口臭の原因は体質にあり? 舌チェックでタイプ別ケア&予防法を紹介
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口臭の原因は体質にあり? 舌チェックでタイプ別ケア&予防法を紹介

「口」は会話、食事、呼吸と休みなく働いています。多少口臭があるのは自然なことなので、むやみに悩む必要はありませんが、コミュニケーションの際に気になる場合は、自分のためにもケアをしましょう。口臭治療に詳しい歯学博士・鍼灸師の中城基雄先生が、口臭の原因や体質に合わせた対策と予防法を解説します。

〔目次〕
口臭が起こる仕組み
あなたは何タイプ? 口臭の原因となる「不調」を舌でチェック!
タイプ別口臭ケア
すべてのタイプの口臭対策に「唾液アップ運動」
口内トラブル、病気、スマホ......さまざまな口臭の原因

口臭が起こる仕組み

口臭

口臭の原因は2つあり、1つは口の中に住み着いている細菌です。細菌が食べかすや新陳代謝で剥がれ落ちた粘膜などに含まれるタンパク質を分解する際に、口臭の元となる成分が発生します。

〔口臭の原因となる主な成分〕
メチルメルカプタン
玉ねぎが腐ったような臭い
硫化水素
卵が腐ったような臭い
ジメチルサルファイド
キャベツが腐ったような臭い

なお口臭は唾液の量が少ないときに発生するため、起床時や空腹時、緊張したときやストレスがあるときなどに臭いやすくなります。

唾液の分泌を促す方法はこちらをご覧ください。

あなたは何タイプ?
口臭の原因となる「不調」を舌でチェック!

五臓に対応する五香の一覧

口臭のもう1つの原因は体質の変化によるものです。

東洋医学の陰陽五行では五臓(肝・心・脾・肺・腎)それぞれ対応する五香(操[あぶらくさい]・焦[こげくさい]・香[かんばしい]・腥[なまぐさい]・腐[くされくさい])があると考えられていて、たとえば「肝」に不調があるときは、あぶらくさい臭いがするとされています。

東洋医学では、体質の変化は体の随所に現われると考え、健康状態を判断するのに舌の状態を見る「舌診」を用います。以下で紹介する舌の特徴を自分の舌と照らし合わせて、口臭の原因となる不調タイプを探ってみましょう。

タイプ1:「カッカッ熱化」タイプ(胃熱<いねつ>型)の特徴

体臭 胃熱型 舌

□ 舌は、舌先を中心として全体が赤く変色している
□ 赤ら顔で眉間も赤く、目が血走っている
□ 声が大きく、短気で怒りっぽい性格
□ 夏に弱く、熱中症になりやすい

3つ以上当てはまる場合は「カッカッ熱化」タイプ(胃熱型)タイプかも。

口臭の特徴は、"肉を焼き過ぎたような焦げくさい臭い"。
「カッカッ熱化」タイプ(胃熱型)の口臭対策

タイプ2:「ネバネバ湿化」タイプ(痰飲<たんいん>型)の特徴

体臭 痰飲型 舌

□ 舌の中央より奥にネバネバした黄色い苔が付着している
□ ゲップや痰のからみが多い
□ 喉のつかえ感、むくみ、倦怠感、鼻水、関節痛が出やすい
□ 梅雨時に体調を崩しやすい

3つ以上当てはまる場合は「ネバネバ湿化」タイプ(痰飲型)タイプかも。

口臭の特徴は、"温泉のような硫化水素の臭い"。
「ネバネバ湿化」タイプ(痰飲型)の口臭対策

タイプ3:「カラカラ乾燥」タイプ(腎虚<じんきょ>型)の特徴

体臭 腎虚型 舌

□ 舌の表面が乾燥してひび割れている
□ カラ咳、肌の乾燥、のぼせやほてり、ドライアイ、不眠、まぶたのけいれん、膝や腰の痛みなどがある
□ 味覚異常を感じる、濃い味でないと食事が美味しくない
□ 秋から冬にかけての乾燥シーズンに体調を崩しやすい

