料理家として活躍する副島モウさんに、ハーブやスパイスの個性を楽しむレシピを教えていただく連載第5回。今回は、ホットワインやチャイに欠かせないスパイス「クローブ」を使った大人味のパウンドケーキレシピをご紹介します。
香辛料や生薬に活用されてきた
クローブの語源
甘く濃厚な香りが特徴の「クローブ」。フトモモ科の木で、花が開く前のつぼみを収穫し、乾燥させて使用します。つぼみが釘に似た形をしているため、釘を意味するフランス語「clou」が語源。日本では「丁子(ちょうじ)」や「丁香(ちょうこう)」と呼ばれ、古くから生薬や香料に使用されていました。
クローブの効能効果
オイゲノールという強力な殺菌作用と鎮静作用を持つクローブの精油は、古くから歯痛止めや口臭予防に使われてきました。歯医者さんで馴染み深いあの匂いは、実はクローブの香りなのです。
また、消化器系の不調にも効果があり、芳香性健胃薬にも多く使われています。
クローブの効果効能について詳しくはこちら。
豊かな香りがアクセントに
クローブの使い方
香りが強いため、肉料理の「臭み消し」として重宝されているクローブ。ポトフやビーフシチュー、豚の角煮などに使用されます。香りが強く出過ぎないよう、肉や玉ねぎに刺して煮込み、食べる前に取り除くのが一般的です。
また、フルーツとの相性も抜群で、コンポートや焼きりんごに入れると美味しさが引き立ちます。フルーティーな香りやミルクと相性が良いので、ホットワインやチャイに加えるのもおすすめ。香りが強いので入れ過ぎには注意しましょう。
クローブを使ったチャイの作り方はこちらから。
クローブの香り広がる
スパイシーなパウンドケーキ
蜂蜜とスパイスをたっぷりと使用した、ドイツのクリスマスに欠かせない伝統焼き菓子「レープクーヘン」をイメージしたパウンドケーキです。焼き菓子作り初心者でも失敗のない、ホットケーキミックスを使った簡単レシピ。スパイスが効いた大人の味わいです。
- 〔材料〕18cmのパウンド型1個分
- バター(サラダ油でも可).....70g
- クローブ(パウダー)............大さじ1
※一部大型スーパーのスパイス売り場や、ネット通販で購入できます。 - ホットケーキミックス............200g
- 牛乳...........................................70cc
- 砂糖...........................................50g
- 蜂蜜...........................................大さじ2
〔作り方〕
- オーブンは180度に予熱しておく。バターを液状に溶かし、クローブを加えてよく混ぜる。
- ボウルにホットケーキミックス、牛乳、砂糖、蜂蜜を入れてよく混ぜ、1.を加えて全体が滑らかになるまでよく混ぜる。
- クッキングシートをひいた型に生地を入れ、2~3回トントンと型を落として空気を抜き、オーブンで40分加熱する。
- 竹串を中心に刺し、生地がくっついてこなければ完成。粗熱をとって全体をラップで巻き、冷蔵庫で1日冷やします。
※1日置くことで、しっとりと仕上がります。
○アドバイス
・クローブは油に溶ける性質があるため、バターに加えて香りを移します。
・ホイップクリームを添えても美味しくいただけます。
・ドライフルーツやナッツを加えても◎
スパイシーなパウンドケーキにハーブのお酒をあわせるなら、「生姜のお酒」の紅茶割りがおすすめ。紅茶と生姜、ハーブ、蜂蜜の風味の相乗効果でふわりと香りがふくらみます。
この方にお話を伺いました
副島モウ (そえじま もう)

エコール辻フランス・イタリア料理カレッジに入学。TOULOUSE Les Jardin de l’Operaにて修行。帰国後、GRAND HYATT TOKYO、BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYOを経て料理研究家パトリスジュリアン師に師事。レシピ開発、料理教室(L’atelier nuage)、フードコーディネーション、RENDEZ-VOUS DES AMIS(鎌倉小町)オーナーシェフとその活動は多岐にわたる