腸活とは?何から始めたらよいか、おすすめのやり方や効果を紹介
NEW

腸活とは?何から始めたらよいか、おすすめのやり方や効果を紹介

生活習慣を見直し、腸内環境を整える腸活。便秘が解消するだけでなく、筋肉量が増えやすくなったり睡眠の質が向上したりと幅広いメリットがあります。腸の働きを解説しながら、運動やマッサージなど効果的な腸活方法を紹介します。

〔目次〕
腸活とは?
腸活の効果やメリット8選
腸活を始める前に腸の調子を確かめよう
腸活におすすめの食事
腸活に効果的な運動やマッサージ
腸活のOK・NG習慣とは
腸の不調に悩んでいる人へ

腸活とは?

腸内環境イメージ

腸活とは、食事や運動、睡眠といった生活習慣を見直し、腸内環境を整えて健康になるための活動のことです。

体の中に取り入れた食品を処理して全身に届けながら、あらゆる臓器と密接に連携し、体の働きを調整している腸。特に脳とは双方向でコミュニケーションを取り合う「脳腸相関」の関係にあり、自らも判断を下し、自らをコントロールする力があることから「第二の脳」とも呼ばれています。

また、体全体の免疫細胞の約7割が存在する大切な免疫器官でもあり、「幸せホルモン」として知られる「セロトニン」もつくっています。

腸に暮らす細菌の数はなんと、約100兆個!

腸内細菌とは腸の中で暮らしている細菌のことで、その数は約100兆個から1,000兆個ともいわれます。腸内細菌が腸壁の粘膜に花畑のように広がっている様子は「腸内フローラ」とも呼ばれます。

腸内細菌のバリエーションが豊富なほど腸内のバリア機能は高まり、免疫力もアップ。逆に腸内細菌のバリエーションが少ないと、バリア機能が弱まり、体に悪影響を及ぼす恐れがあります。

腸活のポイントとなるのは「短鎖脂肪酸」

腸活の健康への効果やメリットの多くは、「短鎖脂肪酸」の働きによります。短鎖脂肪酸とは、食物繊維やオリゴ糖など大腸で消化しにくい難消化性炭水化物が、善玉菌と呼ばれる菌によって分解されるときにつくられるもので、種類は主に酢酸、プロピオン酸、酪酸の3つです。

「酪酸」は、大腸の粘膜にある細胞のエネルギー源となり、異物の侵入を防ぐバリア機能を高めます。このことから近年、酪酸や、酪酸を生み出す「酪酸菌」が、健康や長寿の源になると注目を集めています。

悪玉菌って本当に悪者?

腸内細菌には善玉菌、日和見(ひよりみ)菌、悪玉菌がいるとされますが、それぞれの菌にはさまざまな働きがあります。善玉菌だからといって体にいい働きだけをするものではなく、悪玉菌の全てが、必ずしも病原性が高かったり、腸内環境に悪影響を及ぼしたりするわけではありません。

重要なのは、その菌がどこにすみついているか。例えば、通常大腸にいる菌が小腸にすみついてしまうと、それが善玉菌といわれる菌であったとしても、病気を引き起こしてしまうことがあるのです。

腸活の効果やメリット8選

腸活の効果やメリット8選

腸活によってもたらされる健康への効果やメリットには、以下のものがあります。

1:便通の改善

腸活によって、腸内環境が整うと、便秘や下痢といった便通の悩みが改善できます。

2:免疫力アップ

腸は人間にとって重要な免疫器官。腸活によって免疫細胞が正常に働くようになると、病気のリスクは軽減されます。

3:筋肉量が増え、骨も丈夫になる

腸活で酪酸が増えると、筋肉量が増えやすくなります。また、血液中のカルシウムを骨に取り込むのをサポートする「ビタミンK」は、腸内細菌によってつくられます。腸内に「酪酸」が増えると、骨密度が上がることもわかっています。

