反鼻

反鼻[ハンピ]

Agkistrodon Japonicae

ハンピは、滋養強壮剤として、日本人に愛用されている生薬です。

反鼻
マムシAgkistrodon halys Palls またはそのほか同属動物の皮および内臓を取り除き精製したもの。ほかの蛇類が卵生なのに対し、卵胎生であるのが特徴です。
ハンピの効果と効能

ハンピは、マムシから取れる生薬で、古くから強壮強精、新陳代謝の良薬として知られてきました。漢方では強壮・解毒作用を期待して酒に漬け、全身の衰弱や内臓機能の衰え・できもの・しびれ・脳卒中後の麻痺・痔疾などに用います。民間療法では黒焼きやマムシ酒にして、疲労回復や冷え症(冷え性)などにも用いられています。最近の研究ではハンピの有効成分に、強心作用、血球数および血色素を増加させる作用があることがわかっています。

明治以降、マムシを滋養強壮剤として用いることが増え、現在でも多くの滋養強壮ドリンク剤に、ハンピチンキとして配合されています。薬酒でハンピを服用すると、ハンピ内のアミノ酸などのさまざまな有効成分が、アルコールによって効率よく抽出され、吸収されやすくなる利点があります。

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ハンピこぼれ話

南北朝時代の武将・楠正成は、軍人の心得として「五八霜(マムシの粉末のこと)を馬に食べさせると、大変元気がつくので10日、20日は餌を食わさなくても大丈夫だ」と語った一節があります。競馬では出走前に馬にマムシを与えると、馬力が出てよく走るという話もあるようです。

島根県には「伯州散(はくしゅうさん)」「伯耆の黒グスリ」という薬があります。これは、マムシの黒焼きに、鹿角(鹿のツノ)と津蟹(モクズガニ)の黒焼きを混ぜたもので、悪性のはれもの・化膿性の病気・慢性のおできに効く良薬として伝えられています。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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