バラから採れる実・ローズヒップは、ビタミン豊富でスキンケアや風邪予防など幅広く活用される定番ハーブのひとつ。ハーブティーにするとほどよい酸味があり、飲みやすいといわれています。ローズヒップティーの効果効能や飲み方のアレンジを紹介します。
- 〔目次〕
- ローズヒップティーとは
- ローズヒップの主な効果効能
- ローズヒップの飲み方や活用方法
- ローズヒップのブレンドティーで不調をケア
- ローズヒップをもっと楽しむアレンジレシピ
- 妊娠中もOK? 飲み方に関するQ&A
ローズヒップティーとは
ローズヒップで作った甘酸っぱいハーブティー
美しい赤色のローズヒップティーは、乾燥させたバラの実「ローズヒップ」を茶葉としたハーブティーのこと。エキスが出にくいので、5~10分と長めに抽出します。フルーティーな香りとほんのり甘酸っぱい味わいが特徴です。
ローズヒップは「ドッグローズ」の実で栄養豊富
ローズヒップはワイルドローズ(野ばら)の一種であるドッグローズの実で、乾燥物はイギリス、ヨーロッパ、中国の薬局方に収載され、利尿、痛風、リウマチ、坐骨神経痛などに対して薬用として用いられます。
食用では、果肉はハーブティーや料理に利用され、種子は圧搾してローズヒップオイルとして使われます。
生の状態であれば、重量あたりレモンの約20~40倍ものビタミンCを含み、形が手榴弾に似ていることから「ビタミンCの爆弾」とも呼ばれています。乾燥工程でビタミンCが減りやすく、それを防ぐために乾燥温度を40℃以下で行なう工夫もされているようです。なおヨーロッパの薬局方ではビタミンCの含量を0.3%以上と規定しています。
このほかビタミンA、B群、リコピン、カルシウム、鉄、食物繊維などさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
ローズヒップの主な効果効能
美肌効果(紫外線ケア・シミ予防)
ローズヒップに多く含まれるビタミンCには、紫外線を浴びた際にできるメラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを予防したり、コラーゲン生成を促したりする効果があるといわれます。
ローズヒップには、ビタミンCの働きを補強するフラボノイドやビタミンEも含まれています。
下痢対策
穏やかではありますが、ローズヒップには下痢を和らげる収れん作用があります。腹痛を伴う下痢に悩んでいる人は、ローズヒップに胃腸ケアのリコリス(甘草)を合わせたブレンドティーがおすすめです。
免疫力向上
ビタミンC、E、βカロチン、リコピンなど抗酸化作用に優れているローズヒップ。活性酸素を抑え、免疫力を高める働きがあります。また風邪や皮膚炎などでビタミンCが消耗された際は、ローズヒップティーで補うのもおすすめです。
ホルモンバランス調整
ローズヒップに含まれるビタミンC、ビタミンEはホルモンバランスを整える働きがあるといわれています。また豊富に含有されている鉄やカルシウムといったミネラルは、生理中などに起こりがちな貧血の防止にも役立ちます。
ローズヒップの飲み方や活用方法
ローズヒップの有効成分を取り入れるには食べたり飲んだりするのが一番。もっとも簡単なのはハーブティーに活用する方法です。穏やかな酸味で飲みやすい味ですが、慣れないうちはハチミツを加えてもよいでしょう。
ローズヒップティーの作り方
- 〔材料〕カップ1杯分
- ローズヒップ(乾燥)......ティースプーン山盛り1杯分
- 熱湯......150~180ml
- 〔作り方〕
- ティーカップとティーポットはあらかじめ温めておく。
- ティーポットにローズヒップを入れ熱湯を注ぎ、ふたをして5~10分置く。
- ティーポットを軽く回し、濃度を均一にしてからカップに注ぐ。
アイスローズヒップティーの作り方
- 〔材料〕グラス1杯分
- ローズヒップ(乾燥)......ティースプーン山盛り1杯分
- 熱湯......60~90ml(グラスの半分程度)
- 氷......適量
- 〔作り方〕
- 温めたティーポットにローズヒップを入れ熱湯を注ぎ、ふたをして5~10分置く。甘さを足したい場合は蜂蜜や砂糖を加えて溶かす。
- グラスいっぱいに氷を入れ、1を注ぐ。
ローズヒップのブレンドティーで不調をケア
不調ケアに合わせたローズヒップのブレンドティーを紹介します。ハーブはいずれも1:1の割合で合わせてください。
ホルモンバランスを整える「ローズヒップ+ローズ」
月経のサイクルが乱れがちなときは、女性ホルモン様作用のあるローズとローズヒップのハーブティーを。ローズの香りは心を落ち着かせる効果があるので、メンタルの疲れを感じたときにもおすすめです。
疲労回復に「ローズヒップ+ハイビスカス」
ハイビスカスに含まれるクエン酸とローズヒップのビタミンCで疲れを癒やします。
腹痛を伴う下痢なら「ローズヒップ+リコリス」
下痢を和らげるローズヒップとストレス性の胃痛を和らげる効果のあるリコリスのブレンド。リコリスはグミの甘味料などに使われる甘みの強いハーブで、ローズヒップの酸味によく合います。
ローズヒップをもっと楽しむアレンジレシピ
ローズヒップはハーブティー以外でもおいしく活用できます。ジャム、カクテルの簡単レシピを紹介します。
ティーを淹れたあとのローズヒップで即席ジャム
ティーを入れた後のローズヒップは捨てずに、ジャムにして丸ごといただきましょう。ハチミツ大さじ1~2杯をお好みで混ぜ、そのまま食べるほか、パンに塗ったりヨーグルトにのせてもOKです。
飲んできれいに!真っ赤なジントニック
ローズヒップとハイビスカスを2週間程度お好きなジンに漬けておけば、真っ赤なジンの出来上がり。トニックウォーターで割ると、美肌効果も期待できる華やかなジントニックに。
妊娠中もOK? 飲み方に関するQ&A
Q.妊娠中でもローズヒップティーを飲んでもよい?
ローズヒップティーはカフェインレスで、成分的にも妊娠中に飲むことができます。ただしローズヒップのブレンドティーは注意してください。妊娠中には使用が制限されているハーブがあるので、使われているハーブの効能と注意点をよく確認し、不安な場合は医師に相談しましょう。
Q.飲むタイミングはいつがよい?
ローズヒップティーはカフェインレスなので昼夜問わず、好きなタイミングで飲むことができます。ビタミンCは鉄、カルシウム、ビタミンEなどの働きを促進させる効果があるので、なかでも食後がおすすめです。
Q.飲み過ぎが心配です。目安量は?
ハーブティー全般にいえることですが、急な風邪など症状緩和を目的にする場合は1日4~5杯、慢性的な不調をケアしたり体調管理を目的とするなら1日1~2杯を継続的に飲むことをおすすめします。ローズヒップティーの過剰な摂取を長期間続けると下痢をすることがあるので、適量を守りましょう。
この方にお話を伺いました
養命酒製造株式会社商品開発センター 丸山 徹也 (まるやま てつや)
1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社。中央研究所研究部長、商品開発センター長を歴任。薬剤師。