梅雨になると、湿気のせいで何となく体まで重だるく感じることはありませんか? この時期の不調の原因を探るべく、漫画家のかるめさんが国際中医薬膳管理士の植木もも子先生に直撃取材。むくみやクーラー冷えなど、お悩みに合わせた「薬膳つゆ」レシピで梅雨の不調を美味しく対策しましょう。
- 〔目次〕
- 梅雨だけに...薬膳つゆで体調不良を解消!
- 梅雨の体調不良を引き起こす「湿邪」とは?
- 「脾」を労り梅雨を元気に過ごすコツ
- むくみやクーラー冷えなど梅雨の不調別薬膳つゆレシピ
- 薬膳って意外と簡単に取り入れられる!
梅雨だけに...薬膳つゆで体調不良を解消!
記事の後半では薬膳つゆのレシピを紹介しています! 最後までチェックしてくださいね。
梅雨の体調不良を引き起こす「湿邪」とは?
梅雨はジメジメしているし、なかなか外でも遊べないつらい時期。だるさや頭痛、むくみなど体調もなんだかすぐれない......という方が多いのではないでしょうか。その原因を植木先生に聞いてみた。
そもそも湿度が高いという理由で体調不良が起こることを初めて知った。でもどうしてなんだろう?
「脾(ひ)」とはあまり聞きなじみのない言葉だが、薬膳の基本の考え方「五行(ごぎょう)」に対応する「五臓(ごぞう:肝<かん>・心<しん>・脾<ひ>・肺<はい>・腎<じん>)」のうちのひとつ。消化吸収、栄養代謝などの胃腸の機能全般を指す臓腑(ぞうふ)のことをいう。
脾の機能が弱ると消化不良、食欲不振などの症状が起こりやすくなる。体内の水分調整を担うのも脾の役目。そのため梅雨はむくみが起こりやすくなるのだ!
五臓の詳しい役割についてはこちらをチェック!
湿度の高さ以外にもストレスや冷房、お酒や冷たいもののとりすぎも脾が弱る原因とのこと。
ほ〜! 脾を労わることが大切なのか!! ということで植木先生に脾の機能を労わる5つの方法を教えていただいた。
「脾」を労り梅雨を元気に過ごすコツ
さらに湿邪を防ぎ、脾の働きを助ける食べ物をとるといいのだと言う。
意外と簡単に実践できそうなことばかり。好きなものを絶対に食べてはいけないということではなく、「体調を崩さぬよう食べたあとカバーすることが大切」という植木先生のお話が印象に残った。これなら続けられそう!
そしていよいよ、体が元気になる簡単薬膳つゆレシピを紹介してもらうことに!
むくみやクーラー冷えなど梅雨の不調別薬膳つゆレシピ
湿を出し、糖質の代謝を促す枝豆で「ずんだ出汁つゆ」
植木先生「枝豆には湿を排出する作用のほか、麺類の糖質の代謝を促す作用もあるので、梅雨~夏の養生におすすめです。枝豆と出汁をミキサーにかけてなめらかなポタージュ状にすることで、素材の旨味を舌全体で感じることができます」
- 〔材料〕1人分(201Kcal 塩分1.95g ※麺を除く)
- 枝豆(茹でてさやから出したもの)※ ...... 80g
- 出汁(かつお、昆布)...... 300ml
- 塩 ...... 小さじ1/3
- 淡口しょうゆ ...... 小さじ1
※冷凍のものでも可。塩味がついたものを使う場合は塩・淡口しょうゆの量を調整してください。 - 〔具材〕
- 蒸し鶏
鶏むね肉 ...... 80g
酒 ...... 大さじ2
塩 ...... 小さじ1/2
こしょう ...... 少々 - きゅうり(千切り)...... 1/2本分
- みょうが(小口切り)...... 1個分
- 〔作り方〕
- 茹でた枝豆と温めた出汁をミキサーにかけてなめらかにする。塩、淡口しょうゆも加えてさらに混ぜる。
- 蒸し鶏を作る。鶏むね肉、酒、塩、こしょうをフライパンに入れ沸騰したら弱火で1~2分蒸し、火を止めて放置する。粗熱がとれたら蒸し鶏を細く裂く。
- きゅうりはさっと水に通して水気を絞る。みょうがも水にさらし、水気をしっかり切る。
