夏の養生法は暑さや湿度から夏の臓「心」を守り、「脾(胃腸)」の働きを低下させないことです。(薬膳の基本の考え方についてはこちら)
夏に旬を迎える冬瓜やトマト、きゅうり、ゴーヤなどには体の熱をとる作用がありますが、とりすぎて胃腸を冷やさないよう気をつけたい食材です。冷房の効いた環境で過ごすことが多い方は特に注意しましょう。生姜やにんにくなど体を温める食材と合わせていただくのがおすすめです。
また汗をかきやすい方は「酸味」をとるようにします。酢の物やレモン、梅干などには汗を抑える作用があります。
熱中症対策に水分補給は不可欠ですが、水ばかり飲んでいるとむくみが生じます。スイカやメロン、ももなど、旬の果物からも水分を補いましょう。これらの食材には体内の水分バランスを整える作用があり、むくみ対策にも有効です。
◯夏の養生食材
長いも/オクラ/トマト/冬瓜/緑豆/ゴーヤ/スイカなど
カレーも夏の養生食に!
緑豆となす+豆腐のカレー
緑豆やなすは体の熱をとり、余分な水分を排出してくれる、夏バテ予防の食材です。体を冷やしすぎないよう、にんにくや生姜、カレー粉を使用しています。(1人分:259kcal/塩分1.5g)
- 〔材料〕2人分
- 緑豆(緑色の小豆に似た食材で、輸入食料品店や乾物店などで手に入ります)...50g
- 湯..........................................200ml
- なす(乱切り).....................2本
- 赤パプリカ(乱切り)..........1/2個
- 木綿豆腐(1cm角に切る)...小1パック
- カレー粉................................大さじ1~2
- 塩...........................................小さじ1/3
- こしょう.................................少々 ■A
- オリーブ油..............................少々
- にんにく(みじん切り).........1/2片
- 生姜(みじん切り)...............1片 ■B
- ブイヨン.................................1/4個
- 水............................................200ml ■C
- バター(室温でやわらかくする)...10g
- 小麦粉.......................................大さじ1
〔作り方〕
- 緑豆はさっと洗い、湯に2時間浸す(魔法瓶など保湿性の高い容器を用いると◯)。豆が水分を吸収して十分膨らんだら鍋に水ごと入れ、柔らかくなるまで煮る。途中水分が足りなければ湯(分量外)を足す。
- なすに塩(分量外)をまぶし、水気が出たら塩を洗い流して絞る。フライパンにAを入れて中火にかけ、香りが出たらなすとパプリカを加えて炒める。水切りした豆腐を加えて炒め、焼き色がついたらカレー粉を加えて炒め合わせる。
- 2. にBと1. を煮汁ごと加えて煮込み、塩とこしょうで味を整える。Cをよく混ぜ合わせてから入れ、とろみをつける。
○アドバイス緑豆は、利尿作用を高めるカリウムが豊富なため、むくみの改善に有効です。また、食物繊維を含むことから便秘改善も期待できます。
冷え症の方は、豆腐の代わりに体を温める作用のある海老や鶏肉を適量使用しましょう。
旬の食材をさっぱりいただく
ゴーヤの白和え
ゴーヤはミネラルやビタミンCが豊富。体の熱を抑える作用もあります。消化吸収に優れ、体を潤す効果がある豆腐で和えたさっぱりメニューです。(1人分:95kcal/塩分1.3g)
- 〔材料〕2人分
- ゴーヤ(種をとり薄切り).....1/2本
- 豚もも肉(しゃぶしゃぶ用を一口大に切る)...50g
- 酒................................大さじ1 ■豆腐マヨネーズ
- 絹ごし豆腐.....................1/4丁
- 塩...........................小さじ1/4
- こしょう...........................少々
- レモン汁..................大さじ1/2
- オリーブ油..............大さじ1/2
- ごま...........................小さじ1
〔作り方〕
- ゴーヤは塩少々(文量外)を振り、揉んでゆでる。冷水に浸して熱を取り、水分を絞る。
- 豚もも肉は酒を振りかけて全体をほぐす。沸騰した湯でゆで、冷水で熱をとり、水気を絞る。
- 豆腐マヨネーズを作る。豆腐は水気を絞り、クリーム状になるまで混ぜる。塩、こしょうを加えて混ぜ、レモン汁、オリーブ油、ごまの順に加えて、更に混ぜる。
- 1. 2. を3. に加えて、よく混ぜる。
食欲がないときにも
冬瓜と鶏肉のスープ
冬瓜には体の熱をとる他に、余分な水分を排出する利尿作用も。生姜や鶏肉で胃を温め、体全体の調子を整えましょう。冷えが気になる方は、生姜を多めにいれましょう。(1人分:75kcal/塩分0.7g)
- 〔材料〕2人分
- 冬瓜(種をとり皮をむく).........150g
- 鶏むね肉(流水で洗う)............100g
- 酒....................................大さじ1+1/2
- 水..............................................400ml
- 生姜薄切り(千切り)...............4枚分
- 鶏がらスープの素...............小さじ1/2
- 塩.........................................小さじ1/4
- こしょう.....................................少々
〔作り方〕
- 冬瓜は食べやすい大きさに切る。鶏肉は水気を抜き一口大に切って塩(分量外)・こしょう少々、酒大さじ1/2をもみ込む。
- 鍋に水と生姜を入れて火にかける。沸騰したら鶏がらスープの素、冬瓜を加え、再沸騰したら弱火で冬瓜が柔らかくなるまで煮る。冬瓜が透き通ったら鶏肉をほぐしながら加え、残りの酒を加えて煮る。
- 鶏肉に火が通ったら塩、こしょうで味をととのえる。
ミントでデトックス!
スイカとミントのデザート
スイカは体を潤し、利尿作用によりむくみを改善してくれます。解毒作用をもち、体にこもった熱を発散するミントを加えた、目にも涼しいデザートです。(1人分:65kcal/塩分0g)
- 〔材料〕2人分
- スイカの果肉...............2カップ
- ミントの葉..................10枚
- グラニュー糖...............小さじ1
- レモン汁......................大さじ1
〔作り方〕
- スイカは種をとり、1~2cm角大に切る。
- 小さめの器にグラニュー糖を入れておく。ミントを細かく刻んで、時間をあけずにグラニュー糖と混ぜ合わせて参加を防ぐ。
- 大きめのボウルにスイカ、ミント、レモン汁を加えてよく混ぜ合わせ、10分ほど置く。器に盛り、好みでミントを添える。
○アドバイスレモンの酸味には汗を抑える効果があります。お好みで炭酸水を加えたり、洋酒を入れて、大人のデザートとしても楽しめます。
この方にお話を伺いました
料理研究家 管理栄養士 国際中医薬膳管理師 植木もも子 (うえき ももこ)
中医学や雑穀などを取り入れた、 美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『いちばんやさしいさかな料理の本』(日東書院)他著書多数。