒薬用ハーブ園」では、約40 種類のハーブを栽培。園のシンボルツリーである薬木「キハダ」を囲むウッドデッキを中央に配置し、歴史を学べる薬草エリアと、五感で楽しむハーブガーデンエリアの2つのエリアを設けている。

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