ウショウは、よい香りの精油成分を持つ、クロモジの幹と枝から取れる生薬です。
ウショウには、高ぶった神経を鎮めてよく眠れるようにする作用、痰を除き、咳を鎮めたり、気管支粘膜の充血を取る作用などがあります。また、一時的に血圧を下げる作用も確認されています。
原料となるクロモジの幹枝には、胃腸の働きをバランスよく整える芳香性健胃薬としての効能や、急性胃腸炎や下痢などにも効きめがあります。クロモジの枝葉は刻んで入浴剤にすると、神経痛、リウマチ、肩こり、腰痛に加え、体を温める効果もあるので冷え症(冷え性)や、湿疹、小児の皮膚のただれにもよいといわれています。ウショウを薬酒に使うと、煎じたときに比べて香り高い精油成分が効率的に抽出されます。
クロモジは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、漢方医学ではあまり使われてきませんでしたが、日本人には身近で有用な植物といえます。枝葉によい香りがあるため、山地の人々や登山愛好家に親しまれてきました。高級爪楊枝としても私たちの生活になじんでいます。名前の由来は、樹皮にある黒い斑点を文字に見立てたことから、クロモジ(黒文字)と付けられました。
枝に葉がついたまま採取し、蒸留によってできた精油をクロモジ油といいます。香りがよいため、香水や石鹸として利用されたこともあります。