桂皮

桂皮[ケイヒ]

Cinnamomi Cortex

ケイヒは香りと味に特徴のある、古くから世界各地で用いられてきた生薬です。

桂皮
ケイCinnamomum cassia Blume の樹皮または周皮の一部を除いたもの。芳しい香りと甘辛い味を持っていることで知られています。
ケイヒの効果と効能

ケイヒには、体の冷えを取り除き、血の巡りをよくする成分が含まれています。そのため、冷え症(冷え性)や冷えからくる肩こり・関節痛・腹痛・下痢・月経痛などの痛みにも効果が期待できます。養命酒では、体を温める作用にも貢献しています。
また、食欲不振や、胃腸のもたれ、胃の痛みなどを改善してくれる芳香性健胃薬としての作用もあることから、多くの胃腸薬にも配合されています。発汗解熱作用があり、風邪の予防や初期症状に効きめがあるため、風邪の特効薬として知られる葛根湯や桂枝湯にも使われています。主成分である精油成分は加熱すると揮発してしまうので、煎じるより薬酒で取り入れたほうが効率的です。

桂皮
ケイヒこぼれ話

ケイヒの仲間は、世界各地で古くから香辛料や薬として用いられてきました。古代バビロニアの都市シュメールの楔形(くさびがた)文字で書かれた粘土板や、古代エジプトの古文書にもその名が記されています。漢方の本場中国へは、紀元前2500年頃までにインドや中央アジアからシルクロードを経由して伝わったとされ、中国の古い書物では「牡桂」「桂枝」「桂心」として記述されています。日本へは飛鳥時代に遣唐使によって唐文化の一つとしてもたらされ、奈良時代には中国から輸入品が、貴族など上流階級の間で使用されていたようです。正倉院の薬帳にも「桂心」としてその名が見られます。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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