疲労回復におすすめの食べ物! 疲れたときにとるべき栄養素とメニュー
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疲労回復におすすめの食べ物! 疲れたときにとるべき栄養素とメニュー

日々忙しく過ごしていると、知らず知らずのうちに心身に疲れがたまってしまいます。疲労回復には、十分な睡眠と規則正しい生活、不足しがちな栄養を補給する食事が必要です。疲労回復に役立つ食べ物や食べ方のコツを解説します。

〔目次〕
疲労は体からの"SOS"
疲労の原因別! おすすめ栄養素と摂取できる食べ物
簡単・便利な疲労回復メニュー
疲れにプロテインは有効? 摂取する際の注意点は?

疲労は体からの"SOS"

疲労は体からのSOS

疲労とは、体や心に負荷がかかることにより過剰に発生した活性酸素によって細胞が傷つけられ、思考能力や注意力、行動量が低下したり、不調が現れたりしている状態を指します。これは体からの「休みたい」というSOSです。

東洋医学では人体を構成する「気・血・水」のうち、血(血液)や水(体液)を巡らせる「気」が不足することで、必要な栄養が体に行き渡らず疲労が起こると考えます。

気が不足する原因には"過ぎ"と"不足"があり、たとえば"食べ過ぎ"は「脾(ひ)」に負担をかけ消化吸収に、"働き過ぎ"によるストレスは「肝(かん)」の働きを低下させ、気血の流れ・消化に影響します。"睡眠不足"は「心(しん)」に影響し、血の巡りを阻害します。そのため全身に十分に栄養が行き届かず、気が不足してしまうのです。
疲労や気の不足を感じたら、とにかくまずは無理せずに休むことが大切。少し回復したら、疲労の原因に合わせて食事などで対策を行いましょう。

ストレスや疲労のサインはこちらをチェック!

疲労の原因別! おすすめ栄養素と摂取できる食べ物

おすすめ 栄養素 食べ物

長時間労働や運動などによる肉体疲労、ストレスからくる精神疲労、勉強した後の脳疲労など、疲労にはさまざまなタイプがあります。タイプによって消耗する栄養素は異なるので、必要な食べ物を意識的にとるようにしましょう。

スポーツ後の筋肉疲労におすすめの栄養素や食べ物

栄養素 食べ物
タンパク質 納豆や豆腐など消化のいいもの

長時間の労働やスポーツなどによって傷んだ筋肉を修復する働きがあり、疲れやすさの改善や疲労回復にも有効な栄養素です。

運動時に補給すると筋肉の損傷や疲労の抑制・回復に役立つといわれるBCAA(分岐鎖アミノ酸:ぶんきさアミノ酸)も、タンパク質を構成するアミノ酸です。

タンパク質は肉や魚、卵などの動物性のものと、大豆や穀類などの植物性のものがあります。どちらもバランスよくとる必要がありますが、疲れを感じているときは納豆や豆腐など、消化のよい食品を選ぶといいでしょう。

栄養素 食べ物
ビタミンC、クエン酸 レモンやみかんなど柑橘類

ビタミンCには疲労の原因となる活性酸素の発生を抑える抗酸化作用があります。また、酸味成分であるクエン酸も食べた物をエネルギーに変え、筋肉の痛みや疲れの軽減に役立ちます。

ビタミンC、クエン酸をとるなら、どちらも含まれるレモンやみかんなどの柑橘類がおすすめです。

精神疲労におすすめの栄養素や食べ物

栄養素 食べ物
ビタミンA・C・E、ポリフェノール 緑黄色野菜、果物、種実類、お茶、赤ワインなど

抗酸化ビタミン(ビタミンA・C・E)とは、過剰な活性酸素を取り除く抗酸化作用が期待される栄養素です。植物が外部ストレスから身を守るためにつくり出す苦味や色素の成分、ポリフェノールも強い抗酸化作用を持ちます。

抗酸化ビタミンは緑黄色野菜や果物、種実類から、ポリフェノールは果物やお茶、赤ワインなどから摂取できます。緑黄色野菜をごま油で炒めるなどして、ビタミンCとEを一緒にとると抗酸化作用がアップします。

