肉蓯蓉

肉蓯蓉[ニクジュヨウ]

Cistanchis Herba

ニクジュヨウはニクショウヨウとも呼ばれ、穏やかな強壮・強精効果がある生薬です。

肉蓯蓉
Cistanche deserticola Y.C.Ma またはホンオニク Cistanche salsa C.A.Meyerの肉質茎。中央アジアやモンゴルの砂漠地帯に生えている植物の根に寄生する植物です。
ニクジュヨウの効果と効能

漢方では、強壮・強精における重要な生薬として知られ、性的不能や不妊症、足腰が萎えて弱った状態、物忘れなどの場合に用いられます。神経衰弱で元気がない、倦怠感を感じるなど、なんとなく力が出ない方にもよく合う生薬です。効用が緩やか(従容)なことからこの名があり、体を温めて、穏やかに滋養を補うので、高齢者や体力のない方でも安心して服用できます。

また、ニクジュヨウには渇きを潤して、腸をなめらかにする効果もあります。寝たきりや術後で衰弱すると便秘になりやすくなりますが、そんなときにもニクジュヨウがよく合うといわれています。薬酒として服用すると、毎日少量ずつ服用することによって、穏やかに体を補う作用がよりよいかたちであらわれます。

肉蓯蓉
ニクジュヨウこぼれ話

中央アジアから、モンゴルや中国の砂漠地帯に分布するハマウツボ科の植物です。

別名のホンオニクから動物性だと誤解されがちですが、寄生植物で葉が退化してうろこ状になり、肉に似た感じがするため「にく」、霊験ある薬草のため「御(おん)」をつけて「御肉(オニク)」という名が付きました。中国では、産後衰弱して体力回復が遅いときに、食べて滋養をつけるそうです。ニクジュヨウに枸杞子(クコシ)や黄耆(オウギ)などの生薬を加えて、鶏肉と一緒に煮る料理があります。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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