ハーブの中でもとても身近なローズマリー。その効能は多岐に渡り、抗菌・抗酸化や血流改善の作用、抗炎症作用などが挙げられます。特徴と併せ、料理、化粧品、入浴剤など生活の中での使い方を紹介します。
- 〔目次〕
- ローズマリーの特徴
- ローズマリーの効能
- 風邪症状の緩和に! ハーバルスチーム
- ローズマリーの使い方① 料理
- ローズマリーの使い方② 美容
- ローズマリーの使い方③ 暮らし
- ローズマリーをプレゼントに!
ローズマリーの特徴
ピンとのびた緑色の葉をつけ、生でも、乾燥させても強く香るローズマリー。南仏・プロヴァンス地方でとれるハーブをミックスした「エルブ・ド・プロヴァンス」によく使われるハーブのひとつです。強い香りは臭み消しや料理の風味づけにも使われます。また、抗酸化作用、血流改善作用があり、エイジングケアも期待できることから「若返りのハーブ」とも呼ばれ、親しまれてきました。集中できないとき、疲れを感じるときに使用すれば、頭をすっきりさせ気分をシャンとさせる覚醒効果も期待できます。
- 〔ローズマリー〕
- 学名:ロスマリヌス オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)
- 名前の由来:ラテン語で「海の雫」を意味する「Rosmarinus」から
- 科名:シソ科
- 和名:マンネンロウ
- 開花時期:11~5月
- 原産地:地中海沿岸
- 花言葉:追憶、思い出、変わらぬ恋、私を思って、あなたは私を蘇らせる
ローズマリーの効能
効能① リフレッシュ効果
清涼感のあるすっきりとした香りから、集中やリフレッシュに用いられることの多いハーブです。記憶力、注意力アップや眠気をすっきりさせたいときに役立ちます。
効能② 抗菌・抗酸化作用
ローズマリーの抗菌・抗酸化作用は加齢肌などのスキンケアにも有用です。毛穴を引き締める収れん作用も知られています。
効能③ 血行促進
血液循環を促す作用があるため疲労回復、冷え解消にもおすすめです。血行改善効果から、抜け毛予防や白髪対策としてヘアケアにも使われます。
効能④ 抗炎症作用
抗炎症作用があり、筋肉痛や関節痛の緩和に効果的とされています。
効能⑤ 消化促進
胆汁の分泌を促す働きがあり、食欲不振や消化不良を起こしているときにも効果を発揮します。
効能⑥ 鼻詰まりの緩和
粘液溶解作用により、鼻水や痰を和らげたいときにも用いられます。
風邪症状のケアに! ハーバルスチーム
鼻詰まりや喉の痛みのケアにおすすめしたいのが、ローズマリーのハーバルスチーム。用意するものはローズマリーの精油もしくはドライハーブ、お湯、洗面器とバスタオルのみ。揮発性の香りの成分が脳にも作用し、心身のコンディションを整える効果も期待できます。
- 〔用意するもの〕
- ローズマリーの精油 ...... 2滴(ドライハーブなら大さじ2~3杯)
- 熱湯 ...... 1リットルほど
- 洗面器
- バスタオル
- 〔ハーバルスチームの手順〕
- 洗面器に分量の精油(またはハーブ)を入れ、熱湯を注ぎ入れます。
- 洗面器を覆うようにバスタオルを被り、顔を水面から15cm位に近づけます。
- 約5~10分、目を閉じて蒸気に当たります。
- 〔注意事項〕
- 揮発性の成分が目の粘膜を刺激することがあるので、蒸気を当てるときには必ず目を閉じましょう。
- 温度が高いので、顔を近づけすぎないようにしましょう。
- 週に1回くらいを目安に。頻繁に行うと肌に負担をかけるので注意!
