紅花

紅花[コウカ]

Carthami Flos

コウカは、薬用や染料として重宝がられ、古くから栽培されてきた生薬です。

紅花
ベニバナCarthamus tinctorius Linnéの花期の管状花。咲いているうちに鮮黄色から赤色に変化する、アザミに似た花を咲かせるキク科の植物です。
コウカの効果と効能

コウカには血行・血流をよくするだけでなく、血管の中で停滞して動かない部分を取り除く働きがあります。婦人用薬として、活血・通経・駆お血(血行障害の治療)・止痛の効果を期待して、月経痛・月経異常・冷え症(冷え性)・更年期障害・打撲傷などに使われています。最近の研究では、発ガン予防や抗酸化作用、血行促進などさまざまな効能があることが解明されてきました。すでに中国では脳血栓や冠状動脈閉塞の治療に効果をあげています。

体を温める効果のある薬酒にコウカを配合すると、血行がよくなって穏やかに体調を補う作用があらわれます。また、コウカは酒とともに服用することで効能が高まることも、長年の経験からわかっています。

紅花
コウカこぼれ話

ベニバナの花の色素は、古くから染料として使われてきました。古代エジプトでは、ベニバナを利用してミイラの布を黄色く染めていたことが、化学分析で確認されています。
日本には推古天皇の頃、高句麗の僧・曇徴が伝えたとされ、平安時代にはすでにポピュラーな植物になっていました。『万葉集』の柿本人麻呂の歌にはベニバナ染めが登場しています。『源氏物語』の巻名「末摘花」も、ベニバナのことです。

江戸時代になると山形地方が主な産地となり、山形産のベニバナは「最上紅(もがみべに)」と呼ばれて染めものや口紅に重宝されました。ベニバナは染料以外にも、種子からリノール酸を多く含む紅花油が取れるなど、利用度の高い植物です。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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