杜仲

杜仲[トチュウ]

Eucommiae Cortex

トチュウは、中国では人参、鹿茸(ロクジョウ)と並ぶ3大名薬の一つです。

杜仲
トチュウEucommia ulmoides Oliv.の樹皮。植物分類的に一科一属一種という珍しい植物で、樹高が約20mにもなる夏緑広葉樹です。
トチュウの効果と効能

漢方の古書には「筋骨を強くし、精気を増し、腰・足・膝の痛み、流産の予防によい」と記載されています。そのため、腰や膝の痛み・妊婦の腰重・足の膝軟弱・排尿困難・帯下・性機能障害・不正子宮出血・高血圧などの改善に使用されています。

トチュウの有効成分で有名なのは血圧降下作用があることで、ほかにも抗ストレス・利尿・糖代謝の改善・虚弱体質改善などの作用も報告されています。

トチュウは葉にも血圧降下作用があり、血圧が高めの方に合う特定保健用食品として杜仲茶やドリンク剤なども人気があります。薬酒に用いてアルコール分で浸出することで、より一層効能が高まるといわれています。

杜仲
トチュウこぼれ話

トチュウには、樹皮をはいだり、葉や枝を折ると、白銀色の糸を引く特徴があります。この成分はグッタペルカというゴム質で、固まると樹脂状になります。トチュウでは含有量が少ないために工業利用はされていませんが、絶縁材料や歯科用セメントになる成分です。

16世紀末に李時珍が著した『本草綱目』によると、「中国に杜仲という人がおり、この植物の樹皮を服用して、仙人の悟りを開いたためにトチュウと名付けられた」と記載されています。また、学名のEucommiaは、ギリシャ語で「よいゴム」という意味があります。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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