「四十肩・五十肩」改善に役立つ! 症状別で選ぶおすすめ漢方薬
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「四十肩・五十肩」改善に役立つ! 症状別で選ぶおすすめ漢方薬

ある日突然、肩に痛みが生じる「四十肩・五十肩」。実は医学的名称のあるれっきとした疾患で、その原因は不明。いずれ自然に治るものですが、原因や改善方法を知ることで症状をラクにすることができます。おすすめの漢方薬や肩こり解消のツボを紹介します。

〔目次〕
四十肩・五十肩とは?
四十肩・五十肩は症状の変化に合わせて対処を
四十肩・五十肩の改善におすすめの漢方薬
四十肩・五十肩の痛みに効くツボ
四十肩・五十肩を予防する日常習慣

四十肩・五十肩とは?

突然始まり自然に治る肩関節周辺の炎症

四十肩・五十肩はおおむね40代~60代の人が発症する肩のトラブル。江戸時代の書物にも「五十肩」についての記録があり、50歳ほど長生きすると起こる病気だとして「長命病」とも呼ばれていました。ただし最近は、スマートフォンの利用やリモートワーク普及などの影響で若い年代にも症状に悩む人が増えています。

四十肩・五十肩の医学的な正式名称は「肩関節周囲炎」といい、肩関節の周辺に炎症が起こって痛みを感じたり肩~腕を動かしづらくなったりする疾患です。突然始まり1年くらい経つと自然に治ります。

四十肩・五十肩の発生原因は謎。加齢や運動不足の影響大

四十肩・五十肩の原因はわかっていません。ただし加齢による骨や筋肉などの老化、運動不足が大きく影響していると考えられます。

四十肩・五十肩は症状の変化に合わせて対処を

四十肩・五十肩 対処

四十肩・五十肩の症状は3段階

四十肩・五十肩では症状が段階的に変わります。「四十肩・五十肩かも」と思ったら早めに整形外科を受診し、医師の指導のもと、ステージに合わせた治療や対処を行うことが大切です。

痛みの強い「急性期」(目安:3~4週間)

湿布や消炎鎮痛剤、ステロイド、ヒアルロン酸注射などで痛みを抑えます。肩は冷やしても温めてもOK。

肩が動かなくなる「慢性期」(目安:5~6カ月)

ストレッチや温熱療法、可動域訓練、ヒアルロン酸注射で肩を動かせる範囲を広げていきます。マッサージも◎。

症状が徐々に和らぐ「回復期」(目安:3~4カ月)

肩の動きを改善させるためストレッチや運動療法を行います。マッサージも活用しましょう。

四十肩・五十肩の改善におすすめの漢方薬

四十肩・五十肩 漢方

漢方では、痛みは「気」「血」「水」の巡りが滞ることで生じると考えます。肩の状態に合わせた漢方薬を使って、症状を改善しましょう。

※漢方薬には市販の物と医療機関で処方される物がありますが、市販の漢方薬を内服する際は薬剤師に相談し、多剤内服や長期内服は避けましょう。不安がある場合は医療機関で処方してもらうことをおすすめします。

肩が痛む「急性期」によく使う「二朮湯(にじゅつとう)」

「朮」には利水剤の意味があり、体を温め水分代謝をアップさせて痛みを改善します。むくみ体質で胃弱の人に向いていて、特に急性期に使用されます。

体を温め筋肉を和らげるなら「葛根湯(かっこんとう)」

体を温める作用があり、炎症が起こり発熱しているときや首筋などが緊張しているとき、風邪をひいたときに使われます。

痛みがあり動かしにくいときは「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」

体を温める作用と鎮痛の働きがあり、関節が痛んで動かしにくいときなどに使われます。胃弱で鎮痛剤が苦手な人におすすめです。

余分な水分を排出する「薏苡仁湯(よくいにんとう)」

水分を排出し痛みをとる薏苡仁を配合。腫れて熱をもった関節痛や筋肉痛、神経痛などに使用されます。

夜痛みが出るときに「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」

「気」「血」を補い、筋肉のけいれんによる強い痛みを鎮めます。特に夜間痛が出ている時に使用されます。

冷えが原因の痛みに「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」

血行を促して体を温め、冷えによる痛みを改善します。特に手足など体の抹消を温める働きがあり、しもやけなどにも使われます。

急性的から慢性的な痛みまで対応する「疎経活血湯(そけいかっけつとう)」

血の巡りの悪化や水分の停滞を改善し、冷えている部分を温め、痛みやしびれを緩和します。急性的なものから慢性的なものまで、幅広い痛みに対応します。

四十肩・五十肩の痛みに効くツボ

いつでも手軽にできる肩こりのツボを紹介します。

肩こりなど幅広い症状に有効「合谷(ごうこく)」

合谷

手の甲の親指と人さし指のつけ根の間にあるツボです。骨と骨が合流する部分です。

あらゆる肩こりに効果的「肩井(けんせい)」

肩井

肩こりが気になるとき、自然に触る場所にあるツボ。首のつけ根と肩先を結ぶ線の真ん中です。

肩や上腕の痛みに「臂臑(ひじゅ)」

臂臑

二の腕の三角筋の端にあります。肩先から親指側に指を滑らせ、押すとやや痛みを感じる部分です。

四十肩・五十肩を予防する日常習慣

正しい姿勢を意識する

背中や首を丸めてスマホを見続けるなど、前かがみの姿勢が続くと肩関節に負担がかかり、四十肩・五十肩の原因になります。日常的に正しい姿勢をとることが予防のカギに。

肩を温めて血行を促す

冷えは血行不良を招きます。すると筋肉にたまる老廃物が排出されにくくなり、こりが生じるように。巡りを良くすることで、不調を防ぎます。

ストレッチで肩を動かす

肩の可動域を広げてこりを緩和するためには、セルフストレッチを続けるのがおすすめ。ストレッチはお風呂などで血行を良好にして行うとより効果的です。ただし無理はせず、「イタ気持ちいい」範囲で行いましょう。

この方にお話を伺いました

米倉脊椎・関節病院院長 橋口 宏 (はしぐち ひろし)

橋口 宏

日本医科大学卒。日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医。日本医科大学付属第二病院整形外科医局長、日本医科大学千葉北総病院整形外科准教授などを経て現職。肩・肘関節外科、スポーツ医学を専門とし、漢方医学にも精通。整形外科疾患に対する漢方処方の講演なども多数行っている。

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