春の養生法のポイントは、冬の間にためこんだ不要なものを体の外へ排出すること。そのために山菜などの「苦味」のある食材をいただきましょう。「苦味」のあるものには便通をよくする作用があります。また、山菜は食物繊維が豊富で、腸をきれいにしてくれます。
同時に解毒機能をもつ「肝」の働きを高めることも大切です。旬を迎えるタウリンが豊富な貝類、木の芽やうど、ふきなど香りが良いもの、菜の花や人参などカロテンが豊富なもの、柑橘類など「酸味」のあるものには、「肝」の働きを助ける作用があります。ただし、胃腸が弱い方は「酸味」のとりすぎには注意しましょう。
◯春の養生食材
山菜/木の芽/うど/ふき/菜の花/人参/筍/わけぎ/キャベツ/鯛/ハマグリ/苺/桜の花(塩漬けにして梅酢で着色した物)など
薬膳の考え方では、「肝」は気や血の流れなどをコントロールしていると考えられています。(薬膳の考え方についてはこちら。)
春はストレスにより自律神経のバランスが崩れやすい時期。気分が落ち込みやすい方は、香りあるものを積極的にとったり、体を動かしたりして気を巡らせることが大切です。気を巡らせることで「肝」の働きも高まります。
フライパンで簡単蒸し料理!
鯛と春野菜の蒸し物
鯛は高タンパクのため肝臓の機能を高める作用があります。低脂肪で、ビタミンやミネラルも豊富。香りのよい春野菜を添えた、お手軽蒸し料理です。(1人分:202kcal/塩分0.6g)
- [材料] 2人分
- 鯛......................2切れ(160g)
- 菜の花...............6本
- 茹で筍..............1/2本
- うど..................1本
- ふき(塩で板ずりして皮をむく)...1/2本
- 酒.....................大さじ2
- 水.....................50ml
- ■A
- 酒..................大さじ2
- 塩..................少々
- ■B
- 木の芽.........5,6枚
- オリーブ油..大さじ2
- 塩.................少々
〔作り方〕
- 鯛は流水で洗って水気を拭き、Aをふりかけておく。菜の花は軸の下を切り落として3等分に切る。筍は食べやすい大きさに切る。うどとふきは4cmの長さに切る。
- クッキングシート(またはアルミホイル)を25cmの長さに切り、菜の花を敷いて筍の軸の部分、汁気を切った鯛の順にのせる。筍の穂先、うど、ふきを盛り付けて酒大さじ1を振り、シートを閉じて両端をねじる。同様にもう1つ作る。
- 2. をフライパンにのせ、水を注いで蓋をし、火にかける。沸騰したら弱火で3、4分蒸し、器に盛ってBをかける。
桜の塩漬けを添えて華やかに
筍のすりおろし団子スープ
食物繊維が豊富な筍は、腸を整える作用があります。木の芽や桜の花の塩漬けの香りが気の流れをよくし、「肝」の働きを助けて解毒作用を促します。(1人分:94kcal/塩分1.5g)
- [材料]2人分
- ■筍のすりおろし団子
- ゆで筍..................中1本
- 鶏ひき肉(胸)...80g
- 塩........................小さじ1/5
- 酒........................小さじ1
- 片栗粉.................小さじ1
- 木の芽(軸から外し粗く刻む)...小さじ1
- ■スープ
- だし汁...............400ml
- 塩......................少々
- しょうゆ............大さじ1/2
- 酒.......................小さじ1
- 桜の花の塩漬け(塩出し)...適量
- 木の芽...............4枚
〔作り方〕
- 筍はすりおろす。ボウルに鶏ひき肉、塩、酒を入れ、粘りが出るまでよく混ぜる。筍と片栗粉を加え、さらにたたいて香りを出した木の芽を入れて、混ぜ合わせる。
- 1. を2等分し、水でぬらしたスプーンで俵型に整える。
- 鍋にだし汁を入れて温め、塩、しょうゆ、酒を加えて味をととのえる。2. を入れて中火にし、火が通るまで煮る。器に盛り、あれば桜の花の塩漬けとたたいた木の芽を添える。
香りを想像したらお腹がぐうぐう
ハマグリと干し椎茸の炊き込みご飯
ハマグリは血中のコレステロール値を下げ、肝臓の機能を高めてくれる食材。気を巡らせる木の芽や三つ葉、気を補う椎茸も加えて、エネルギーを吸収しやすい体にしましょう。(1人分:283kcal/塩分1.4g)
- [材料] 2人分
- ハマグリ(小ぶりのもの)...8個(240g)
- 干し椎茸................................小2枚
- 酒..........................................大さじ3
- 米..........................................1合
- 水..........................................適量
- 塩..........................................小さじ1/4
- 木の芽(三つ葉でも可)......少々
〔作り方〕
- ハマグリは塩抜きをし、酒大さじ2を振り、蓋をして中火で蒸す(蒸し汁をとっておく【A】)。貝が開いたら火を止め、殻を外す。
- 干し椎茸はぬるま湯で戻し(戻し汁をとっておく【B】)、薄切りにする。
- 【A】と【B】をあわせて濾し、水を加え180mlにする。
- 米を研ぎ、水気を切って2の干し椎茸と3、残りの酒、塩を混ぜて炊く。炊き上がったらハマグリを混ぜ、木の芽を散らす。
ネギじゃない、わけぎです!
イカとわけぎの酢みそ和え
イカなどの魚介類や酸味のある酢は、「肝」の働きを高める作用があり、解毒を促してくれる食材です。わけぎの香りが気の流れをよくし、「肝」の働きを助けます。(1人分:109kcal/塩分1.3g)
- [材料] 2人分
- ヤリイカ...............中1杯(80g)
- わけぎ..................3本
- 水.........................適量
- 西京みそ...............大さじ2
- みりん..................大さじ1
- 酢.........................大さじ1
- 練りからし...........小さじ1/4
〔作り方〕
- イカははらわたをとって皮を向き、よく洗う。表面に細かく格子状の切れ目を入れ、食べやすい大きさに切る。
- わけぎは白い部分から湯にいれて3分ほどゆでる。冷めたらまな板に広げ、青い葉の部分を包丁の背でしごいてぬめりを出し、3cmの長さに切る。
- 2. のゆで汁で1. をさっとゆで、ざるに広げて冷ます。
- みそとみりんを混ぜ、電子レンジで20~30秒加熱する。酢、からし、2. 3. の順に加えながら混ぜ合わせ、器に盛る。
養生スイーツ!
苺と生姜のミルクゼリー
苺は体の余分な熱をとり、陰を養う食材。かぜの予防にも有効です。生姜で血行をよくして体を温め、発汗することで解毒を促しましょう。(1人分:147kcal/塩分0.1g)
- [材料]カップ2個分
- 苺...............6~7粒
- 牛乳...........150ml
- ゼラチン....1袋(5g)
- 水...............50ml
- はちみつ....大さじ1
- 生姜汁........小さじ1/4
- 苺ソース.....お好みで(みじん切りした苺一個とはちみつ大さじ1を混ぜる)
〔作り方〕
- 苺はつぶしてざるで濾す。飾り用に一粒取っておく。
- 鍋で牛乳を温め、水でふやかしたゼラチンを加えて溶かす。火を止めてはちみつを加える。
- 2. の粗熱がとれたら1. と生姜汁を加えて混ぜ、鍋底を氷水に浸す。とろみがついたら器に入れて冷やし固める。1/4にきった苺をバランスよく飾る。
- 好みで苺ソースをかけてもよい。