公私ともにハーブに囲まれて毎日を送っている商品開発担当が本格タイ料理「トムヤムガイ」のオリジナルレシピを紹介します。「トムヤムガイ」とは、日本でも有名なタイ料理のスープ「トムヤムクン」のエビを鶏肉に変えたもの。鶏肉を使うことで満腹感をアップさせつつリーズナブルに作れるのがポイントです。スパイスやハーブの活用方法も合わせて紹介します。
留学生が教えてくれた「トムヤムガイ」のレシピ
「トムヤムクン」と「トムヤムガイ」「トムカーガイ」の違いとは?
今回ご紹介するのは、タイ料理「トムヤムガイ」のレシピです。鶏肉を使ったタイ料理には「トムカーガイ」もありますが、こちらはまろやかなココナッツミルクベースのスープ。トムヤムガイは、世界三大スープで知られる「トムヤムクン」の具材を鶏肉にしたもの。酸味と辛みが合わさった独特の味わいが癖になります。
私がこのレシピを知ったのは大学時代です。所属していた研究室にはタイやバングラデシュなど海外からの留学生が多く在籍していました。宗教上の理由(豚肉、牛肉を食べられない等)もあり、メンバーで外に飲みに行くことは少なく、よく研究室内で料理を作って皆で食べていました。
そこでタイ人の留学生がトムヤムガイを振る舞ってくれました。一般的に知られているのはトムヤムクンですが、「クン=エビ」は日本では高いので、「ガイ=鶏肉」で作るのが友の教えでした。
あれから約15年の歳月が経過し、さらに研鑽して完成させたのがこのレシピです。
鶏肉で作るトムヤムガイの作り方
- 〔材料〕作りやすい量(約6皿分)
- 水 ...... 1400ml
- 鶏ガラスープの素 ...... 大さじ1
- トマト(大)...... 2個
- 玉ねぎ ...... 1個
- なす ...... 1個
- もやし ...... 1/2袋
- しめじ ...... 1/2袋
- 鶏もも肉 ...... 1枚
- あればハーブ適量(レモングラス、こぶみかんの葉、カーの代わりに生姜)
- (調味料)
- トムヤムクンペースト
ナンファー トムヤムペースト、アライド スリーシェフ トムヤムペースト ...... 各大さじ4 - 塩 ...... 大さじ1
- 砂糖 ...... 小さじ1と1/2
- ナンプラー ...... 大さじ1と1/2
- 牛乳orココナッツミルク ...... 約50ml
- ライム ...... 1個
※ トマト、玉ねぎ、なす、鶏もも肉は一口大に切る。
※ ハーブは普段は入れていません。なくても美味しくできます。
- 〔作り方〕
- 鍋に水1400mlを入れて沸騰したら、鶏ガラスープの素を入れる。
- トマト、玉ねぎ、なすを鍋に入れて15分煮込む。ハーブ(レモングラス、こぶみかんの葉、生姜)があればここで一緒に煮込む。
- 鶏もも肉、もやし、しめじを入れて、あくを取りながら5分煮込む。
- トムヤムクンペースト、塩、砂糖、ナンプラーを入れる。
- ココナッツミルクとライム果汁を絞り入れて仕上げる。
<ポイント>
タイ料理の魅力は、辛味、酸味、甘味、塩味、旨味、ハーブの香りをバランスよく楽しめること。トムヤムクンペーストにはそれぞれ特徴があり、2種類使うことで味が複雑で立体的になります。留学生曰く、最後にライムを絞ることがポイントで、酸味によって味わいが引き締まります。
翌日は余ったスープを素麺にかけ、パクチーをたくさんのせた「トムヤムガイヌードル」として楽しむのもおすすめです。
料理のアイデア① 甘口カレーを本格的な辛さにするスパイス
我が家のカレーライスは子どもに合わせて甘口です。大人は少し辛味やスパイス感を増すために、八幡屋礒五郎さんの「七味ガラム・マサラ」をかけて食べています。一振り、二振りすることで、カレーがどんどん本格的な風味に変身していく......まさに魔法のスパイスです。ついには、職場の食堂に懇願して、ガラムマサラを置いてもらいました。ポテトチップスにかけて食べるのもおすすめです。
料理のアイデア② ハーブでグリル野菜を香り豊かに
夏になると夏野菜が豊富になります。私が管理しているハーブ試験栽培場のハーブもよく育ちます。この素材たちを美味しく食べられないかと考えたのが、ハーブを使った「香草グリル野菜」です。
夏野菜をオリーブオイルで和えて、オレガノ、ローズマリー、セージ、タイムなどを散らします。これらをオーブンでこんがり焼けば、爽やかな香り漂うグリル野菜の出来上がりです。お好みで塩をつけていただきます。
記事で紹介したハーブをチェック
様々な料理に活躍するハーブは記事中のレシピ以外にも幅広く活用できます。スーパーなどで見かけたらチェックしてみてください。
レモングラス
エスニック料理には欠かせないハーブ。殺菌作用や消化を促す働きがあります。育てやすいのでキッチンハーブにもおすすめです。
オレガノ
トマトと相性がよくイタリア料理ではポピュラー。ドライハーブとしてはバジルと並ぶ人気があります。乾燥させてドライフラワーとして楽しんでも。
ローズマリー
煮込み料理や肉、魚料理に大活躍するローズマリーは、記憶力を高め、殺菌・抗菌作用を持つことから「若返りのハーブ」とも呼ばれています。
セージ
ヨモギに似た爽やかな芳香とほろ苦さが特徴的。肉の防腐と香りづけのためにソーセージに使われることでも有名です。脂っこい料理に使うとすっきりした仕上がりに。
タイム
代表的な品種のコモンタイムは花も緑の葉も刺激的な清涼感があります。ピクルス酢を作ったときに1本入れると香り豊かに。殺菌、防腐効果があるので常備菜にぴったりです。
今回ご紹介したタイ料理などの異国の料理には、その国の風土に合ったハーブやスパイスが使われます。料理を作って、美味しくいただきながら、異国の文化に想いを馳せてみるのも楽しいです。
魅力的で奥深く、無限の可能性があるハーブ、スパイスを今後も探求していきたいと思います。
この方にお話を伺いました
養命酒製造株式会社 商品開発センター 入江 陽 (いりえ あきら)

2009年養命酒製造株式会社入社後、中央研究所でハーブを使ったリキュール類の商品開発に携わる。2014年よりマーケティング部にて酒類の商品企画を担当した後、2017年より商品開発センターでクラフトジン、リキュール、機能性表示食品など商品開発全般に従事。