- 1を器に注ぎ、具材とお好みの麺を添える。蒸し鶏に1をかけて具材を添え、麺なしで食べても美味しい。
口に入れた瞬間枝豆の味がふわっと広がる、枝豆好きにはたまらない味! つぶつぶ感が残る舌触りもたまらない。この薬膳つゆは特にそうめんと相性がよかった。
疲れ気味の胃腸を労わる「トマトにんにく炒めつゆ」
植木先生「開胃作用のあるトマトが胃腸を労わる薬膳つゆです。寒性の食材トマトに、温性の薬味にんにくや紫蘇を合わせて、体の温冷のバランスを整えます。トマトの旨味が濃いので、味付けはめんつゆと鶏ガラ、フライパンひとつで出来て簡単ですよ」
- 〔材料〕1人分(257Kcal 塩分4.3g ※麺は除く)
- トマト ...... 大1個(150~180g)
- にんにく...... 1/2粒
- 紫蘇 ...... 10枚※
- オリーブ油 ...... 大さじ1強
- 鶏ガラスープ ....... 小さじ1
- めんつゆ ...... 大さじ2
- しょうゆ ...... 小さじ1/2(お好みで)
- ツナ缶(ノンオイル)...... 大1/2缶(小の場合は1缶)
※バジルに代えてもOK
- 〔作り方〕
- トマトはヘタを取り8等分にカットしたら、さらに横に半分に切って1cm大にする。にんにくは皮をむき、芽を除いて横に薄切りにする。紫蘇は軸を切り落として千切りにし、水にさらしてあくを除いたら水気を切る。
- フライパンにオリーブ油とにんにくを入れて混ぜて中火にかける。にんにくの香りが立ったらトマトを加えて少し崩れるくらいに中火で炒める。
- 2に鶏ガラスープと湯300ml(分量外)を加えて煮る。沸騰したらめんつゆを入れて、味見をして必要だったらしょうゆを加える。
- お好みの麺を入れた器に3を注ぎ、水気を切ったツナを入れて紫蘇を添える。
味付けはシンプルなのにもかかわらず、コクがある美味しさ。中華麺との相性がいい。トマトや紫蘇のさっぱりとした味わいが梅雨のジメジメを吹き飛ばす!
むくみが気になる人に!「きゅうりとなすの香ばしごま味噌つゆ」
植木先生「ビールなどの冷たいものの飲み過ぎによるむくみ解消におすすめの薬膳つゆです。きゅうりとなすには利尿作用があるので、余分な水分を体から排出してくれます」
- 〔材料〕1人分(141Kcal 塩分1.13g ※麺は除く)
- きゅうり ...... 1/2本分
- なす ...... 小1個
- 白ごま ...... 大さじ1
- 味噌 ...... 大さじ1
- 出汁(温かいもの)...... 300ml
- 〔具材〕
- 豚もも肉 ...... 50g
- 生姜(すりおろし)...... 小さじ1弱
- お好みで紫蘇、みょうがなどの薬味
- 〔作り方〕
- きゅうりは小口切り、なすは縦半分にカットしてから薄切りにして、たて塩※1 に浸け、少ししんなりしたら水気を絞る。白ごまは香りが出るまで炒る。具材の豚肉は3~4cmの長さにカットし、酒大さじ1と塩少々(分量外)を振っておく。
- ボウルに白ごま、味噌、出汁1/2カップを入れる。白ごまと味噌がよく混ざったら残りの出汁も加える。※2
- 2にきゅうりとなすの水気を絞ったものを加えてよく混ぜる。
- 沸騰した湯で豚もも肉を少しずつ菜箸でさばきながら茹で、色が変わったら冷水にとる。熱が取れたらペーパータオルの上にのせて水気を切っておく。
- 3を器に注ぎ、具材とお好みの麺を添える。冷しゃぶに3をかけて具材を添え、麺なしで食べても美味しい。
※1 およそ3%(海水と同じくらい)の塩水が「たて塩」。これに漬けると、ハリハリとした食感を残しつつ、水分を抜いて少ししんなりさせ、味が入りやすくなる。水1カップ(200ml)に小さじ1(約6g)の塩の割合で作ると簡単。「たて塩」が面倒な場合は、塩もみしてしんなりしたら塩を洗い、水気を絞るのでもOK。
