便秘解消に効果的な漢方とは?専門医が服用する際の注意点を解説
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便秘解消に効果的な漢方とは?専門医が服用する際の注意点を解説

便秘の治療に漢方薬が使われることがありますが、自己判断で安易に使うことはおすすめできません。便秘の症状や原因はさまざまなため、合わないものを使ってしまうとかえって便秘を悪化させてしまう恐れも......。どのようなケースで漢方薬が使われるのか、便秘の専門医が解説し、併せて薬に頼る前に自分でできる対策をお伝えします。

〔目次〕
便秘の原因とは?
便秘のときに処方される漢方薬
漢方薬を服用するときは医師に相談
便秘を解消させるためにできる対策

便秘の原因とは?

便秘の原因とは

便秘になる原因はさまざまですが、主な原因は3つあり、これらが絡み合って便秘を引き起こします。

原因1:ストレス

ストレスによって大腸がけいれんして便秘になります。また、ストレスによって自律神経が乱れると便秘につながることもあります。

原因2:腸の形と運動不足

腸の形と運動不足

大腸がねじれていたり落下していたりすると、便の通りが悪く、便秘を引き起こしやすくなります。ねじれ腸・落下腸は日本人特有のものです。

なお「ねじれ腸・落下腸」については下記の記事でも詳しく紹介しています。気になる方はご参照ください。

原因3:直腸や骨盤底筋の働きの低下

トイレに行きそびれてしまったりすることで直腸の感覚が鈍り、便意が消えて便秘になったり、排泄をコントロールする骨盤底筋が正しく機能せずに便を出せなくなったりします。

原因4:腸内環境の乱れ

腸内環境が乱れて腸内の悪玉菌が増加すると、腸の働きが損なわれ便秘になります。さらに、便秘になると食べ物のカスが腸に留まり悪玉菌のエサとなって腸内環境が悪化するという悪循環にも陥ります。

そのほかの原因

疾患や薬剤の影響、生理前のホルモンバランスの変化、季節の変わり目の自律神経の乱れなども便秘を招きます。また水分摂取が少なかったり、不溶性食物繊維をとり過ぎていたりすることも影響します。

便秘のときに処方される漢方薬

便秘のときに処方される漢方薬

便秘の治療に使われる漢方薬には以下のものがあります。

腸をリセットする刺激性下剤の大黄を含む漢方薬

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとうお)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、麻子仁丸(ましにんがん)、潤腸湯(じゅんちょうとう)

刺激性下剤の大黄を含まない漢方薬

大建中湯(だいけんちゅうとう)、桂枝加芍薬等(けいしかしゃくやくとう)

漢方薬を服用するときは医師に相談

便秘の解消のために最初に行うべきなのは、薬に頼ることではなく、食事や運動、睡眠、排便など生活習慣の改善です。中には誤った認識をしているだけで、実際は治療が不要な人もいます。

また、大黄のような刺激性下剤は急性便秘に役立つもので、毎日飲む薬ではありません。これは大黄に限らず、センナやアロエ、ビサコジルなど全ての刺激性下剤に当てはまります。これらは本来出す必要のない便まで排出させるものであり、長期間連続で使用すると、大腸の粘膜にダメージを与えたり、腸が疲弊して起こる「弛緩性便秘」を招いたりします。

薬を使用する場合は、自己判断せず、医師に相談するようにしましょう。

便秘を解消させるためにできる対策

対策1:ラジオ体操などお腹をひねる運動が有効

ラジオ体操お腹をひねる運動

便秘解消に効果的なのは、テニスやゴルフ、ラジオ体操第一のような、お腹にひねりやストレッチを加える運動です。一時だけ行っても効果は上がらないので、続けやすい運動を選びましょう。ジョギングやウォーキングは直接的な効果はあまり期待できませんが、便秘の原因になるストレス解消につながるというメリットがあります。

対策2:栄養バランスに配慮しながら自分の体に合うものを食べる

「便秘解消には〇〇を食べるとよい」などという情報も多く見られますが、腸の状態は人それぞれ。そうした食材をとったからといって全員が便秘解消できるわけではありません。大切なのは自分にとって体調がよくなる食べ物を、栄養バランスに配慮しながら食べることです。
必要な摂取量も一人ひとり異なります。食べ物の種類や量を加減しながら、何を食べると体調がよいか試してみることが大切です。便秘解消と食べ物・栄養素については以下の記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください。

対策3:排便を促すツボ刺激やマッサージでセルフケア

排便を促すツボを刺激したり、マッサージを行ったりして腸の働きを助けることは便秘解消に効果があります。以下の記事で詳しく紹介しているのでご参照ください。

この他、1日に1回は必ず食後にトイレに行って排便を試みることをおすすめします。とりわけ腸がよく動く排便に適したタイミングは、朝食後です。このタイミングを逃さず、便意がなくてもトイレに行くようにしましょう。ルーティン化することで体の反応が蘇ります。

この方にお話を伺いました

国立病院機構 久里浜医療センター 内視鏡部長 水上 健 (みずかみ たけし)

水上 健

1965年福岡県生まれ。90年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。横浜市立市民病院内視鏡センター長などを経て、2011年より現職。慶應義塾大学非常勤講師(便秘外来担当)。専門は大腸内視鏡検査・治療、過敏性腸症候群(IBS)・便秘の診断・治療。開発した無麻酔大腸内視鏡挿入法「浸水法」は国内外で広く導入されている。著書に『慢性便秘症を治す本』(法研)、『ねじれ腸 落下腸 滞った便がグイグイ出てくる 快うんマッサージ』(主婦の友社)など。

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