余分な水分が体内にたまると生じるむくみ。そのため塩分・水分のとり過ぎや冷たいものの食べ過ぎが原因で、むくみを引き起こすことがあります。スッキリ解消するには食べ方を見直すことも大切。むくみ改善に効果的な栄養素や食べ物、飲み物を紹介します。
むくみが起こりやすい食べ方は「脂・甘・濃+冷」
東洋医学に「肥甘厚味(ひかんこうみ)」という言葉があります。「肥」は脂っこいもの、「甘」は人工的な甘さ、「厚」は味の濃いものを意味し、これらと冷たいものが胃腸の働きを低下させ、むくみを引き起こすと考えられています。むくみを引き起こす食べ方をしていないか、以下で確認してみましょう。
塩分のとりすぎ
塩分をとり過ぎると、体は体内の塩分濃度を下げるために水分をためこもうとします。喉も渇くため水分を必要以上にとってしまい、むくみにつながります。
アルコールの飲み過ぎ
血液中のアルコール濃度が高くなると血管が拡張し、水分代謝が乱れてむくみが生じます。飲酒時のおつまみで塩分摂取が増えることも影響すると考えられます。
糖質のとり過ぎ
糖質の多いもの、また食べ過ぎによる糖質過多にもご注意を。糖質は水分に結びつきやすく、むくみの原因になります。
朝の冷たいメニューは胃腸の負担に
健康を意識して朝食でサラダやヨーグルト、スムージーなどをとっている人がいますが、朝は温かなものを食べて体を目覚めさせ、巡りを促すことが肝要です。胃腸の負担になる冷たいものは控えましょう。
ただし、体を温めるからといって発汗を促すようなスパイス類をとり過ぎると、やはり胃腸を弱めてしまいますので注意してください。
むくみを解消する食べ物&栄養素
むくみ解消に有効な栄養素と、その栄養素が豊富な食べ物を紹介します。カリウムやビタミンB群は水溶性なので、調理する場合はみそ汁やスープなどにして余すことなく食べるのが理想的です。
カリウム
余分なナトリウム、水分を排出する作用があり、むくみの改善に有効です。
- 〔カリウムの豊富な食べ物〕
- バナナ、ほうれん草、きゅうりなど
たんぱく質
たんぱく質の一種「アルブミン」は、血液中の水分バランスを保つ働きがあります。不足すると血管の外に水分がたまってしまい、むくみが出ます。
- 〔たんぱく質の豊富な食べ物〕
- 肉、魚、豆類など
ビタミンB群
糖質、脂質、アルコール、水分の代謝を助けてくれます。
- 〔ビタミンB群の豊富な食べ物〕
- 卵、マグロなど
全身もしくは手足がむくみやすい人におすすめ!
利尿作用のある食べ物
むくみは部位によって原因や対策が異なります。東洋医学では、全身もしくは手足のむくみは胃腸など消化器官を司る「脾」が弱っていると考えられます。胃腸は湿気を嫌う臓器なので、きゅうりやスイカ、とうがん、もやし、豆類など利尿効果のある食べ物をとるといいでしょう。
下半身がむくみやすい人におすすめ!
「腎」をサポートする黒い食べ物
水分代謝と関わりが深い「腎」が弱ると下半身にむくみが生じると考えられます。黒豆、黒きくらげ、黒ごま、海藻など、「腎」をサポートする黒い食べ物を積極的にとりましょう。
むくみの改善には漢方薬も有効です。漢方薬の種類や効能については、以下の記事で詳しく紹介しています。
コンビニでも買えるむくみを解消する飲み物
むくみが気になるときは、むくみ改善に役立つ飲み物を取り入れるのも方法です。コンビニで購入できるものもあるのでチェックしてみてください。
はとむぎ茶
はとむぎ茶のヨクイニンには水分代謝を助ける作用があります。
とうもろこしのひげ茶
ナトリウムや余分な水分の排出を促すカリウムが含まれています。
黒豆や小豆のお茶
黒豆・小豆に豊富なポリフェノールには血流を促す効果があり、水分代謝をアップさせる効果があります。
トマトジュース
余分なナトリウム、水分を排出するカリウムが豊富です。
なお、水分は食べ物からとることも意識するようにしてください。東洋医学にある「酸甘化陰(さんかんかいん)」という考え方では、酸味と甘味を一緒にとれる物は体を潤すとされます。たとえば、はちみつレモンやトマト、スイカ、ぶどうなどがそれに当てはまります。
むくみを予防する食べ方と生活習慣
冷たいものは温かいものと一緒に食べる
むくみを予防するためには冷たいものは避けた方がいいとは理解していても、暑い季節はどうしても食べたり飲んだりしたくなるもの。そのような時は、温かい物を一緒に口にしたり、しそやしょうが、みょうがといった体を温める薬味を添えたりするなど、体を冷やし過ぎないように食べ方を工夫しましょう。
無理に水分をとらなくてOK。飲むならホットか常温
飲み物は無理せず、のどの渇きを感じたら飲むくらいにしましょう。このときも温かいものか常温を選ぶようにして、飲食店のお冷は氷抜きを頼むようにしてください。
足首を冷やさない
くるぶしの上にある「三陰交(さんいんこう)」というツボが冷えると、自律神経やメンタルを司る「肝(かん)」、胃腸を司る「脾(ひ)」、泌尿器やホルモンを司る「腎(じん)」に影響が出て、むくみを招いてしまいます。靴下やレッグウォーマーをはいて足首を冷やさないような対策をとりましょう。
むくみ解消にはツボ押しやマッサージも有効です。ツボの場所や手順については以下の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
この方にお話を伺いました
鍼灸師 国際中医専門員(国際中医師) 田中 友也 (たなか ともや)

兵庫県神戸市にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」で健康相談にのる。関西学院大学法学部卒業後、イスクラ中医薬研修塾にて中医薬を学び、北京中医薬大学などで研修。季節に合った健康法や食養生をつぶやくTwitterが人気。日本中医薬研究会会員。著書は『不調ごとのセルフケア大全 おうち養生 基本の100』(KADOKAWA)など。