【和ハーブ連載】パスタレシピやスキンケアにも!身近な薬草ヨモギ
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【和ハーブ連載】パスタレシピやスキンケアにも!身近な薬草ヨモギ

「和ハーブ」とはミツバやシソなど、古来より日本で有用とされてきた植物のこと。この連載では、和ハーブ協会の古谷暢基(ふるや まさき)さんがさまざまな和ハーブを紹介します。

今回は、身近なスーパー薬草「ヨモギ」の魅力を詳しく解説します。

〔目次〕
日本全国に自生するヨモギは"足元の宝物"
薬草としての「ヨモギ」活用法
注意!ヨモギとよく似た危険な毒草
アイヌ、琉球文化で有用されるヨモギ

日本全国に自生するヨモギは"足元の宝物"

春から初夏が旬。食用や薬用に活用

草餅、ヨモギ団子

アスファルトのすき間や道ばたなど、日本全国どこでも足元に見つけられる「ヨモギ」。旺盛な生命力を持ち、和ハーブ協会本部がある銀座周辺でも見ることができます。春から初夏の新芽は柔らかく、香り高いことで知られ、春の風物詩「草餅」や天ぷらのほか、乾燥保存してお茶に使うなど利用法はさまざま。まさに「日本の足元の宝物」と言える和ハーブです。

大好評レシピ!ヨモギのジェノベーゼ

ヨモギのジェノベーゼ

和のイメージが強いヨモギですが、洋食レシピにも応用できます。和ハーブ協会は全国の料理教室や飲食店メニューの指導などをしていますが、どの土地でも"鉄板大好評"なのが「ヨモギのジェノベーゼパスタ」。日本全国どこでも"足元に大量にある草"なのに、本場レシピで使われるバジルにまったく負けないお洒落な香りと深い味わいを簡単に出せることに、大きなインパクトがあるようです。

ジェノベーゼソースの材料はヨモギ、米油、にんにく、落花生、塩。和の優しい香りを引き立たせるシンプルなレシピながら、想像を超えたパンチ力を発揮します。鹿児島県南さつま市の会場では、これにボタンボウフウ(長命草)を、愛媛県松野町では野生のセリとミツバを加えましたが、いずれも大人気でした。

このレシピでは、ヨモギをペーストにすることで細胞を破壊し、さらにオイルや塩分がしっかりと入ることで、水溶性・脂溶性成分の吸収を高めます。

薬草としての「ヨモギ」活用法

ヨモギは食材としてだけではなく、古くから"外用薬和ハーブ"としても親しまれてきました。ヨモギに含まれるタンニン成分は、肌を引き締め、肌荒れを防止したり、湿疹やあせもなどの治りを早める効果でも知られています。

お灸の「もぐさ」はヨモギの綿毛

もぐさ

ヨモギは、東アジアの伝統医療である「お灸」の材として使われてきました。体のツボや経絡の上に火をつけた熱い「もぐさ」を置き、その温熱効果や香りなどによって自然治癒力を高める「お灸」。

材となるヨモギは"薬草の聖地"伊吹山産が有名で、托葉(たくよう)が付かず大きいものは2m近くまで伸びる「オオヨモギ」の葉の裏の綿毛が使われます。

乾燥させたヨモギで「ヨモギ湯」

ヨモギ湯イメージ

生活の中で簡単に使える場面としては、入浴剤も挙げられます。乾燥させたヨモギの葉をお茶パックなどに入れて、浴槽に入れるだけ。収れん効果のあるタンニンや殺菌作用のある精油成分が肌を健やかにしてくれます。

※ヨモギ湯について詳しくは、「元気通信【2008年2月号】薬草風呂」をご覧ください。

私がいちばんヨモギの効果を実感するのが、"虫刺され特効薬"です。蚊に刺されたらすぐに生葉を潰して汁を出し、患部によく刷り込めば痒みはすぐに消え、そして再び腫れ上がってくることはありません。なお身近にいつもヨモギがあるとは限りませんので、多めの生葉を使ったチンキを常備しています。

注意!ヨモギとよく似た危険な毒草

ヨモギの香りの有無が見分けのポイント

ケキツネノボタン、トリカブト

左から順にケキツネノボタン、トリカブト

旬の春~初夏にヨモギを採取する場合、よく似た有毒植物、「ケキツネノボタン」の黄色い花、「トリカブト」の若葉に注意が必要です。

ヨモギの開花が8~10月なのに対し、ケキツネノボタンは4月ごろからほぼ同時期に黄色い花を咲かせます。夏ごろには結実し、地上部が消えていきますが、この頃になると今度は、成長した猛毒植物の「トリカブト」がヨモギと似た姿となってきます。

ただ、トリカブトには、ヨモギによく見られる葉の裏の綿毛や托葉などがまったくなく、茎がツルツルなので、見た目上の区別は可能です。

また、これらの毒草は、茎葉をちぎったときにヨモギ特有の香りがないことも見分けのポイントとなりますが、少しでも不安がある場合は使用しないことが賢明です。

アイヌ、琉球文化で有用されるヨモギ

ヨモギは日本全国で一年中、有用される和ハーブです。北はアイヌから南は琉球まで、日本のあらゆる文化圏において古くから生活の中心にいました。

アイヌ文化では魔除けの植物

オオヨモギ

アイヌ文化では、食材や薬草としての需要のほか、その香りに神秘的な力があると信じられてきました。堅固で長いオオヨモギの茎は、祭祀・儀式において、神に打つ矢の軸として用いられました。また、茎葉を潰して絞った汁は脇などに塗って魔除けとすると同時に、体臭消しのデオドラント剤として活用しました。

「命薬」としてのヨモギ

沖縄フーチバーそば

沖縄では「フーチバー」と呼ばれ、生活に欠かせない存在のヨモギ。和ハーブ協会の顧問である薬草名人のおばあは「沖縄の人にとって最も重要な植物」であると断言します。食材としては沖縄ソバやヤギ汁などのスープに、あるいはチャンプルーなど炒め物の香りづけに使われます。

薬食同源を意味する「ヌチグスイ(命薬)」の中では、血圧や熱を下げる「サギグスイ(下げ薬)」ジャンルの代表です。

現地で「ハママーチ」と呼ばれる「リュウキュウヨモギ」はまるで西洋ハーブのデイルのような爽やかなアロマを持ち、サギグスイとしての利尿や解熱のほか、肝臓疾患や結石などにも効果があるとされてきました。

どこでもいつでも簡単に採取でき、さらに薬効・味・香りなど機能性がそろっているにもかかわらず、多少収穫しても資源量が減らないヨモギは、人々の生活に密着しながら助け続けてくれる"和ハーバルライフの中心的存在"です。「日本の足元の宝物」ヨモギに改めて目を向けてみましょう。

※ヨモギはキク科の植物です。同じキク科の植物にアレルギーのある方はアレルギー反応が起こる可能性があります。

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この方にお話を伺いました

(一社)和ハーブ協会代表理事、医学博士 古谷 暢基 (ふるや まさき)

古谷 暢基

2009年10月日本の植物文化に着目し、その文化を未来へ繋げていくことを使命とした「(一社)和ハーブ協会」を設立、2013年には経済産業省・農林水産省認定事業に。企業や学校、地域での講演、TV番組への出演など多数。著書は『和ハーブ にほんのたからもの〈和ハーブ検定公式テキスト〉』(コスモの本)、『和ハーブ図鑑』((一社)和ハーブ協会/素材図書)など。国際補完医療大学日本校学長、日本ダイエット健康協会理事長、医事評論家、健康・美容プロデューサーでもある。

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