便秘解消に効果的な食べ物・栄養素とは?原因を知って食生活を改善
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便秘解消に効果的な食べ物・栄養素とは?原因を知って食生活を改善

便秘とは私たちにとって身近な不調であり、多くの人がつらさを感じています。「お通じは毎日なければいけない」という考えにとらわれ過ぎて、ストレスから症状を悪化させてしまう人も。便秘の原因はさまざまであり、食べ物や飲み物から摂取する栄養や生活習慣を見直すことが予防や対策につながります。日々をより心地よく過ごすため、便秘とはどのようなものかを正しく知りましょう。

〔目次〕
便秘が起こる原因と腸内環境
便秘解消におすすめの栄養素&食べ物
便秘解消におすすめの飲み物
便秘を解消・予防するための6つの対策
かるめ取材の感想

便秘が起こる原因と腸内環境

便秘が起こる原因と腸内環境 便秘が起こる原因と腸内環境 便秘が起こる原因と腸内環境 便秘が起こる原因と腸内環境

そもそも便秘とはどんな症状?

そもそも便秘とはどんな症状?

便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」(出典:慢性便秘症診療ガイドライン2017)を指します。

便秘だと考えられる状態

「便が硬過ぎる」「力まないと出ない」「残便感などの排便困難がある」「週の排便回数が3回未満」のうち、2つ以上を満たすのが便秘です。

排便が毎日ないことや便の量が少ないことで悩む人もみられますが、便の回数や量は、何をどれだけ食べたかに左右されるものです。排便回数が週に3回未満だと便秘だと考えられますが、毎日出すことが重要なわけではなく、たとえ量が少なくてもすっきりとして不快感がなければ問題ありません。

注意が必要なのは、排便が毎日あったとしても、便が硬くて力まないと出なかったり、排便に時間がかかったり、残便感があったりする場合です。

便秘だと考えられる状態

便秘が起こる3つの主な原因

実際に便秘になる原因はさまざまですが、主なものとして以下の3つがあり、これらが絡み合って便秘を引き起こします。治療にあたっては、まず原因を明らかにすることが大切です。

原因1:ストレス

ストレスによって大腸がけいれんして排便回数が減り、便秘になります。また、ストレスで自律神経が乱れると便秘につながることもあります。

原因2:腸の形と運動不足

腸の形と運動不足

大腸がねじれていたり落下していたりすると、便の通りが悪くなります。便秘を引き起こしやすい形の腸は「ねじれ腸」「落下腸」と呼ばれ、日本人特有のものです。

原因3:直腸や骨盤底筋の働きの低下

トイレに行きそびれてしまうなどで直腸の感覚が鈍り、便意が消えて便秘になったり、排泄をコントロールする骨盤底筋が正しく機能せずに便を出せなくなったりします。

そのほかに考えられる原因

上記の3つ以外では、疾患や薬剤の影響、生理前のホルモンバランスの変化、季節の変わり目の自律神経の乱れなども便秘を招きます。

腸内環境の乱れや水分不足、不溶性食物繊維のとり過ぎも影響

腸内環境の乱れ

もう1つ忘れてはならないのが、腸内環境です。腸内環境が乱れて腸内の悪玉菌が増加すると、腸の働きが損なわれ便秘になります。

さらに、便秘になると食べ物のカスが腸に留まり悪玉菌のエサとなって腸内環境が悪化するという悪循環にも陥ります。水分摂取が少なかったり、不溶性食物繊維をとり過ぎていたりすることも便秘には影響します。

便秘解消におすすめの栄養素&食べ物

「便秘解消には〇〇を食べるとよい」などという情報も多くみられますが、大切なのは自分にとって体調がよくなる食べ物を、栄養バランスに配慮しながら食べることです。アレルギーや治療のための食事制限を除けば、健康的な食事の範囲内であれば何を食べてもよいでしょう。

便秘を意識するあまり、「あれを食べる、これを食べない」と食事を制限してストレスをためたり、バランスが偏った食事になったりすることのほうがよくありません。

便秘に有効な栄養素やそれを含む食べ物には、以下のものがあります。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は、便のかさを増したり、腸壁を刺激してぜん動運動を促したりします。

〔不溶性食物繊維が含まれる主な食べ物〕
野菜、豆類、穀類など

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、便を軟らかくし、余分なものを排出しやすくしたり腸内の善玉菌を増やしたりします。

〔水溶性食物繊維が含まれる主な食べ物〕
果物、海藻など

便がコロコロしていて出しにくい人や、お腹が張らず便の回数が少ない人は、1日20gを目安に自分に合った量の食物繊維をとるとよいでしょう。

食物繊維がとりにくい人は、とうもろこしなどのデンプンから生まれた難消化性デキストリンや、グァー豆を酵素分解して作られた、水溶性食物繊維のサプリメントを利用するのも一案です。ただし、過剰な不溶性食物繊維の摂取は便の通りが悪い人には便がつまる原因にもなります。

食物繊維がとりにくい人におすすめ

酪酸菌

酪酸菌

酪酸菌は、大腸のエネルギー源となり、腸内環境も整える酪酸を作り出します。

〔酪酸菌が含まれる主な食べ物〕
ぬか漬け、サプリメントなど

オリゴ糖

オリゴ糖

オリゴ糖は、腸内細菌のエサとなる他、便を緩め腸の動きを活発化させます。

〔オリゴ糖が含まれる主な食べ物〕
きな粉、はちみつ、玉ねぎ、アスパラガス、バナナなど

マグネシウム

マグネシウム

マグネシウムは、腸内の水分量を増やして便を軟らかくします。ただ摂取の推奨量があるため、腎臓にトラブルがある人は注意が必要ですが、食事でとるくらいであれば問題ありません。