栄養素 食べ物
カルシウム チーズなどの乳製品、じゃこ、干しエビなど

神経系の過剰な反応を抑えて調節する働きがあるため、イライラや過緊張、神経過敏などを和らげます。マグネシウムと一緒にとると疲労回復により有効です。

カルシウムはチーズなどの乳製品やプルーン、じゃこ、干しエビなどに多く含まれます。コレステロールが気になる場合は1日に小さじ2杯分くらいを目安にとるとよいでしょう。海で採れた天然塩などで調理すれば、マグネシウムも摂取できます。

勉強などでの脳疲労におすすめの栄養素や食べ物

栄養素 食べ物
ブドウ糖 ドライプルーン、ドライなつめ、はちみつなど

脳は睡眠時も休むことなく働いているため、消費するエネルギーも多い器官ですが、その主なエネルギー源となるのがブドウ糖です。

ブドウ糖は、体内に吸収されやすく即効性のあるエネルギー源でもあり、疲労回復に役立ちます。また、甘いものの摂取は体や精神の痛みをとり、気分の改善にも有効です。ただし、血糖値の乱高下を招く原因にもなるので、とり過ぎには注意しましょう。

ブドウ糖を含むプルーンやなつめなどのドライフルーツ、はちみつなら、少量で満足感が得られるでしょう。糖質の代謝にはビタミンB群が必須です。ビタミンB群が不足してると疲労、集中力不足等の原因にもなりますので、一緒にとるようにしましょう。

栄養素 食べ物
DHA サバ、イワシ、アジなどの青魚

「n-3系脂肪酸」にはα-リノレン酸、EPA、DHAがありますが、特にDHAには脳内に入って脳神経機能の働きを助け、記憶力や判断力を高める作用があります。さらに、血流改善や精神を安定させる働きも期待できます。DHAはサバやイワシ、アジなどの青魚に含まれます。

さまざまな疲れにおすすめの栄養素や食べ物

さまざまな疲れ おすすめ栄養素 食べ物

栄養素 食べ物
ビタミンB群 豚ヒレ肉、鶏むね肉、赤身の魚など

ビタミンB群はビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種をまとめた総称で、食べた物をエネルギーに変えるのに欠かせない栄養素であり、疲労回復に役立ちます。

お互いに助け合って働くため、まとめて摂取した方がより有効です。水溶性ビタミンのため必要以上にとっても体から排出されてしまうことから、コンスタントに補給する必要があります。食事でとるのが難しい場合は、信頼できるメーカーのサプリメントも活用してみましょう。

ビタミンB群がとれる食品には、豚のヒレ肉や鶏のむね肉、ウナギ、マグロやカツオなどの赤身の魚、ごまやアーモンドなどの種実類、たらこ、卵、納豆、バナナなどがあります。

逆に糖質の代謝にはビタミンB群が使われるため、甘いものの取りすぎには注意しましょう。

栄養素 食べ物
イミダゾールジペプチド 鶏むね肉、マグロ、カツオなど

疲労の原因である活性酸素による酸化ストレスを軽減する、優れた抗酸化作用を持ちます。肉体的な疲労にも精神的な疲労にも有効な優れた力を発揮します。イミダゾールペプチドは鶏のむね肉、マグロやカツオなどの尾の筋肉などに多く含まれます。

栄養素 食べ物
レバー、イワシなど

貧血によって体内への酸素の供給が減り、エネルギー産生も落ちて疲労を生じる場合があります。このうち鉄欠乏性貧血の改善には鉄を補う必要があります。月経のある女性、激しい運動をする人、内臓機能が低下している人は、意識するとよいでしょう。鉄の補給には赤身の肉やレバー、イワシなどがおすすめです。鉄の補給には食材も大事ですが、鉄製のフライパンを使用することでも鉄が補給できます。

季節性疲労におすすめの栄養素や食べ物

春は「肝」の動きが活発になり「脾」の働きを低下させるので、肝気の強い人は酸味のものを食べて肝気を抑えます。菜の花の辛子和えなど辛味のものやキャベツなど甘味の野菜、穀類などで「脾胃」の働きを助けるよいでしょう。

また、冬の間に溜め込んでしまった老廃物を食物繊維や山菜など苦味のあるもので体から排出し、香りのあるもので「気」の巡りをよくしましょう。

冷房環境にいる方は巡りを促す辛味の食材を使って、胃腸を温める温かいスープや料理を。屋外の仕事などで大量に汗をかく方は、汗と共に失われる水分やビタミン、ミネラルや気を補う食材を積極的に摂取して夏バテ対策をしましょう。

