チョウジは、スパイスとしても古くから世界中で利用されてきた生薬です。
チョウジには、胃腸の消化機能を促進したり、体を温める作用があり、芳香性健胃薬として、消化不良・嘔吐・下痢・腹部の冷痛などの際に使われています。また、しゃっくりや吐き気にも応用されます。
チョウジ油に含まれるオイゲノールという成分には殺菌・鎮静作用があり、歯痛の局部麻酔薬や、いろいろな場面で防腐薬としても利用されています。歯が痛いときにチョウジを噛むと痛みが止まるのは、理にかなったことなのです。薬酒としてチョウジを服用すると、体を温めて血行・血流を促す効果が強まります。
チョウジ(丁子)とは、釘(くぎ)という意味。花の蕾のかたちが釘に似ていることから名付けられました。英語名のクローブ(clove)も、フランス語のクルー(釘)に由来しています。チョウジの原産地はモルッカ諸島です。紀元前に中国に伝わり、1世紀頃にはローマに伝えられました。肉料理やケーキ、プディング、カレー粉、ソースなどスパイスとして幅広く用いられています。
日本にも古くから渡来していて、東大寺・正倉院には実物が保存されています。奈良時代にはチョウジで飾られた王冠があったり、『源氏物語』には、丁子染めに関する記載が見られます。当時は、装飾、薫香、防虫、防カビが主な用途だったようです。