※2 すり鉢で白ごまをすりながら混ぜ合わせるとよりコクが出ます。
ごまを炒ると香ばしい香りが漂ってくる。これだけでも美味しそう。
ごまや味噌の深い味わいにピリッとした生姜がよいアクセントになっている! これはそばやそうめんと相性がよかった。いろいろな麺を食べ比べて自分の好みを探すのも楽しい。
運動不足の人に!スパイスが巡りを促して温める「さらりスパイスカレーつゆ」
植木先生「運動不足で体の巡りが滞りがちだったり、冷たいもののとりすぎで胃腸が冷えたりしている人におすすめの薬膳つゆです。温性の食材の中でも、特に胃腸を温める効能があるスパイスを使います。湿を排出する作用があるとうもろこしを彩りに。カレールーを使わず、スパイスのみで風味付けするので、もたれにくくてヘルシーに仕上がります」
- 〔材料〕1人分(カロリー:384Kcal 塩分3.18g ※麺は除く)
- ピーマン赤・緑 ...... 各1個
- 玉ねぎ ...... 1/3個
- 牛赤身ひき肉 ...... 80g
- オリーブ油 ...... 大さじ1強
- クミンシード ...... 小さじ1/2
- にんにく(粗みじん切り)...... 1/2片
- カレー粉 ...... 小さじ2~3(お好みで分量を調整)
- とうもろこし(冷凍や缶詰でもOK)...... 大さじ2
- 鶏がらスープ ...... 小さじ1
- めんつゆ ...... 大さじ1と1/2
- 〔作り方〕
- ピーマンは縦に四等分してヘタと種を除き、1~2cm大の乱切りにする。玉ねぎは8mm角にカット。牛ひき肉に酒大さじ1・塩・黒こしょう少々(分量外)を振っておく。
- フライパンにオリーブ油を入れて熱したら、クミンシードとにんにくを加えて香りが出るまで炒め、次に玉ねぎを加えて炒める。
- 玉ねぎが少ししんなりしたら、牛ひき肉を加えてパラパラになるように炒める。カレー粉を振り入れて全体に混ざるように炒める。
- 3にピーマンを入れて炒める。ピーマンに油が回ったらとうもろこし、鶏ガラスープを入れて湯を300ml(分量外)加えて全体に混ぜ、沸騰させて5分煮る。めんつゆを加えて味を調える。
- 4を器に注ぎ、お好みの麺を添える。
カレーってどうしてこんなに美味しいんだろう......。彩り豊かな野菜とスパイスの良い香りでどんどん食べられる。食べすぎに注意しなければ。
薬膳って意外と簡単に取り入れられる!
「薬膳」と聞くと、手に入りづらい材料が必要だったり手間がかかったりする印象があった。しかし今回教えてもらったレシピはどれもスーパーで食材が手に入るし何より簡単! 体を温めてくれる上に簡単で美味しいだなんて、いいとこ尽くしの料理だ......!
雨だと運動する機会が減ったり、冷房の効いた部屋に一日中いたり、冷たいものをとりすぎてしまったり。体調を崩しやすい季節だからこそ、もっと体を労わらないといけないなと反省した。
忙しいとついコンビニ弁当やパンで食事を済ませていたけれど、これからは体が喜ぶ食事を積極的にとってもっと元気になりたい!
この方にお話を伺いました
料理研究家、管理栄養士、国際中医師、国際中医薬膳管理師 植木 もも子 (うえき ももこ)
中医学や雑穀などを取り入れた、 美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『薬膳・漢方食材&食べ合わせ手帖』(西東社)、『薬膳サラダ』(新星出版)、『薬膳ナムル』(家の光協会)他著書多数。
マンガ担当
漫画家、イラストレーター かるめ
食べることや料理がなにより好きな健康オタク。SNSやブログで日常漫画やオリジナルキャラクターの4コマ漫画を日々投稿している。『今日も飯がうまい!~食べる幸せあるある~』(KADOKAWA)