インヨウカクは元気をつける、強精強壮効果で有名な生薬です。
インヨウカクには強壮・強精効果があるので、男性の性的不能・女性の不妊・高齢者の衰弱・腰や膝の衰えなどに用いられます。また、しびれや痛みにもよいとされていて、下肢麻痺・脳卒中後の半身不随・筋肉や関節のけいれんにも効果があります。インヨウカクの成分には降圧作用があり、更年期の高血圧症などにも使われます。古くから、加齢による健忘症の薬としても用いられ、倦怠無力感・記憶力低下・神経衰弱にもよいとされています。
煎じるか薬酒として用いると、強精強壮作用が体にやさしく穏やかに効いていきます。
4~5月頃、船のイカリ(錨)に似たかわいらしい花を咲かせることから、イカリソウ(インヨウカクのこと)の名が付けられています。別名の放杖草は、これを飲むと老人も杖が不要になるほど元気になるためだといわれています。中国・明時代の薬物書『本草綱目』にも、「西川(地名)に淫した羊あり。このカク(インヨウカクの花の蕾)を食べて、一日百遍交合す」と記されています。
東洋医学では、「腎」が成長・発育・生殖の働きを司り、骨や歯を維持していると考えます。また、志を強くして、思考力・集中力を保持するためにも、「腎」の力が不可欠です。インヨウカクは、その「腎」を補う作用があるので、不妊や老化、健忘に使われるのです。