二日酔い予防がすっかり定着したウコン。ターメリックとも呼ばれ、カレー作りなどに欠かせないスパイスです。
その明るい黄色とほんのりスパイシーな風味が特徴で、インドや東南アジアでは人々の暮らしに根付いてきました。
今回は、そんなウコンの効果・効能や活用方法、注意点などをご紹介します。
ウコンとは? ウコンの種類や成分を紹介
ウコンは東インド原産のショウガ科ウコン属の植物。着色料や香辛料としても広く流通しています。
世界中に約50種存在するといわれているウコン。日本で一般的なウコンには秋ウコン(生薬名:鬱金「ウコン」)、春ウコン(生薬名:姜黄「キョウオウ」)、紫ウコン(生薬名:莪朮「ガジュツ」)の3種類があります。通常ウコンというときは、秋ウコンをさします。
秋ウコン(生薬名:鬱金「ウコン」)
初秋に白い花を咲かせる秋ウコンは、肝機能の向上や、コレステロール値を低下させる効果が期待できるクルクミンという成分を春ウコンよりも豊富に含んでいます。
またカレーに欠かせないスパイスのターメリックなどに使用されており、薬用養命酒では生薬のひとつとして配合されています。日本薬局方に収載されています。
春ウコン(生薬名:姜黄「キョウオウ」)
春に赤みのある花を咲かせる春ウコンは、キョウオウという生薬として使用されています。クルクミンは少ないものの、精油成分を豊富に含んでいます。
沖縄では、古くから民間療法に利用されてきたポピュラーな薬草です。医薬品原料としては認められていません。
紫ウコン(生薬名:莪朮「ガジュツ」)
春に紫がかった花を咲かせる紫ウコンは、ガジュツという生薬として使用されています。クルクミンは含まれておらず、秋ウコンや春ウコンよりも苦味や清涼感が強い特徴があります。
ガジュツは漢方薬として、古くから胃腸系の病気に使用されてきました。厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書である「日本薬局方」にも収載されています。
生薬ウコンとして使用されるのは、白い花の秋ウコン。
ウコンの効果・効能
生薬として古くから利用されてきたウコンには、さまざまな効果・効能があります。代表的な5つをご紹介します。
ウコンの効果・効能① 「健胃作用」
ウコンに含まれるクルクミンや精油などの成分には、唾液や胃液の分泌を促し胃粘膜を保護する働きがあります。またウコンは生薬として、胃炎や胃酸過多などの漢方薬に配合されています。
ウコンの効果・効能② 「肝臓機能の回復」
生薬として、肝臓の不調にも用いられているウコン。
ウコンに含まれるクルクミンには、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解速度を促進させる働きがあるといわれており、そういった機能性飲料も販売されています。
しかし、この効果は動物実験をもとに報告されており、人間を対象とした試験では検証できていないため、過度な期待は禁物です。
下記記事では二日酔いの原因と、コンビニで購入できる不調改善に食べ物・飲み物などをご紹介しています。二日酔い対策に興味のある方はこちらも参考にしてください。
ウコンの効果・効能③ 「動脈硬化の予防」
ウコンのクルクミンには動脈硬化予防への効果が期待されています。これはクルクミンがコレステロール値を抑え、悪玉コレステロールの酸化を防ぐためです。動物実験でその効果は明らかになっています。
ウコンの効果・効能④ 「ガンの抑制」
ウコンに含まれるクルクミンには、ガンの抑制効果があるのではないかといわれています。これはクルクミンによる抗酸化作用が、ガンの原因となる活性酸素を抑えるためだと考えられています。
近年ではクルクミンの効果に注目した研究が進められており、副作用のない抗がん剤の開発が期待されています。
ウコンの効果・効能⑤ 「抗菌・防虫効果」
ウコンには抗菌・防虫効果も期待できます。ウコン染めの布は産着や風呂敷などにも使われ、古くからさまざまな形で利用されてきました。
ウコンの活用法
鮮やかな色に反して、マイルドな風味のウコン。乳製品や生姜、にんにく、スープ料理との相性がよく、さまざまな活用法があります。
ご飯にターメリックパウダーとバターを混ぜ込んだターメリックライスは、カレーのお供にぴったり。
魚介やお肉のソテーに使用すると、見た目も華やかです。
牛乳やカップスープにちょい足しすれば巡りアップ! 冷えが気になる朝の一品にどうぞ。
※ウコンには鉄分が豊富に含まれているため、鉄分の摂取を制限している人は医師に相談しましょう。
ターメリックスープのレシピ
- 〔材料〕
- ターメリックパウダー......2振り
- 玉ねぎ......1/4個
- ベーコン......1/2枚
- 牛乳......120ml
- コンソメ......小さじ1/4
- 〔作り方〕
- 大きめのマグカップに全ての材料を入れてラップをかけ、電子レンジ(600W)で3分ほど加熱する。
- よく混ぜてできあがり。
まずは王道のカレーレシピから挑戦してみるのも良いですね。
ウコンを活用するときの注意点
近年、サプリメントなどで手軽に摂取できるようになったウコン。使い方には次のような注意が必要です。
・高用量、長期間の摂取はしない
・疾患のある方は医師に相談する
・全身倦怠感を感じた場合は医師の診察を受ける
※ 食事摂取基準(2015年)の鉄分の1日の摂取量は、成人男性で7.0mg、成人女性で10.5mg(月経あり)が目安です。しかしウコン製品の中には、製品100gあたり100mg程度の鉄分を含むものも報告されています。鉄分の過剰摂取は肝障害を引き起こすこともあるため、鉄分の含有量には注意しましょう。
食用以外でのウコンの用途とは?
古くから、インドや東南アジアで親しまれてきたウコン。食用以外にも活用されてきました。
インドネシアの結婚式では、新郎新婦がウコンを擦ったものを体に塗る風習があります。「浄化」を意味する化粧品としても使われていて、南インドではウコンで顔をうっすらと黄色く染めた婦人が見かけられます。
ウコンに邪悪なものを避ける力があると信じられているタイでは、お坊さんがウコン染めの外衣をまとっています。
日本ではたくあんの色付けにも使用されているウコン。まずは気軽に活用できるパウダーから試してみませんか?
この方にお話を伺いました
養命酒製造株式会社商品開発センター 丸山 徹也 (まるやま てつや)

1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社。中央研究所研究部長、商品開発センター長を歴任。薬剤師。