3つ以上当てはまる場合は「カラカラ乾燥」タイプ(腎虚型)かも。

口臭の特徴は、"乾いた雑巾のような臭い"。
「カラカラ乾燥」タイプ(腎虚型)の口臭対策

タイプ4:「ドロドロ血流タイプ」(瘀血<おけつ>型)の特徴

体臭 瘀血型 舌

□ 舌が全体的に紫色
□ 目の下のクマや青あざができやすい
□ 爪や唇の色が紫色
□ 女性の場合、生理の際にゼリー状の血塊が出る
□ 季節の変わり目に体調を崩しやすい

3つ以上当てはまる場合は「ドロドロ血流」タイプ(瘀血型)かも。

口臭の特徴は、"焦げくさい臭い+血なまぐさい臭い"。
「ドロドロ血流」タイプ(瘀血型)の口臭対策

タイプ5:「ギザギザ浮腫」タイプ(水滞<すいたい>型)の特徴

体臭 水滞型 舌

□ 舌の横側が歯形でギザギザ。疲れると舌全体が白っぽくなる
□ 慢性疲労やむくみ、頭重がある
□ 下痢、鼻水、嘔吐が現れる
□ 梅雨時に体調を崩しやすい

3つ以上当てはまる場合は「ギザギザ浮腫」タイプ(水滞型)かも。

口臭の特徴は、"雑巾の生乾き臭または魚の青くさい臓物臭"。
「ギザギザ浮腫」タイプ(水滞型)の口臭対策

ベストバランスの「正常タイプ」(中庸型)の特徴

中庸型 舌

□ 舌は赤からず、白からず、白く薄い苔がついている
□ 唾液の分泌も旺盛でネバつきがない

不快感を伴う口臭は発生しにくい状態です。

タイプ別口臭ケア

口臭ケア

「カッカッ熱化」タイプ(胃熱型)の口臭対策

口臭の原因:ストレスなどによる炎症、口の渇き

ストレスや暴飲暴食などで体に熱がこもって局所で炎症が起こり、歯槽膿漏(しそうのうろう)になりやすかったり、口内炎ができたりします。また、口の中も渇いていて、口臭が起こりやすい状態です。

対策と予防法:体温も心もクールダウンさせる

お酒や油分の多い食事、唐辛子や生姜などの香辛料は控え、体の熱を下げる作用があるはと麦(はと麦茶)やそば、きゅうり、カキ、シジミなどを取りましょう。

また、感情的にならないように、一呼吸おいて落ち着いてから行動することが大切です。眉間にシワを寄せるのではなく、目尻にシワを寄せるように、穏やかな気持ちで過ごすよう心がけましょう。

「ネバネバ湿化」タイプ(痰飲型)の口臭対策

口臭の原因:胃腸の負担から舌がネバネバに

暴飲暴食などで胃腸に過度の負担がかかって胃熱が発生。その影響で粘着性のある体液が溜まり、ネバネバした黄色い舌苔(ぜったい)が付着して口臭を発します。

対策と予防法:胃腸に優しい食生活を心がける

体の中に溜まっている「湿」を追い出す作用のあるセロリ、白菜、メロンやすいか、ウーロン茶、緑茶などがおすすめです。

また、遅い時間の夕食を避けましょう。夕食から寝るまでの時間を空けることができない場合は、油分の多いものや濃い味つけのもの、消化しにくいものは避け、消化によいものを少量とるようにしましょう。