6月、7月は湿度が高く、湿が苦手な「脾」が弱り、食欲不振、下痢なども起こりやすくなります。湿を溜めずに外に出す食材としては、水毒タイプにおすすめのハトムギ、冬瓜、ナス、きゅうり、スイカ、緑豆、はまぐり、クラゲなど。余分な水分を出し、生姜、陳皮で「脾気」を動かして栄養を吸収できるようにしましょう。

秋の疲労は夏バテの延長です。冷房や冷たいものの食べ過ぎで胃腸の機能が低下して起こるのが秋バテです。立秋(8月)から9月にかけて夏の疲れを解消し、10月の爽やかな時期に体を動かし、自然の実り(秋に収穫された穀類、イモ類や魚のサンマ、サバなど)をいただけるようになるのがベストです。

胃腸が冷えている場合は、生姜や温性のスパイス類、カレーパウダーなどを活用しましょう。緑茶、ミントティー、ルイボスティーは温かくても体を冷やすので摂取は控えめに。
疲労回復には、ビタミン類(枝豆、豚肉など特にビタミンB群を含有するもの)、気を補うには穀類、いも類、水分不足には果物(桃、ぶどう、スイカ、メロンやウリ類)、野菜(冬瓜、きゅうり、大根、蕪など)を。

巡りを促すために温性の食材を使い、適度にスパイス類なども加えて、生ものや冷たいものは避けて、温かい調理をしたものをとりましょう。
また、根菜などに含まれる食物繊維で腸の働きを整え、免疫力を高めましょう。冬の臓である「腎」を養う黒豆や黒ごまなど黒い食べ物もおすすめです。

簡単・便利な疲労回復メニュー

簡単・便利な疲労回復メニュー

疲れているときは、食事の準備をさっと済ませて体を休ませることが大切です。作り置きや冷凍食品、レトルト食品なども活用して、手間をかけずに消化によいものを作りましょう。

鶏がらスープの素と粉ゼラチンで「薬膳鶏コラーゲンスープ」

薬膳の本場である香港では、不足しがちな「気」や「血」を補う、鶏を丸ごと一羽煮込んだ「丸鶏スープ」が滋養強壮メニューの定番です。疲れていて作るのが難しいときは、鶏がらスープの素とゼラチンでつくる「薬膳鶏コラーゲンスープ」がおすすめです。具材を足してアレンジも楽しんでみてください。

冷凍餃子と余り野菜で「スープ餃子」

添加物の少ない冷凍餃子を常備しておくと便利です。おすすめはスープ餃子。家にある野菜と一緒に、ねぎやしょうがを加えたスープで煮込めば、消化によく、体も温まる一品に。

餃子の材料でありビタミンB1が豊富な豚肉は、ねぎなどアリシンを含む香味野菜を一緒にとると疲労回復効果がアップします。スープには「薬膳鶏コラーゲンスープ」を使ってもいいでしょう。

レトルトでOK!トッピングで栄養をプラスする「おかゆ」

疲れているときは、レトルトやフリーズドライのものも活用しましょう。ビタミンB群がとれる卵や、イミダゾールペプチドが豊富な鶏胸肉を蒸してトッピングすれば疲労回復により有効です。市販のサラダチキンでもよいですが、濃い目の味がついているものもあるため、保存袋に入れて茹でるだけで作り置きもできる「しっとり薬膳チキン」がおすすめです。

ゼラチンを溶かしてお手軽「コラーゲンドリンク」

手軽にタンパク質をとるなら、コラーゲンの含有率が高いゼラチンを溶かして飲んでもよいでしょう。牛乳や豆乳、はちみつ、レモンなどを加えると美味しくいただけます。

疲れにプロテインは有効? 摂取する際の注意点は?

最近では粉末やゼリー飲料、バータイプなど多くの商品が販売され、利用する人も増えています。タンパク質は疲労回復に有効ですが、それだけで効果が現れるわけではなく、とり過ぎると腎臓などの内臓機能に負担をかけてしまいます。

この方にお話を伺いました

料理研究家、管理栄養士、国際中医薬膳管理師 植木 もも子 (うえき ももこ)

植木 もも子

中医学や雑穀などを取り入れた、 美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『いちばんやさしいさかな料理の本』(日東書院)他著書多数。

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