4:肌や髪、爪の調子がよくなる

肌や髪や爪の調子が良くなる

腸内環境が整うと腸の粘膜から栄養がしっかりと吸収され、肌や髪、爪にも栄養が届き、状態がよくなります。

5:快眠できる

腸内細菌のバランスがよいと、睡眠ホルモンである「メラトニン」がつくられやすくなります

6:老化を予防し健康寿命を延ばす

腸内環境を整え免疫細胞をよい状態に保つと、細胞などの炎症が抑えられ、老化の予防や健康寿命を延ばすことにつながります。

7:肥満の予防

腸活によって、エネルギー代謝をコントロールする「短鎖脂肪酸」がつくられることや、肥満解消に役立つ腸内細菌である「酪酸菌」や「アッカーマンシア・ムシニフィラ」といった善玉菌が増えることが明らかになっています。

腸活によるダイエット効果についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

8:婦人科系の疾患の予防

腸活は膣内や子宮内の善玉菌の量を保つのにも有効で、不妊や不育、疾患の予防につながります。

腸活を始める前に腸の調子を確かめよう

腸活を始める前に腸の調子を確かめよう

便の状態から腸の調子をチェック

腸活をすべきかどうかは、まず自分の腸の調子をチェックすることから始まります。

一番わかりやすいのは、便の状態でしょう。下痢や便秘をしていないか、便の形状や色は正常か確認しましょう。

〔理想の便の状態〕
形状:表面が滑らかでバナナのような形
色:黄色がかった茶色
におい:それほど強くない

いきまず短時間で排便ができていたら腸の調子は正常と考えられます。おならも、回数が増えたり、においが強くなったりしたら腸の不調を疑ってください。

こんな人は腸活が必要かも

こんな人は腸活が必要かも

腸内環境が乱れている人は、栄養が十分に吸収できないことから痩せてしまったり、髪や肌の状態が悪くなったりすることがあります。また、姿勢を保つ筋肉が弱って猫背になったり、歩幅が狭くなったりすることも。このように、腸内環境の乱れは外見や行動にも現れます。

腸活におすすめの食事

腸活におすすめの食事

腸内環境に大きく影響するのが食事であり、腸活の基本となります。多様な腸内細菌は、多彩な食生活によってつくられます。

規則正しく栄養バランスのとれた食事は、腸内細菌のよい働きを促して体に有益な物質をつくり出しますが、高脂質・高カロリーの偏った食事は、腸内細菌の悪い働きを活発にして体に有害な物質を生み出しかねません。

腸内環境を整える食習慣やおすすめメニューについて詳しくは、以下の記事でチェックしてみてください。

意識してとりたい4つの食品

意識してとりたい4つの食品

偏りのない多様な食材を食べることが前提ですが、中でも、腸の健康をサポートする次の4つの食品を組み合わせて摂取するとよいでしょう。

〔腸の健康をサポートする食品〕
発酵食品(プロバイオティクス) ...... ヨーグルト、納豆、味噌など
水溶性食物繊維(プレバイオティクス) ...... 根菜類やきのこ、海藻など
オリゴ糖(プレバイオティクス) ...... バナナ、玉ねぎ、大豆など
EPA・DPA ...... 青魚や亜麻仁(あまに)油など

発酵食品は腸内環境を整える菌を摂取できる「プロバイオティクス」、水溶性食物繊維とオリゴ糖はそれらの菌のエサとなる「プレバイオティクス」として、近年注目を集めています。プロバイオティクスとプレバイオティクスのどちらかをとればいいというわけではありませんので、その両方を取り入れる「シンバイオティクス」を意識するようにしましょう。

SIBOや過敏性腸症候群の場合などは注意が必要

腸活によいとされる食品をとると、かえって腸の不調を起こす人もいます。体にいいからといってとり過ぎには注意しましょう。

特に注意が必要なのは、小腸で細菌が過剰に増殖し、ガスを発生させて下痢や便秘を起こしてしまうSIBO(シーボ:小腸内細菌増殖症)を発症している人や、ストレスなどで便通異常を起こす過敏性腸症候群の人です。