食材はなるべく細かく刻み、よく噛んで食べ、胃腸に負担がかからないようにするのがポイントです。

「カラカラ乾燥」タイプ(腎虚型)の口臭対策

口臭の原因:唾液量が減って口内が乾燥し細菌が増殖

唾液の分泌量が低下して口内が渇き、細菌感染を起こしたり、歯周病菌が増殖したりして口臭が発生します。

対策と予防法:体に潤いを与えつつ、唾液の分泌を促す

体に潤いを与える作用のあるレバーやうなぎ、小魚、のり、わかめ、ひじき、ほうれん草、玄米、うるち米、ピーナッツ、プルーンなどを取りましょう。

また、唾液を十分に分泌させるために食事の際はよく噛み、軟らかいものばかりでなく、ナッツや雑穀米など噛み応えがある食材もプラスするのがコツ。水分補給も忘れずに。

「ドロドロ血流」タイプ(瘀血型)の口臭対策

口臭の原因:血行不良で細菌が繁殖して臭いが発生

血行不良により、普段から歯肉に微細な炎症を起こしています。歯周病菌も繁殖しやすく、口臭の一因に。ストレスや不眠が重なると口臭が強くなります。

対策と予防法:血液をサラサラにする食材を積極的にとる

血流をよくする作用のあるサンマやイワシ、サバなどの青背の魚、玉ねぎや長ねぎ、らっきょう、にんにくなどを取りましょう。

また過度な疲労やストレスを避け、十分な休息を取り、生活習慣病に注意することも大切です。

「ギザギザ浮腫」タイプ(水滞型)の口臭対策

口臭の原因:心弱っていることで口臭に悩むように

水分代謝が悪く体内に余分な水分が溜まっている状態です。スッキリしない心持ちで落ち込みやすいため、強い口臭は発生していないにもかかわらず、自分にはひどい口臭があると思い悩むことも。

対策と予防法:食事や運動で余分な水分を排出

生ものや暴飲暴食を控え、水分を取り過ぎないようにしましょう。体に溜まっている「湿」を追い出すシソやパセリ、にら、みそ、酢、納豆、生姜などを積極的に取り入れます。運動で汗をかく習慣をつけるのもおすすめです。

すべてのタイプの口臭対策に「唾液アップ運動」

唾液は天然のマウスウォッシュ

唾液には食べかすや歯垢(プラーク)を洗い流す自浄作用があるため、口臭予防に有効です。また、唾液の中には免疫物質の一つ「免疫グロブリン」が含まれており、細菌やウイルスから体を守る働きもあります。

次に紹介する口の運動で唾液腺を刺激して唾液の分泌を促しましょう。唾液が少なくなる起床後や空腹時、緊張しているタイミングに行うのがおすすめです。いずれの運動も、口を閉じて行っても効果があります。

運動①「カチカチ運動」

カチカチ運動

奥歯を上下に噛み合わせます。36回繰り返しましょう。

運動②「グルグル運動」

グルグル運動

舌を出して左右各12回ずつ回します。

これもおすすめ! 「傍廉泉(ぼうれんせん)」のマッサージ

傍廉泉 マッサージ

のどぼとけの上のへこんでいる部分から左右それぞれ2cm外側のところに「傍廉泉」というツボがあります。そこを両手の人差し指と中指で1~2分軽くマッサージすると唾液が分泌され、口臭の予防に。

口内トラブル、病気、スマホ......さまざまな口臭の原因

口臭 原因

口臭を生み出す口の中のトラブル

口の中にトラブルが起こると細菌が増え、口臭が起こります。また細菌によるものではありませんが、臭いのきつい食べ物も口臭の要因に挙げられます。

〔口臭の原因となるトラブル〕
舌苔の増殖
舌の表面にある小さな突起(舌乳頭)に食べかすや剥がれた舌の粘膜などが溜まると、細菌が増殖し、舌苔が溜まります。溜まった舌苔が細菌によって分解され、悪臭の成分を発生させます。
歯周病
歯垢は、歯に付着した多量の細菌とタンパク質の集まり。タンパク質が細菌に分解され、悪臭の成分が発生します。
ドライマウス(唾液の分泌量が低下した状態)
唾液の分泌量が低下すると食べかすや歯垢を洗い流す自浄作用などの働きも低下。雑菌が繁殖し、悪臭成分が多く作られるように。
臭いのきつい食べ物
食べ物が消化吸収された後、血液中に移行した臭いの成分が肺を通して呼気として出てきます。臭いの原因に。

