ニクジュヨウはニクショウヨウとも呼ばれ、穏やかな強壮・強精効果がある生薬です。
漢方では、強壮・強精における重要な生薬として知られ、性的不能や不妊症、足腰が萎えて弱った状態、物忘れなどの場合に用いられます。神経衰弱で元気がない、倦怠感を感じるなど、なんとなく力が出ない方にもよく合う生薬です。効用が緩やか(従容)なことからこの名があり、体を温めて、穏やかに滋養を補うので、高齢者や体力のない方でも安心して服用できます。
また、ニクジュヨウには渇きを潤して、腸をなめらかにする効果もあります。寝たきりや術後で衰弱すると便秘になりやすくなりますが、そんなときにもニクジュヨウがよく合うといわれています。薬酒として服用すると、毎日少量ずつ服用することによって、穏やかに体を補う作用がよりよいかたちであらわれます。
中央アジアから、モンゴルや中国の砂漠地帯に分布するハマウツボ科の植物です。
別名のホンオニクから動物性だと誤解されがちですが、寄生植物で葉が退化してうろこ状になり、肉に似た感じがするため「にく」、霊験ある薬草のため「御(おん)」をつけて「御肉(オニク)」という名が付きました。中国では、産後衰弱して体力回復が遅いときに、食べて滋養をつけるそうです。ニクジュヨウに枸杞子(クコシ)や黄耆(オウギ)などの生薬を加えて、鶏肉と一緒に煮る料理があります。