末端冷え症やしもやけなど、冬は寒さによる不調が起こりがち。それ以外にも、家にこもりがちになって足腰が弱くなる、むくみやすいなど下半身に悪影響が出ることもあります。体質をチェックして、自分に合ったセルフケアを実践してみましょう。
末端冷えタイプ? 弱り気味タイプ? 冬の体質チェック
自分に当てはまる症状や生活習慣にチェックを付けてください。2つ以上当てはまったら、タイプ別セルフケアを始めましょう。どちらのタイプにも当てはまる場合は、両方の対策を行うのがおすすめです。
「末端冷え」さんタイプチェック
- □ 指先やかかとが荒れやすい
- □ しもやけになりやすい
- □ 顔や唇、舌の色が悪い
- □ 手足が冷えやすく、温まりにくい
- □ 外出するより家の中で過ごす方が好き
2つ以上当てはまる→体を温める機能が低い状態です。
「体を温め、生活にメリハリをつける」セルフケアへ
「弱り気味」さんタイプチェック
- □ 足腰が疲れやすい
- □ 就寝中2回以上トイレに行く
- □ 全身が冷える
- □ 下半身がむくみやすい
- □ 家の中でじっとして動かない
2つ以上当てはまる→「腎(じん)」の機能が弱って老化が加速している状態です。
「疲れをためず下半身を鍛える」セルフケアへ
末端冷えさんは「体を温め、生活にメリハリをつける」セルフケアを
体を温める機能が低下している状態
冬は内臓を冷えから守ろうと自律神経が働き、血液を体の中心に集めるため、手足が冷えがちです。また、自律神経が弱まっていて暖かい部屋に入っても体が温まるまで時間がかかる、筋肉量が減ったことで熱を生み出しにくくなっていることも、末端冷えの原因になります。
対策1:カイロを貼って冷え解消のツボを温める
腰には「命門(めいもん)」や「腎兪(じんゆ)」という冷えに有効なツボがあります。ひどく冷える場合は下腹部や腰に衣類の上からカイロを貼ると効果的です。
対策2:足首をほぐして血行を促進
足首が硬いと足先に血液がスムーズに流れず血行が悪くなって冷えを招きます。足先だけでなく、足首を回したりもんだりして柔らかくし、血流を促しましょう。
対策3:体を温める作用のある食べ物をとる
ねぎ、玉ねぎ、生姜、唐辛子など体を温める作用のある食材をとり入れましょう。お茶にブレンドしたり薬味をたっぷり加えたり、活用法は以下の記事をご覧ください。
対策4:適度に忙しくして自律神経を鍛える
体の末端まで血液を届けるためには、自律神経の働きを鍛えることが必要です。活動しているときに働く交感神経とリラックス時に働く副交感神経のスイッチが適切に入るように、予定を適度に入れて生活にメリハリを持たせましょう。
弱り気味さんは「疲れをためず下半身を鍛える」セルフケアを
「腎」の機能が弱って老化が加速している状態
五臓のうち「腎」は全身を温める働きがあります。冷えによって腎の機能が衰えると、腎臓の機能に影響が及び、尿の回数が増えるなど泌尿器トラブルの原因に。寒さで家にこもりがちになると足腰も弱くなるため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にも注意が必要です。
対策1:夏より30分~1時間長く寝る
本能的な体のリズムにより、日の短い冬は夏よりも睡眠時間が長くなります。早寝早起きを心がけて30分~1時間程度長く寝るようにしましょう。寒さから身を守ると共に疲れを翌日に持ち越さないことも養生の一つです。
対策2:室内でもこまめに体を使う
「流水腐らず、戸枢蝕まず」ということわざで例えられているように、動いていると体内にエネルギーが巡り、病気になりにくいといわれています。室内で過ごす場合でも、掃除や片付けなどできる範囲でこまめに動くようにしましょう。
対策3:骨盤底筋(こつばんていきん)を締めて尿トラブル対策を
加齢とともに骨盤底筋群は弱くなりがち。尿トラブルを予防するためにも、気づいたときに骨盤底筋を鍛えましょう。
いすに座った状態で、尿道や膣、肛門を締めて緩めることを繰り返します。移動中や職場など、座っていればいつでもどこでもできます。
対策4:疲れているときの入浴は湯船に浸かるだけでOK
浴室で髪や体を洗うのをためらうほど疲れていたり寒さがつらかったりするときは、無理をしないことも大切。湯船に浸かって体を温めるだけでもよいでしょう。
対策5:腎を補う食べ物をとる
黒ごまや黒豆などの黒い食材、山いもなどには腎を補う作用があります。また、くるみやタイ、エビなどは腎を補うだけでなく、体を温める温性の食材です。
できそうなものから体質に合った対策を実践して、寒い冬を元気に乗り切りましょう。
この方にお話を伺いました
東京女子医科大学東洋医学研究所所長・教授 木村 容子 (きむら ようこ)
医学博士。日本内科学会認定医・指導医・理事。著書は『太りやすく、痩せにくくなったら読む本~医師が教えるほんとうのダイエット~』(大和書房)など多数。