- 気管支喘息のほか、咳がひどい場合は、蒸気の刺激により悪化することがあるので行わないようにしましょう。
- 敏感肌の方は、刺激が強い場合もあるため、5分ほどに留めましょう。
ローズマリーの使い方① 料理
オーブン料理に
ローズマリーはキッチンハーブの代表格。煮込み料理や肉・魚料理に欠かせません。手軽に使うなら、じゃがいもや鶏肉、野菜などにオリーブオイルをかけたものやオイルサーディン缶に、つぶしたにんにくとローズマリーの枝葉を乗せてオーブンで調理します。簡単ですが、ローズマリーの香りでぐっと本格的な仕上がりに。
絶品! ローズマリーのバター
作り置きにおすすめなのが「ローズマリーのバター」です。葉を細かくみじん切りにして、常温で戻したバターと混ぜ合わせるだけ。すりおろしたにんにくを加えても美味しくいただけます。肉や魚のグリルに乗せたり、パンに塗ったりと使い方はさまざま。ラップやクッキングシートで棒状にして冷蔵しておくと便利です。
チョコレートとも相性◎
意外な使い方としてはローズマリー×チョコレートのデザートがあります。チョコレートムースに刻んだローズマリーを混ぜれば、ローズマリーのすっきりとした風味で甘いものが苦手な人でも食べられる大人のデザートに。詳しい作り方は下記で紹介しています。
ローズマリーの使い方② 美容
血行促進作用、抗菌作用があるローズマリーはヘアケアアイテムとしても活躍。頭皮を清潔に保ち血液の流れを活性化して髪を健康にします。
濃い目に煮出したローズマリーティーをトリートメントとして活用するほか、椿油にローズマリーの精油を加えたヘアオイルもおすすめ。オイルを頭皮全体にすり込み、髪になじませてからシャンプーで洗い流します。
ローズマリートリートメントの作り方
- 〔作り方〕
- ローズマリーを収穫します。
- 沸騰した鍋にローズマリーを入れます。
- ふたをして30分蒸らし、エキスを抽出します。
- 保存ボトルに入れたらトリートメントの完成!
自宅で栽培しているローズマリーの枝葉が伸びすぎたとき、たっぷり収穫してトリートメントとして活用してみるのもおすすめです。
ローズマリーオイルの作り方
- 〔用意するもの〕1~2回分
- 椿油 ...... 10ml
- ローズマリーの精油 ...... 2滴
- ガラス容器
- 〔ヘアケアの手順〕
- ガラス容器に椿油と精油を入れ、よく混ぜ合わせます。
- 洗髪前に1のオイルを頭皮と毛先に揉み込み5分ほどおきます(ロングで10ml、ショートで5mlが目安)。
- ぬるま湯でよく洗い流した後、通常通りシャンプーします。
ローズマリーの詳しい育て方は以下で紹介しています。
ローズマリーの使い方③ 暮らし
ローズマリーのアロマバス
血液循環を高め、冷え解消のあるローズマリーをアロマバスとして活用してみましょう。精油5滴を浴槽に入れる、もしくはドライハーブ20gを中身が出ないようにだしパックなどに入れ、湯に浮かべます。さわやかな香りが漂い、心身もリフレッシュします。
掃除機の臭い対策に
ティッシュにローズマリーの精油を1滴たらし、それを掃除機で吸い込みます。そのまま使えば排気口からでる嫌な臭いが改善されるでしょう。フィルター内の消臭・抗菌にもなります。
ドライハーブで靴を消臭
履かなくなった靴下に直接ドライハーブを入れ、足首周りを紐でしばり、靴に入れておきます。除湿もしたい場合は、お茶パックに重曹とハーブを入れ、それを靴下に入れましょう。ハーブがなければエッセンシャルオイルを重曹にたらしたもので代用します。
ローズマリーをプレゼントに!
ローズマリーの園芸品種は100種類以上あって、青、青紫、桃色などの花を咲かせます。ガーデニングを楽しんでいるのであれば、収穫した茎をきゅっとまとめて花束のようにしてプレゼントしてもよいですね。
ハーブなど香りのある植物で作った小さな花束を「タッジー・マッジー」と言います。イギリスのテューダー朝時代に疫病除けとして持ち歩かれていたのが由来で、ローズマリーは殺菌力の高さから、この花束の中に必ず入っていたそうです。
美味しいレシピを添えてプレゼントすると喜ばれるかもしれません。
この方にお話を伺いました
養命酒製造株式会社商品開発センター 丸山 徹也 (まるやま てつや)
1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社。中央研究所研究部長、商品開発センター長を歴任。薬剤師。