秋の不調を改善する方法4選!「気血」を補って秋の憂うつを乗り越えよう
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秋の不調を改善する方法4選!「気血」を補って秋の憂うつを乗り越えよう

天候の変化が激しく、室内と屋外の温度差も大きい現代の夏。ひと夏を過ごした体は、体温調節にたくさんのエネルギーを消耗しています。

そのため、暑さのピークが過ぎてからも体調には注意が必要です。夏バテは、暑さや冷房病による体力消耗に、食欲不振と熟睡不良が重なって起こる症状なので、秋口にだるさが表面化する場合がよくあります。

また、秋風が立って涼しくなると理由もなく物悲しいような憂うつな気分になることも。

今回は、秋口になって食欲不振といくら寝ても眠いという過眠を訴えて「緑の診療所」を受診した秋子さん(仮名/40代女性・会社員)の例を参考に、秋のセルフケアをチェックしましょう。

秋に現れやすい不調【秋子さんの症状】

医師に不調を訴える秋子さん

秋子さんは、小柄で華奢な体形で、色白というよりも血の気のない顔色。小さな声で次のようなことを話されました。

〔秋子さんの症状〕
冷え症で特に夏の冷房に弱く通勤電車が苦痛だった。
暑い時期にも食欲はあまりなかったが、少し涼しくなっても食欲が戻らず体重も2㎏減ってしまった。
休日は好きな読書もする気にならず、食後は横になりたくなる。
昼寝をしても夜も眠い。夢をたくさん見て寝た気がしない。

もともと体力のない方のようですが、気候の変化による消耗でさらに体力が落ち、それに加えて気力も落ちています。

念のため行った血液検査では貧血や感染症などの異常はありません。うつ病などのメンタルヘルス不調の既往もなく、大手企業の受付業務の仕事はこなせていました。

秋子さんの症状は、西洋医学的には明らかな病名はつきませんが、漢方では生命エネルギーである「気」と、体に栄養を与える「血(けつ)」が不足した「気血両虚(きけつりょうきょ)」と診断される状態。「血」が不足すると、秋子さんのように不安感や憂うつ感、悲哀感、眠りが浅いなどの症状も生じます。

「気血」を補うセルフケア

ハーブティー

漢方には「気血」を補うとされる薬が何種類もあり、それらの中には身体的な疲労感の回復に用いるものだけでなく、精神疲労に伴う不安や熟睡不良に用いるものもあります。

秋子さんにはまず、体を温め睡眠の質を改善する漢方を処方しました。少しほっとした気分が出てきてから、食欲と体力アップに役立つ漢方に変更して続けて服用してもらっています。

ただし漢方薬で体の働きを整え「気血」を補うといっても、直接エネルギー源になるわけではありません。秋子さんのような不調の改善には漢方以上に食物や運動でのセルフケアが重要です。

食べやすいものをおいしく食べる

夏バテや秋バテの時には高カロリーの食事は受け付けないもの。無理せず、食べやすいものをおいしく食べることから始めましょう。

「気」を補う薬膳食材

糖質が豊富な、米・小麦・イモ類・カボチャなど

「気血」を補う薬膳食材

タンパク質が豊富な、鶏肉・牛肉・卵・ウナギ・サケ・エビ・イカなど

まずは「気」を補う食材に、「気血」を補う食材を合わせることを意識して、好きなものを食べてみてください。人参・ホウレン草・キャベツ・ブロッコリーなどの野菜や、栗・クルミなどのナッツ類も薬膳ではおすすめの食材。

ちなみに、韓国で夏バテしたときに食べられているサムゲタンは、鶏肉・もち米に朝鮮人参・ナツメ・クルミ・栗などが入っており、気血を補う代表的な料理と言えます。そんなサムゲタンを応用した簡単薬膳を試してみるのも良いでしょう。

サムゲタンを食べて元気になる秋子さん

〔サムゲタン風! 簡単薬膳の作り方〕
手羽元などの骨付き鶏肉を、生姜・ネギ・ニンニクで煮込んだスープを作っておく。
お好きな野菜やナッツと、炊いたお米か麺を加えて、ひと煮立ちさせ、仕上げに塩などで味を調える。

薬酒を活用する

薬酒には朝鮮人参や生姜、桂皮など体を温め疲労回復を助ける生薬が入っているものがあります。少量を料理に入れればさらに薬膳効果が高まるうえにアルコールが飛ぶので、お酒の苦手な方にもおすすめ。

ハーブティーでリラックスする

ハーブティーもセルフケアに役立ちます。

体を温め安眠を促すジャーマンカモミールがおすすめ。パッションフラワー(チャボトケイソウ)をブレンドすると緊張緩和、安眠効果が高まります。

※パッションフラワーはハーブ専門店で入手できます。

ジャーマンカモミールについては、以下の記事もご覧ください。

日常的に運動する

「気血」が不足している秋子さんタイプの方が健康的に過ごすには運動も大切。筋肉をつけると冷えに強くなり、持久力がつくと疲れにくくなって、漠然とした不安感の改善にも役立ちます。

体力のない方はストレッチと筋トレから始めましょう。おすすめは、ストレッチと筋トレを兼ねるラジオ体操。ウォーキングなどのエアロビックエクササイズはある程度の筋肉や体力がついてきてからのほうがよいでしょう。

体力と健康への自信は実践を通してしか身につきません。食事療法、ハーブティー、運動など、継続できるセルフケアを心がけましょう。

この方にお話を伺いました

緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)

橋口 玲子

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティーやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。

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