秋は、夏が終わって夜の長さにうつうつとしたり、食欲が止まらず食べ過ぎて胃もたれを起こしたり......。思い当たったら、この時季に体調を崩しやすい体質と生活習慣をチェックして、自分に合ったセルフケアを行いましょう。
- 〔目次〕
- あなたに起こりやすい不調はどっち? 秋の体質チェック
- 胃もたれさんは「心の満足度を上げて食欲をコントロールする」セルフケアを
- クヨクヨさんは「体と心を潤わせて気分をスッキリさせる」セルフケアを
あなたに起こりやすい不調はどっち? 秋の体質チェック
秋に起こりやすい不調は、主に食べ過ぎによる「胃もたれ」と自律神経の乱れによる「情緒不安定」の2つ。まずはチェックリストで、自分に当てはまる症状がないか確認してみましょう。
2つ以上チェックがついたら、タイプ別セルフケアを始めましょう。どちらのタイプにも当てはまる場合は、両方行うのがおすすめです。
食べ過ぎ「胃もたれ」さんタイプチェック
- □ たくさん食べても満腹感を得にくい
- □ 冷たいものを飲食することが多い
- □ もともと胃腸が弱い
- □ イライラするとたくさん食べてしまう
- □ ストレスを感じることが多い
- □ 熱中して打ち込めることがない
2つ以上当てはまる場合は、胃もたれさんタイプ。消化が追いつかず胃が悲鳴を上げている状態です。
→ 胃もたれさんタイプのセルフケアへ
自律神経の乱れによる「クヨクヨ」さんタイプチェック
- □ 便秘気味
- □ 口や喉の渇き、肌の乾燥を感じる
- □ 眠れない状態が続いている
- □ 日中のだるさが抜けない
- □ 不安感が強く、ゆううつになる
2つ以上当てはまる場合は「クヨクヨ」さんタイプ。自律神経が乱れて情緒不安定な状態です。
→ クヨクヨさんタイプのセルフケアへ
胃もたれさんは「心の満足度を上げて食欲をコントロールする」セルフケアを
消化が追いつかず胃が悲鳴を上げている状態
秋は食べ物がおいしい季節。暑い時期に減退していた食欲が復活し、こってりしたものを食べたくなりますが、胃はまだ夏の疲れを引きずっています。
冷たいものをとり過ぎたり、欲するままに暴飲暴食をしたりしていると消化吸収しきれず胃もたれを引き起こすことに。
また、もともと胃腸が弱い人が日常のストレスを食で発散しようとすると、さらに不調を招くといった悪循環に陥ってしまいます。
対策1:ちょこちょこ食べで腹八分
満腹になるまで食べてしまうと、消化するのにパワーをすり減らし、胃の疲れを助長してしまいます。
視覚からも食事の満足度を高めるためには、麺類や丼などの一品ものより、複数のおかずをちょこちょこ食べて、腹八分で抑えましょう。
対策2:スパイスで胃もたれ解消
胃の消化吸収を整える作用のあるスパイスを日常使いしてみましょう。クミンは肉料理と相性◎。クローブはドレッシングにちょい足しするなど、健胃作用のあるものをパウダータイプで用意しておくと、いつもの料理に一振りするだけで手軽に取り入れられます。
対策3:夜の空腹はホットドリンクで抑える
夕食は就寝の3時間前までに済ませたいところ。寝る前に空腹を感じたときは、麹から作った甘酒やホットミルクなど体に優しい飲み物で気持ちを満たしましょう。
夕食を軽めにすると寝つきが良くなる効果も。夜食べ過ぎた翌日は、朝食を軽めにして胃を休めるのが◎。
対策4:推し活や趣味を楽しむ
「欲をもって欲を制す」という言葉があるように、好きな俳優がいたり、打ち込める趣味があったりすると食欲をコントロールできます。
ドラマや映画を見る、美術館やコンサートに足を運ぶなど、好きなことに熱中したりときめいたりする時間をつくるとよいでしょう。
クヨクヨさんは「体と心を潤わせて気分をスッキリする」セルフケアを
自律神経が乱れて情緒不安定な状態
日没時間が早く、夜の時間が長くなる秋。気温が徐々に下がって過ごしやすくなる反面、植物が葉を落とすなど、自然界に寂しさが漂います。大気も乾燥してくるので、喉や肌の不調、便秘などが起こりやすくなります。
また東洋医学では、秋は五臓のうち「肺」と、それと関係する「肝」も影響を受けると考えられています。気や血の流れをコントロールする「肝」が弱ることで、自律神経が乱れて情緒不安定になったり感傷的になったりすることもあります。
対策1:体を潤す食材をとる
柿、なし、かりんなど、秋に旬を迎える果物には体を潤す作用があります。同じく体を潤し、喉の乾燥対策にも有効なハチミツ漬けてもよいでしょう。
柿、なしは体を冷やす作用もあるので、朝食や日中に食べるか温めるのが◎。豆乳や葛湯で煮るのもおすすめです。
対策2:心にも栄養を
毎日が流れるように過ぎていってしまうと感じたら、一輪でもよいので、季節の花を飾って気分転換をするなど、心にも栄養を与えましょう。
対策3:思いきり笑ったり泣いたり、感情を出す
物悲しいときはゲラゲラ笑ったり泣いたりと、思いきり感情を出すとスッキリできます。お笑い番組や落語、コメディ映画、泣けるドラマや小説などで感情を表に出しましょう。友人や家族との会話で心から笑うのもよいでしょう。
対策4:ツボを押して不調を改善
- 神門(しんもん)......手首の内側にある小指側のくぼみ。親指を立てて押しながら左右に動かしましょう。
- 天枢(てんすう)......おへそから左右に指3本分外側。お腹が軽くへこむ程度に押しましょう。
スパイスを取り入れたり花を飾ったり、今までなじみがなかったことでも試してみると、思わぬ効果が感じられるかも。心身の健康に役立ててみてくださいね。
この方にお話を伺いました
東京女子医科大学東洋医学研究所所長・教授 木村 容子 (きむら ようこ)

医学博士。日本内科学会認定医・指導医・理事。著書は『太りやすく、痩せにくくなったら読む本~医師が教えるほんとうのダイエット~』(大和書房)など多数。