烏樟

烏樟[ウショウ]

Linderae umbellatae Ramus

ウショウは、よい香りの精油成分を持つ、クロモジの幹と枝から取れる生薬です。

烏樟
クロモジLindera umbellata Thunberg の幹と枝。クスノキ科の植物で、香りの高い精油成分(リナロールなど)を含んでいます。
ウショウの効果と効能

ウショウには、高ぶった神経を鎮めてよく眠れるようにする作用、痰を除き、咳を鎮めたり、気管支粘膜の充血を取る作用などがあります。また、一時的に血圧を下げる作用も確認されています。

原料となるクロモジの幹枝には、胃腸の働きをバランスよく整える芳香性健胃薬としての効能や、急性胃腸炎や下痢などにも効きめがあります。クロモジの枝葉は刻んで入浴剤にすると、神経痛、リウマチ、肩こり、腰痛に加え、体を温める効果もあるので冷え症(冷え性)や、湿疹、小児の皮膚のただれにもよいといわれています。ウショウを薬酒に使うと、煎じたときに比べて香り高い精油成分が効率的に抽出されます。

烏樟
ウショウこぼれ話

クロモジは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、漢方医学ではあまり使われてきませんでしたが、日本人には身近で有用な植物といえます。枝葉によい香りがあるため、山地の人々や登山愛好家に親しまれてきました。高級爪楊枝としても私たちの生活になじんでいます。名前の由来は、樹皮にある黒い斑点を文字に見立てたことから、クロモジ(黒文字)と付けられました。

枝に葉がついたまま採取し、蒸留によってできた精油をクロモジ油といいます。香りがよいため、香水や石鹸として利用されたこともあります。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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