淫羊藿

淫羊藿[インヨウカク]

Epimedii Herba

インヨウカクは元気をつける、強精強壮効果で有名な生薬です。

淫羊藿
ホザキノイカリソウEpimedium sagittatum Maximowicz またはその他近縁植物の地上部。
インヨウカクの効果と効能

インヨウカクには強壮・強精効果があるので、男性の性的不能・女性の不妊・高齢者の衰弱・腰や膝の衰えなどに用いられます。また、しびれや痛みにもよいとされていて、下肢麻痺・脳卒中後の半身不随・筋肉や関節のけいれんにも効果があります。インヨウカクの成分には降圧作用があり、更年期の高血圧症などにも使われます。古くから、加齢による健忘症の薬としても用いられ、倦怠無力感・記憶力低下・神経衰弱にもよいとされています。

煎じるか薬酒として用いると、強精強壮作用が体にやさしく穏やかに効いていきます。

淫羊藿
インヨウカクこぼれ話

4~5月頃、船のイカリ(錨)に似たかわいらしい花を咲かせることから、イカリソウ(インヨウカクのこと)の名が付けられています。別名の放杖草は、これを飲むと老人も杖が不要になるほど元気になるためだといわれています。中国・明時代の薬物書『本草綱目』にも、「西川(地名)に淫した羊あり。このカク(インヨウカクの花の蕾)を食べて、一日百遍交合す」と記されています。

東洋医学では、「腎」が成長・発育・生殖の働きを司り、骨や歯を維持していると考えます。また、志を強くして、思考力・集中力を保持するためにも、「腎」の力が不可欠です。インヨウカクは、その「腎」を補う作用があるので、不妊や老化、健忘に使われるのです。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

ページの先頭へ