ボウフウは、風邪を防ぐ重要な生薬として、お屠蘇(とそ)にも古くから用いられてきました。
古書に「風邪を治療する最要のものだから」と名前の由来が説明されている通り、ボウフウには発汗・解熱作用があり、四季を通じて感冒による頭痛、悪寒、発熱や予防薬として使われます。痛みを止める作用もあり、関節炎・筋肉痛・身体疼痛・リウマチなどに用いられるほか、消炎・排膿作用があるので、湿疹や皮膚のかゆみ、皮膚が化膿する病気の場合には、薄荷(ハッカ)や荊芥(ケイガイ)などの生薬と合わせて使われます。
ボウフウの有効成分には、抗ウイルス作用、解熱作用、消炎鎮痛作用、血圧降下作用、胃粘膜を守る作用、関節炎を抑制する作用などがあることも薬理実験で報告されています。薬酒に合う生薬で、独特な香りの精油成分がアルコールによって効果的に引き出されます。
ボウフウは、江戸時代に中国から苗が伝えられ、奈良県大宇陀の森野旧薬草園で、江戸幕府の命によって栽培されました。森野藤助にちなんでトウスケボウフウ(藤助防風)、ほかに宇田防風、種防風とも呼ばれています。ボウフウの名前がついた有名な薬に、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)があります。体の代謝を促す漢方薬で、皮下脂肪が多く、便秘がちの人によく合います。最近は、肥満を解消する薬としても使われています。
お正月に、一年の無病息災を願って飲むお屠蘇にも、ボウフウが使われています。屠蘇には悪鬼や邪気を払う力があり、元旦に飲むと疫病を防ぐと言い伝えられています。