出勤途中の満員電車や大切な打ち合わせの前、急にお腹が痛くなってトイレに駆け込んだり、 便秘と下痢を繰り返したり...。こんなお腹の症状に困っていたら「過敏性腸症候群」かもしれません。
まずは「過敏性腸症候群チェック」で、あなたのお腹の調子を診断。「過敏性腸症候群チェック」になる原因と、今すぐできる対策、改善をサポートするハーブティ活用法などをご紹介します。
- 〔目次〕
- あなたのお腹の調子をチェック
- 日本人の約10人に1人が「過敏性腸症候群」
- すぐにできる! 「過敏性腸症候群」 の3つの対策
- 下痢・腹痛の改善をサポートするハーブティー4選
- お腹の調子に合わせてハーブをブレンド
あなたのお腹の調子をチェック
- 〔過敏性腸症候群チェック〕
- □ 何週間も便秘や下痢が続いている
- □ ストレスや緊張を感じるとトイレに行きたくなる
- □ お腹が張り、痛みや不快感に悩んでいる
- □ 下痢と便秘を交互に繰り返している
- □ 急にお腹が痛くなり、下痢でトイレに駆け込むことがよくある
- □ 排便するとお腹の痛みや不快感が和らぐ
- □ 排便してもすっきりせず、いつも残便感がある
3個以上当てはまる場合は、過敏性腸症候群の可能性があります。
日本人の約10人に1人が「過敏性腸症候群」
胃腸の不調の1つ「過敏性腸症候群」は、下痢や便秘を繰り返したり、腹痛など下腹部の不快な症状が慢性的に続いたりする疾患です。
最近、ビジネスパーソンや若い女性を中心に増えており、日本ではおよそ10人に1人がこの疾患に悩んでいるというデータも。
検査では炎症などが見られず、明らかな原因は不明ですが、ストレスや不安、緊張など精神的負担による自律神経の乱れや、もともとの体質が要因となっていると指摘されています。
特に、胃腸の働きは自律神経によってコントロールされているため、ストレスが大きく影響すると考えられています。
すぐにできる! 「過敏性腸症候群」の3つの対策
お腹をいたわる生活習慣のコツをご紹介します。お腹の不調がないときも、胃腸の働きを元気に保つために心がけてみてください。
寝る3時間前までには夕食を済ませる
夜遅くに食事をしてすぐ寝ると、就寝中も消化活動が続くことに。胃腸を休めるために、食べ物が消化されてから寝るようにしましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は自律神経を乱す原因になります。睡眠をしっかりとって胃腸の疲れを回復させるとともに、自律神経を整えましょう。翌朝、スムーズに1日をスタートできますよ。
よく噛んで食べる
食べ物が大きな塊のまま胃に入ると消化がスムーズに進まず、胃腸に負担がかかります。ひと口20〜30回、ゆっくり噛むのを目標に。
また、早食いや暴飲暴食を避け、胃腸がゆとりをもって働けるよう、腹八分目を目安にしましょう。
下痢・腹痛の改善をサポートするハーブティー4選
過敏性腸症候群の改善にはストレスケアも欠かせません。胃腸に優しく、リラックス効果もあるハーブティーを上手に取り入れ、お腹のケアに役立てましょう。
食後やティータイムなどにこまめに飲む習慣をつけることで、喉の渇きを潤す効果もあります。それを続けることで、ハーブティーの効果を長期的に得られるのでおすすめです。
ジャーマンカモミール
ストレス性の胃腸トラブルにおすすめの万能ハーブ。気持ちを安定させる作用があるほか、胃の粘膜を修復するなど、さまざまな効果があります。胃腸が弱い人、ストレスが多い人はぜひ毎日の習慣に。
ジャーマンカモミールの効能や使い方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ローズヒップ
ローズヒップはバラの実で、下痢を和らげる収れん作用があります。ビタミンCが豊富なことから「ビタミンCの爆弾」といわれ、美肌効果も期待できます。ハーブティーは鮮やかな赤色が特徴で、甘い香りとフルティーな味わいが楽しめます。
リコリス
リコリスは聞き慣れない方も多いと思いますが、身近な食べ物だとドイツのHARIBO(ハリボー)というグミに使われている甘味の強いハーブ。漢方では「甘草(かんぞう)」としてもおなじみです。
抗ストレスホルモンと似た作用があるので、ストレス性の胃腸トラブルに有効なのが特徴。
フェンネル
日本では「茴香(ういきょう)」と呼ばれます。ほんのり甘くスパイシーな香りで、胃腸のぜん動運動を整えて腹痛を和らげるほか、月経痛の改善にも力を発揮。芳香性健胃薬の生薬として、さらには料理の香りづけなどスパイスとしても重宝されています。
お腹の調子に合わせてハーブをブレンド
お腹の調子に合わせて、自分でハーブの量を調整してブレンドするのもおすすめです。タイプ別にブレンドの仕方と効果を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ストレス性の下痢にはジャーマンカモミール+2種のハーブ
ストレス性の下痢には、ジャーマンカモミール(1/2つまみ)、フェンネル(少々)、リコリス(ごく少量)のブレンドティーが効果的です。
なかでもストレスが多いと感じる人は、ジャーマンカモミールを多めにするのがおすすめ。また、リコリスは甘みが強いので好みに合わせて量を調整しましょう。
腹痛を伴う下痢にはローズヒップ+リコリス
腹痛を伴う下痢に悩んでいる人は、ローズヒップ(1/2つまみ)にごく少量のリコリスをプラスするのがおすすめ。酸味のあるローズヒップと甘みのあるリコリスは相性抜群の味わいです。
便秘になったらペパーミントをチョイス
ペパーミントは腸のぜん動運動を促す作用があり、便秘改善に有効です。便秘と下痢を繰り返しやすい人は、お腹の調子に合わせてペパーミントとジャーマンカモミールを使い分けるとよいでしょう。
この方にお話を伺いました
緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)
1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティーやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。