トチュウは、中国では人参、鹿茸(ロクジョウ)と並ぶ3大名薬の一つです。
漢方の古書には「筋骨を強くし、精気を増し、腰・足・膝の痛み、流産の予防によい」と記載されています。そのため、腰や膝の痛み・妊婦の腰重・足の膝軟弱・排尿困難・帯下・性機能障害・不正子宮出血・高血圧などの改善に使用されています。
トチュウの有効成分で有名なのは血圧降下作用があることで、ほかにも抗ストレス・利尿・糖代謝の改善・虚弱体質改善などの作用も報告されています。
トチュウは葉にも血圧降下作用があり、血圧が高めの方に合う特定保健用食品として杜仲茶やドリンク剤なども人気があります。薬酒に用いてアルコール分で浸出することで、より一層効能が高まるといわれています。
トチュウには、樹皮をはいだり、葉や枝を折ると、白銀色の糸を引く特徴があります。この成分はグッタペルカというゴム質で、固まると樹脂状になります。トチュウでは含有量が少ないために工業利用はされていませんが、絶縁材料や歯科用セメントになる成分です。
16世紀末に李時珍が著した『本草綱目』によると、「中国に杜仲という人がおり、この植物の樹皮を服用して、仙人の悟りを開いたためにトチュウと名付けられた」と記載されています。また、学名のEucommiaは、ギリシャ語で「よいゴム」という意味があります。