冬よりも夏のほうが冷え性(冷え症)がつらい、上半身は汗をかいているのに手足は冷たい「冷えのぼせ」になっている......。原因はさまざまですが、いずれも冷え性の人によく見られる症状です。こうした不調が現れる理由や冷え対策に役立つ食事、簡単にできる筋肉トレーニングなどを紹介。温めるライフスタイルで冷えを改善しましょう。
- 〔目次〕
- 夏なのに体が冷えるのはなぜ?
- 冷え性(冷え症)なのに汗をかく理由
- 冷えによる汗かきを放っておくとどうなる?
- 「冷え性(冷え症)×汗かき」を改善する方法8選
- 「薬用養命酒」を冷え性(冷え症)改善の習慣に
夏なのに体が冷えるのはなぜ?
冷房設備が整った現代は、薄着で長時間涼しい環境下にいることも珍しくありません。そのうえ冷たい飲み物などをとっていると、体の表面だけでなく、内臓まで冷えてしまいます。
内臓が冷えると血流が悪くなり、臓器の働きが低下。胃もたれ、胃痛、便秘、下痢などが起こります。夏バテと相まって食欲が落ちると熱を生み出すのに必要な栄養がとれなくなり、ますます体は冷えてしまうといった悪循環に陥ります。
また過剰な冷房は本来の体温調節機能を乱すことにもつながります。涼しい室内と暑い室外の温度差も自律神経にダメージを与え、血流が悪くなって冷えを招いてしまいます。
夏は冬よりも冷え性がつらい、という人もいます。夏の冷え性についてはこちらで詳しく紹介しているので、興味のある方はチェックしてみてください。
冷え性(冷え症)なのに汗をかく理由
下半身冷えで上半身がのぼせる状態に
手足は冷えているのに、顔や背中から汗が出る、顔がカーッと熱くなるといった症状を感じることはありませんか? これは下半身が冷えていることで血行がアンバランスになっていることが原因。上半身だけが妙に熱くなり、のぼせる、汗をかくといったことが現れます。特に血行が滞りがちな30代後半は注意が必要です。
下半身冷えは、デスクワークなどで長時間座った状態が続いたり、同じ方向に脚を組んだり、姿勢の悪さなどが原因で、坐骨(ざこつ)神経を圧迫、足の血管を調節する交感神経が緊張状態になった結果、足の血流が減ってしまうことで引き起こされます。運動不足によって、下半身の筋肉が衰えている場合も同様に、下半身が冷えやすくなります。
冷えによる汗かきを放っておくとどうなる?
東洋医学では「気(き)・血(けつ)・水(すい)」が過不足なくバランスよく体内を巡っているのが健康な状態と考えます。上半身がのぼせて、下半身が冷えるのは、エネルギーである気や血の巡りが悪く、滞っている状態。さらに血行不良が続くと上半身と末端の温度差が大きくなり、自律神経のバランスが崩れ、むくみや頭痛などの不調が現れます。
「冷え性(冷え症)×汗かき」を改善する方法8選
汗を伴う冷え性は、血行のアンバランスを戻すことが改善策になります。気や血の巡りをよくする生薬を取り入れてみたり、下半身の筋力を強化したりすることで、偏りがちな血行を全身に巡らせる生活習慣を心がけましょう。
夏は外との寒暖差に注意!
夏は冷房の効いた室内と外気の温度差が激しく、自律神経系が乱れがち。暑くなったら脱ぎ、寒くなったら着られるように、ストールやカーディガンなどの重ね着アイテムが役立ちます。
いつでもできる運動「10秒かかとアップ」をこまめに行う
下半身の冷えを解消するには、太ももやふくらはぎなどの大きな筋肉を動かすのがもっとも効果的。スクワットが代表的ですが、こまめに動かすなら「10秒かかとアップ」もおすすめです。
立ち仕事や炊事中などに、かかとをできるだけ上げてつま先立ちをし、10秒間キープ! 日常生活に取り入れることで下半身の筋肉が自然と強化され、慢性的な血行不良も改善できます。
この他の冷え性改善に効果的な筋トレ、ストレッチ方法はこちらで詳しく紹介しています。
「入浴スキップ」はNG行為!
面倒だからとシャワーだけで済ませることもあるかもしれませんが、体を温めるためには毎日湯船に浸かりましょう。体温を上げるためにはうっすら汗をかくまで浸かるのがベストです。
冷え性改善に効果的な入浴方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご参照ください。
手作り薬湯「大根風呂」で温まる
薬湯とは薬草などを使った薬効の高いお湯のこと。大根の葉を使った「大根湯」は家庭でも簡単にできます。湯冷めしにくいので、下半身冷えの対策にぴったりです。休日など時間があるときに試してみてはいかがでしょうか?
- 〔作り方〕
- 大根の葉を約1週間天日干しにする。
- 1.を細かく刻んで布袋に入れ、きつく縛る。
- 2.を沸騰した湯で20分程煮込み、煮汁ごと風呂に入れる。
体を温める食材を積極的に取り入れる
東洋医学では食品を、体を冷やす「陰」と体を温める「陽」に分けて考えます。陰性の食品は、主に暑い土地原産で、夏が旬、色が薄く、水分が多くやわらかめの食べ物。陽性の食品は、主に寒い土地原産で、冬が旬、色が濃く、水分が少なくかための食べ物です。できるだけ陽をとるように心がけ、陰の食材には陽を組み合わせたりしてみましょう。
栄養バランスに気を付ける
毎日の食事は体を温めるエネルギー源になります。栄養バランスよく食べることは冷えない体づくりの基本。特に筋肉をつくるたんぱく質はしっかりとりましょう。不足すると筋肉量が低下して血流が悪化。体温も低くなりがちです。
冷え性の人が意識したい栄養素、体を温める食べ物や調理法については下記の記事で紹介しています。併せてチェックしてみてください。
下半身冷え解消に役立つツボ押し
体の温めに効果的なツボが「三陰交」。内くるぶしの頂点から指幅4本分上がったところで、骨と筋肉の境目にあります。下半身の冷えが気になったら刺激してみましょう。ゆっくり息を吐きながら押し、息を吸いながら離します。
この他の冷え性に効くツボは下記の記事で紹介しているので試してみてください。
漢方を活用
東洋医学では冷え性を病気の1つととらえ、治療の対象としています。下半身が冷えているのにのぼせているのなら「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」など、冷え性のタイプに合わせた漢方を活用することで症状が改善できることもあります。
冷え性に効果的な漢方薬は以下で紹介しています。併せてご参照ください。
「薬用養命酒」を冷え性(冷え症)改善の習慣に
冷え性の原因は、体を冷やす生活習慣だけでなく、加齢に伴って低下する自律神経系・胃腸機能・筋肉量も影響してきます。たとえば30代は運動不足による下半身の筋肉が衰えや血行不良による下半身冷えに悩みやすい時期。また、40代になると熱やエネルギーを生成する胃腸機能が低下する傾向にあるため、内臓周り、特に女性は子宮全般の冷えを招くことも。
薬用養命酒は、お酒を使って生薬の薬効成分を抽出することで、胃腸に働きかけやすい、血行を促しやすいなど、薬用酒ならではのメリットが得られます。また、様々な役割を持つ生薬を組み合わせることで、単体では得られない幅広い効果が得られ、薬効成分が体本来の治癒力や回復力を高めます。健康習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。