五臓の疲れは鏡でチェック!体調・体質別おすすめ薬膳ちょい足し食材
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五臓の疲れは鏡でチェック!体調・体質別おすすめ薬膳ちょい足し食材

薬膳とは東洋医学の考えをベースに季節や体質に合わせて食材を選んで作る料理。東洋医学では昔から食材には薬と同じように、それぞれ体に作用する特性があると考えられてきました。

例えば、肝・心・脾・肺・腎の五臓にそれぞれ吸収されやすい味を示す五味(酸・苦・甘・辛・鹹)や、体を温めたり冷やしたりする作用で食材を分類する五性(熱性・温性・平性・涼性・寒性)もその考え方のひとつです。

「冷えはよくない。温めるのが大切」と聞くことは多いですが、実は熱がこもり過ぎてもほてりや肌の乾燥などの不調が現れます。大切なのは自分の状態を知って足りないものを補い、バランスを整えることです。

内臓の疲れを鏡でセルフチェック!

鏡で自分の顔をチェックしている女性

中医学の診察法のひとつ「望診」では、内蔵(五臓)の疲れが顔に現れると考えられています。

例えば消化吸収に関する働きを担う「牌」の健康状態は消化管のひとつである口に現れます。唇が白っぽくなるか、ツヤがなくなった場合は「牌」に負担がかかっているサイン。疲れが見えたときは、疲れている箇所にあった食材で体を労ることが大切です。

ちなみに、望診のなかでも舌の色や形などを観察するものを「舌診」といいます。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。

顔と五臓の関係とチェックポイント

疲れのチェックポイント

鏡の前で自分の状態をチェック。以下のチェックポイントに当てはまるものがあった場合は、おすすめの食材を毎日の食事に取り入れてみてください。

目のチェックポイント

以下に当てはまる場合は「肝」が疲れ、気や血の流れが滞っているサイン。

  • いつもと比べて見えにくい
  • 目がかすむ

「肝」には、気(エネルギー)や血の流れを調整し、消化を助ける機能があります。梅、あんず、ザクロなど、酸っぱい味の物を食べて体調を整えましょう。

舌のチェックポイント

以下に当てはまる場合は「心」が疲れ、血の流れが滞っていると考えられます。

  • 味が分かりにくい
  • 舌に炎症がある

「心」には、血液を全体に送り出し、体を温め栄養を送る働きがあります。にがうり、レタス、緑茶など苦い味の物を積極的にとりましょう。

口のチェックポイント

以下に当てはまる場合は「牌」が疲れ、消化不良や栄養不良を起こしています。

  • 唇が白っぽく、ツヤがない

「牌」は消化吸収機能を担い、栄養分を気や血に変え、不要な物を排出する働きを持ちます。ここが疲れているときは、なつめ、米、大豆、蜂蜜など甘い味の物がおすすめ。

鼻のチェックポイント

以下に当てはまる場合は「肺」が疲れ、気や津(体液)の調整がうまくいっていないサイン。

  • 匂いが分かりにくい
  • 鼻に炎症がある

「肺」は呼吸機能を担い全身の「気」や水分の調整を行っています。疲れのサインが出ていたら、生姜、胡椒、唐辛子など辛い味の物を食べましょう。

耳のチェックポイント

「腎」が疲れ水分代謝機能が低下すると、以下の症状が現れます。

  • いつもと比べて聞こえにくい
  • 耳鳴りがする

「腎」は成長発育、生殖機能にかかわり、体内の水分代謝と栄養の貯蔵を管理。くらげ、のり、昆布など塩味の物をとりましょう。

スパイスや薬味をちょい足しするだけで体質に合った薬膳メニューに

スパイス

体調や体質によって求める食材は変わります。一緒に食事をする家族でも体質はそれぞれ異なりますが、個別に献立を用意するのは難しいですよね。

そこでおすすめなのが、少量で効果を発揮し、かつ調整が簡単なスパイスや薬味。同じ食事でも、手軽にそれぞれの体調に合った薬膳メニューになります。

次からは、体調・体質別のおすすめ食材を紹介します。

冷えが気になる方におすすめの食材

○シナモン

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体を温める作用が強いシナモン。冷えからくる肩こりや、手足の先が冷える末端冷え症におすすめです。

パンやホットケーキにシナモンパウダーを振りかけるだけでOK。詳しい効果やおすすめレシピは以下の記事をチェック。

○唐辛子

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お腹を温め、冷えによる痛みを緩和します。刺激が強いので食べ過ぎに注意。

炒め物や鍋物、汁物、麺類に唐辛子パウダーを振りかけるのがおすすめ。

○ネギ

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血行をよくして体を温めます。風邪のひき始めに。

麺類や汁物に小口切りにしたネギをのせるとよいでしょう。ネギをたっぷり使ったレシピは以下の記事からご覧ください。

胃腸疲れが気になる方におすすめの食材

○カルダモン

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胃腸を温める作用が期待できます。胃もたれやお腹の張りに。

2~3粒を紅茶やコーヒーに入れるか、パウダーをジャムやヨーグルトに振りかけてどうぞ。詳しい効果は以下の記事をチェックしてください。

○ブラックペッパー

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腸のぜん動運動を促し、消化を助けます。

肉料理やサラダ、スープに粗挽きこしょうを振りかけるのがおすすめ。詳しくは以下の記事もご覧ください。

○ゆず

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消化器系の働きをよくして消化を助けます。食欲増進の作用も。

湯豆腐や鍋物に千切りまたはすりおろしたゆずの皮を添えていただきましょう。

薬膳は、自分を知ることから始まり、体調や体質に合った食材を、より効果的な食べ合わせで取り入れる料理。まずは、いつも食べている食材の組み合わせ方を意識するだけでも、体調を整えるのには十分です。

薬膳の基本について、もっと知りたい方は以下の記事もぜひチェックしてみてください。

この方にお話を伺いました

料理研究家、管理栄養士、国際中医薬膳管理師 植木 もも子 (うえき ももこ)

植木 もも子

中医学や雑穀などを取り入れた、 美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『気になる不調と悩みを改善 薬膳のつくりおき』(家の光協会)他著書多数。

※この記事の情報は全て、『養命酒かわら版2020年冬号(養命酒製造株式会社)』より参照しています。

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