無動・無言・無表情の長時間スマホで口臭が発生

スマホを見るときのうつむき姿勢は、唾液腺を圧迫して唾液の分泌を低下させます。

また、唾液は自律神経(交感神経・副交感神経)によりコントロールされるもの。画面を凝視していると交感神経が優位になって唾液の分泌が低下します。

さらにスマホを操作している最中は会話が少なくなるため、口周りの筋肉が動かず、唾液の分泌が減ってしまいます。

無動・無言・無表情は口臭が出やすくなる三大要件。スマホを15分連続使用したら、あごを上げて唾液腺の出口(耳の下からあごの先と上の奥歯のあたり)をマッサージし、唾液の分泌を促しましょう。

空腹や疲れで甘酸っぱいガスが出る

空腹や疲労があると肝臓が体にエネルギーを供給しようとして「ケトン体」という物質を血液中に放出します。ケトン体が増え過ぎると甘酸っぱい臭いのするガス(アセトン)となり、肺を通して呼気と共に放出されます。

無理なダイエットをすると脂肪酸から臭いが放出

極端な食事制限によるダイエットをすると、体が栄養を補給しようとして脂肪を溶かしてしまいます。すると血液の中に脂肪酸が溶け出して、天ぷら油のような臭いが発生します。

口臭はないのに気にし過ぎている場合も

実際に口臭はなくても、「自分の口が臭う」と思い込んで悩み、社会生活の障害となってしまうことが。こうしたケースは「心理的口臭症」「PATM(原因不明の気になる臭気)」と呼ばれます。どうしても心配なときは、セルフチェックする方法があります。

歯磨き粉を使わずにブラッシングをして、その際に出た唾液をコップに入れます。3~5分、コップごと、ほんわか湯気が出る程度に湯煎してからラップをかけて一晩放置。翌朝コップの中をかいでみて、鼻をつくような臭いがなければ心配はいりません。気にし過ぎないようにしましょう。

病気が口臭を引き起こしている可能性も

口の中は体や心の不調が現れやすい場所です。代謝異常や病原菌が原因で、特定の物質が増えたり、組織が破壊されて臭いを持つ成分が作られたりして口臭が起こる場合があります。

普段と違う臭いは病の前兆となる場合もあるため、セルフメディケーションの一環として注意し、不調が続く場合は病院を訪れましょう。

〔口臭の原因となるトラブル〕
糖尿病
代謝異常によって血液中にアセトンが増加するため、熟れたバナナのような甘酸っぱい臭いがします。
肝機能低下
代謝異常によって血液中にアミンが増加。魚の腐ったようなアミン臭がします。
腎機能低下
代謝異常によって血液中にアンモニアが増加。ツンと鼻を突つくアンモニア臭がします。
扁桃腺炎、慢性鼻炎、副鼻腔炎
感染による炎症が鼻や喉にあると、口の中に膿(うみ)が流れ込み、口臭の原因に。
逆流性食道炎
酸っぱい胃液が食道に逆流することにより口臭が発生します。

この方にお話を伺いました

中城歯科医院院長 歯学博士、鍼灸師 中城 基雄 (なかじょう もとお)

中城 基雄

1984年に東京歯科大学を卒業し、88年に日本大学大学院歯学研究科修了後、中城歯科医院院長に就任。歯科医療の傍ら、東洋医学に目覚め東京衛生学園、はりきゅう学科夜間部専門学校で研鑽を積み、2003年鍼灸師免許取得。06年からは口臭治療をメインに行い、15年間で5000人の実績。テレビ番組・ラジオ・新聞・雑誌などのメディア露出多数。日本歯科東洋医学会、日本東洋医学会、日本歯科麻酔学会所属。日本口臭学会認定医、全日本鍼灸学会認定師。日本健康・栄養食品協会(JANHA)認定食品保健指導士。著書に『病気の9割を寄せつけないたった1つの習慣』(サンマーク出版)がある。

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