腸活に効果的な運動やマッサージ

腸活に効果的な運動やマッサージ

運動やマッサージは腸に刺激を与え、その働きを活性化させます。簡単にできて腸活に有効なものをご紹介しますので、ぜひ取り組んでみましょう。

おすすめ運動:スクワット

3回1セット、1日3セットを目安に行います。

〔スクワットのやり方〕
イスやテーブルにつかまり、足を肩幅に開いて立つ
背筋を伸ばしたまま、膝がつま先より前に出ないように腰を下ろす

スクワットのやり方

おすすめマッサージ:「の」の字マッサージ

3回1セット、1日3セットを目安に行います。

〔「の」の字マッサージのやり方〕
右わき腹に両手を置く
両手で、1の位置からおへその上を通って左わき腹まで、正面から見て「の」の字を描くようにやさしくさする

腸活のOK・NG習慣とは

腸活のOK・NG習慣とは

日頃何気なく行っている生活習慣が、腸内環境に影響する場合があります。次のような習慣があるなら、ぜひ見直しましょう。

食事編1:食べ続けたりいつも満腹になるまで食べたりする→お腹に余裕をもたせる

腸は空腹時に消化液で悪玉菌を処理します。また、満腹ではなく腸内に余裕をもたせると、排便を促すぜん動運動が起こりやすくなります。

食事編2:遅い時間に食事をとる→夕食は就寝4時間前までに

寝ている間にも腸のエネルギーを使うことになり、次の日の腸の働きに影響します。夕食と就寝の間は4時間空けるとよいでしょう。

食事編3:アルコールを週4日以上飲む→アルコールの摂取量を控える

アルコールは、腸内の「乳酸菌」や「短鎖脂肪酸」を減らします。週4日以上飲むという人は回数や量を見直しましょう。

生活習慣1:入浴をシャワーだけで済ませる→湯船に浸かる

お湯に浸かって深部体温を上げ、血流を促すことは、腸の働きの活性化につながります。さらに、湯に浸かると内臓に水圧がかかるのも腸へのよい刺激になります。

生活習慣2:寝不足や質の低い睡眠→良質な睡眠を心がける

寝不足や睡眠の質が低下した状態では、交感神経が優位になり、腸の働きが鈍くなります。生活のリズムを整えると共に就寝前のスマホなどの使用を控え、快適な睡眠環境も整えましょう。

生活習慣3:長時間座りっぱなし→1時間に1度、体を動かす

長時間座りっぱなし

デスクワークなどで長時間座りっぱなしでいると、腸内に有害物質が増えます。しっかり運動するより、こまめに立ち上がるなどして活動量を増やすのが有効です。

生活習慣4:喫煙している→タバコをやめる

タバコは腸内細菌の多様性を減少させます。また、ニコチンが交感神経を刺激するため腸内の血流が低下します。

腸の不調に悩んでいる人へ

腸の不調に悩んでいる方へ

病院には、下痢や腹痛などさまざまな腸の不調に悩み、つらい思いをしている人が日々やってきます。腸の不調は、日常生活に支障を来し、ときには人生までも台無しにするものです。深刻な症状の場合は病院での治療が優先されますが、軽度なら腸活で対処できるケースもあります。決して諦めることなく治療や腸活に取り組んで、すこやかな日々を取り戻しましょう。

この方にお話を伺いました

江田クリニック 院長 江田 証 (えだ あかし)

江田 証

医学博士、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。日本消化器病学会奨励賞受賞。米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバーを務める。日々、国内外から来院するお腹の不調をかかえた患者を診察し、改善することに生きがいにしている。『新しい腸の教科書』(池田書店)、『すごい酪酸菌』(幻冬舎)、『長生きのための新しい腸活』(新星出版社)など著書多数。

SHARE

   
    
北欧、暮らしの道具店
絵本ナビスタイル
Greensnap
水戸市植物公園
コロカル
HORTI(ホルティ) by GreenSnap
TOP