悩まされている人の多い不調、頭痛。ひとくちに頭痛といってもいくつかの種類があり、代表的な頭痛タイプとして、片頭痛(偏頭痛)と緊張型頭痛の2つがあります。原因が異なるため、よかれと思って行った対処が逆効果となることも(例えば、血行を促す入浴は、緊張型頭痛に有効である一方、片頭痛には逆効果)。改善するには症状に合わせたケアを行うことが大切です。アロマ&ハーブを使ったタイプ別の対処法を紹介します。
代表的な頭痛の種類と対策
肩こりやストレスなどが原因になる「緊張型頭痛」
首や肩周りがこって血流が悪くなることで起こる頭痛を「緊張型頭痛」といいます。老若男女を問わず多く見られるタイプの頭痛で、パソコンやスマートフォンの長時間使用により悩まされる人が増えています。長時間のデスクワーク、目の酷使、精神的ストレスが原因になりやすく、俗にパソコン頭痛、スマホ頭痛とも呼ばれます。
- 〔緊張型頭痛の対処方法〕
- 首筋や肩を伸ばすなどこまめなストレッチで筋肉をほぐす
- 筋肉の緊張を和らげる、血管拡張作用のあるハーブティーを飲む
- 心身のストレスを解消するためにゆっくりと入浴する
- パソコンを使う際は、画面をやや見下ろす高さにイスを調整。腕は机の上か肘かけに置いて固定し、首や肩、背中への負担を軽減
脳内物質が関係。気圧や女性ホルモンの影響を受けやすい「片頭痛」
脳内物質のセロトニンが何らかのきっかけで増減するのに伴い、脳血管が収縮・拡張し、周辺の神経が刺激されることで起こる「片頭痛」。睡眠不足のほか、気圧や天気の変化、特定の食品(ポリフェノールなど)の摂取、女性ホルモンの分泌の変動も原因になるため、女性は月経前や排卵期に起こりやすくなります。
- 〔片頭痛の対処方法〕
- 片頭痛は特効薬があるので、病院で専用薬を処方してもらうのが確実
- 片頭痛のときは光や音の刺激をシャットアウトして安静にする
- 冷たいタオルや冷却シートでこめかみを冷やす
- 片頭痛の予防にハーブティーを取り入れる
頭痛ケアにおすすめのアロマ&ハーブ
ストレスや睡眠不足による頭痛対策に「ラベンダー」
高いリラックス効果で知られるラベンダーは万能薬ともいわれる精油。イライラを鎮め、ストレスが原因の頭痛や不眠を緩和します。ラベンダーの香りを用いると眠りが深くなることもわかっているので、睡眠不足による片頭痛の予防にもおすすめです。
緊張型頭痛のケアに有効「ジャーマンカモミール」
優れた鎮痙作用(筋肉の緊張を和らげる作用)とリラックス効果を兼ね備える、緊張型頭痛を解消する代表的なハーブ。月経痛や冷え症など婦人科系の症状のケアにも効果的です。
ストレスからくる緊張型頭痛に「レモンバーム」
鎮痙、鎮静、抗うつ作用に優れたハーブ。不安やイライラした気分を和らげ、気持ちを明るくしてくれます。ストレスによる緊張型頭痛のケアに役立ちます。
こりを和らげ緊張型頭痛をケアする「リンデン」
穏やかな鎮静作用で知られるハーブ。甘い香りが緊張や不安をといった精神的なストレスを和らげます。血管拡張作用もあるといわれ、首や肩のこりを緩めて緊張型頭痛をケアします。
ズキズキ片頭痛の予防に「フィーバーフュー」
片頭痛に効果的なハーブとして注目されています。フィーバーフューに含まれる「パルテノライド」が、痛みの原因となるセロトニンの放出を抑制し、頭痛を予防。独特の苦みがあるので、ブレンドティーもしくはサプリメントで飲用するのが一般的です。
アロマ&ハーブのおすすめの使い方
緊張をほぐすなら「レモンバーム×リンデンのブレンドティー」
ストレスケアに良いレモンバームとリンデンを1:1でブレンド。緊張が解けずなかなか寝付けないときに、就寝の少し前にこのティーを飲むと心地よく眠ることができるでしょう。
コーヒー代わりに飲んで片頭痛を予防「カモミールのブレンドティー」
カフェインも片頭痛を引き起こす要因になります。習慣的にとっている場合、コーヒーの代わりにハーブティーを飲むようにするのがおすすめです。
心身両面の緊張を緩めるジャーマンカモミールにパッションフラワー少々を加えたブレンドティー。ストレス性の頭痛の場合は、パッションフラワーを多めにするのもよいでしょう。
片頭痛を和らげる「フィーバーフューのブレンド」
片頭痛の原因となるセロトニンを抑制する作用のあるフィーバーフュー。フィーバーフュー1に対し、ミント1/2、ラベンダーもしくはレモンバーム1/2を加えると、心もゆったり落ち着くブレンドに。
緊張型頭痛を和らげる「ジャーマンカモミールのアロマバス」
20g程度のジャーマンカモミール(ドライハーブ)をティーバッグ(もしくは木綿の袋)に詰め、浴槽に入れて入浴します。ハーブティー用のジャーマンカモミールも使用できますが、入浴用に販売されているハーブのほうが経済的。もしくは飲み切れなかったハーブティーをお風呂に活用しても良いでしょう。
ハーブティーを使う場合は、10分程度抽出した濃い目のものを浴槽に注ぐ方法もあります。この他一杯目のハーブティーを飲んだ後の二煎目を活用すると、無駄がありません。
首・肩こりをほぐす「アロマトリートメント」
キャリアオイル(オリーブオイル、スイートアーモンドオイルなど)10mlにラベンダーの精油を2滴たらし、トリートメントオイルを作ります。入浴後、首筋や肩に塗ってやさしくマッサージしましょう。
この方にお話を伺いました
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ所属 葛和 恵奈子 (くずわ えなこ)
英国IFAアロマセラピスト/AEAJアロマセラピスト/AEAJアロマセラピーインストラクター/メディカルハーブコーディネーター
編集者として取材で出会ったハーブ&アロマのチカラに魅せられ、メディカルハーブ健康術&生活術を学ぶ。専門学校講師として、またイベントやセミナーでTPOに合わせたハーブ&アロマ活用方法を伝えている。