〔マグネシウムが含まれる主な食べ物〕
豆腐、納豆、ほうれん草、海藻など

腸の状態は人それぞれ。上記の栄養素や食べ物を食べたり、バランスのよい食事をとったりしたからといって全員が便秘解消できるわけではありません。必要な摂取量も一人ひとり異なります。食べ物の種類や量を加減しながら、何を食べると体調がよいか試してみることが大切です。

「便秘を治そう」という意識ではなく、「よりよい毎日を過ごすために自分の体に合うものを試してみよう」というポジティブな感覚で食事に向き合えば、無理なく楽しく便秘の解消に取り組めますよ。

なお生活習慣の改善で便秘が解消されない場合、漢方薬が処方されることがあります。主な漢方薬については下記で紹介しています。

便秘解消におすすめの飲み物

便秘解消におすすめの飲み物

便秘解消には水分の摂取も欠かせませんが、食事からの水分摂取との兼ね合いもあるので、必要以上に増やす必要はないでしょう。ただし、注意が必要なのがシニア世代。食事の量が減るため、自然と摂取する水分量も減少してしまいます。意識的に水分をとるために、1日の中で飲む量やタイミングを設定しておくとよいでしょう。

便秘解消におすすめの飲み物には以下があります。

〔便秘解消におすすめの飲み物〕
便秘解消におすすめの食べ物で紹介した食材を使ったジュースやスムージー(ほうれん草、バナナ、はちみつ、きなこなど)
牛乳
飲むヨーグルト
甘酒
白湯
炭酸水

体との相性もあるので、まずは試してみることが大切です。ただし「便秘解消におすすめの栄養素&食べ物」でも触れましたが、ストレスをためてしまうような飲み方はNG。アルコールやコーヒーも、適量であればリラックスやストレスの緩和につながり、腸を動かすのに役立ちます。

便秘を解消・予防するための6つの対策

健康のためによく言われることですが、「食事・運動・睡眠」を整えた規則正しい生活を送ることが対策の基本となります。

対策1:バランスのよい食事

栄養バランスを考えた偏りのない食事を心がけ、排出しやすい「いい便」をつくりましょう。特に朝食には、眠っている大腸を目覚めさせる働きがあります。軽くでもいいので欠かさないようにしましょう。

対策2:適度な運動

お腹をひねる運動

アスリートには便秘が少なく、運動によって便が大腸を通過する時間が短縮され、硬い便や残便感が解消されることがわかっています。特に、テニスやゴルフ、ラジオ体操第一のような、お腹にひねりやストレッチを加える運動が有効です。習慣化するとよいので、続けやすい運動を選びましょう。

ジョギングやウォーキングは直接的な便秘解消効果はあまり期待できませんが、便秘の原因になるストレス解消につながるというメリットがあります。

対策3:規則正しい生活

毎日同じ時間に寝て同じ時間に起床し、朝日を浴びることで睡眠のリズムを整え、規則的な生活サイクルを保つと、排便のリズムも整いやすくなります。

対策4:ストレスへの対処

自律訓練法(※1)、マインドフルネス(※2)などを行って、ストレスから心を解放しましょう。運動を行う場合も、心を無にするとよりストレス解消につながります。

1 自己暗示の練習によって段階的に全身の緊張を解いていく訓練法。疲労回復やストレス解消などの効果が期待できる。

2 判断することなく今この瞬間に注意を向け続ける実践技法。

対策5:1日に1回は必ず食後にトイレに行って排便を試みる

特に腸がよく動く排便に適したタイミングは、朝食後です。このタイミングを逃さず、便意がなくてもトイレに行くようにしましょう。ルーティン化することで体の反応が蘇ります。

対策6:ツボやマッサージ

排便を促すツボを刺激したり、マッサージを行ったりすることで腸の働きを助けることは、便秘解消に効果があります。

詳しい方法は下記の記事で紹介しているので、興味のある方はチェックしてみてください。

かるめ取材の感想

かるめ取材の感想

腸の形が便秘と関係あるなんて知らなかった! 便秘になるとつい下剤に頼ってしまっていたけれど、生活習慣を改めるのが大切なんだな...! これからはもっと自分の体を労わろう。水上先生も自分が楽しめるやり方で継続することが大事と仰っていたので、自分に合う方法を探して楽しく続けたい。さっそくぬか漬けを揉みながら体をひねろう。

この方にお話を伺いました

国立病院機構 久里浜医療センター 内視鏡部長 水上 健 (みずかみ たけし)

水上 健

1965年福岡県生まれ。90年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。横浜市立市民病院内視鏡センター長などを経て、2011年より現職。慶應義塾大学非常勤講師(便秘外来担当)。専門は大腸内視鏡検査・治療、過敏性腸症候群(IBS)・便秘の診断・治療。開発した無麻酔大腸内視鏡挿入法「浸水法」は国内外で広く導入されている。著書に『慢性便秘症を治す本』(法研)、『ねじれ腸 落下腸 滞った便がグイグイ出てくる 快うんマッサージ』(主婦の友社)など。

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