麻婆豆腐や担々麺など、中華料理に欠かせない香辛料として知られている花椒(ホアジャオ)。爽やかな香りと舌がしびれるような辛さが特徴です。
花椒の主な効能
花椒の芳香成分でもあり、辛味成分でもあるサンショオールには、唾液や胃液など消化液の分泌を促す作用があり、食欲不振や消化不良を改善する働きがあります。
また、中枢神経を刺激して内臓の働きを活発にする作用もあります。そのため健胃薬として重宝され、当帰湯(とうきよう)や大建中湯(だいけんちゅうとう)など、胃の健康に有効とされる中医薬に含まれています。
美味しいしびれで激辛ブームの火つけ役に
ここ数年、激辛ブームが再来しており、第4次激辛ブームと呼ばれています。今回のブームの主役は花椒。その人気は中国語で「しびれる」を意味する「麻(マー)」を使った「マー(麻)活」という言葉が生まれるほどです。
この4年で市場規模が2倍以上に成長したといわれる花椒。ちなみに、花椒の「麻」に対して、唐辛子の舌がヒリヒリする辛さを意味するのが「辣(ラー)」です。
花椒はスーパーの香辛料売り場で気軽に入手できます。青菜の炒め物や鶏の唐揚げなどに少し加えるだけで風味がアップして味つけの幅が広がるので、試してみてはいかがでしょうか。
花椒はジンなど、ハーブのお酒の香りづけに使われることもあり、風味に奥行きを出す効果があります。料理だけでなく飲み物に加えるのもおすすめです。
花椒と山椒の違い
中国原産のカホクザンショウの果皮を乾燥させてつくる花椒。日本原産の山椒とはよく似ていますが、山椒の元となるサンショウとカホクザンショウは同属異種にあたります。
花椒と山椒は成分が多少異なるものの、実の形はよく似ています。どちらも落葉低木で、秋になると熟した赤い果実を実らせます。
山椒も花椒も痺れるような辛さがあり舌を麻痺させますが、花椒の方が一般的に辛味は強いといわれています。花椒1粒で舌だけでなく、口の周り全体が麻痺した様になることも。辛さが得意でない人は、食べ過ぎに注意しましょう。
この方にお話を伺いました
養命酒製造株式会社 商品開発センター センター長 丸山徹也 (まるやま てつや)
1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社、中央研究所所属。その後同所研究部長、同所副所長を歴任。2014年より同社商品開発センター長。薬剤師。