愛媛県・久万高原町の高校生がクロモジを学び、精油を製品化、町の名産品へ
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愛媛県・久万高原町の高校生がクロモジを学び、精油を製品化、町の名産品へ

愛媛県・久万高原町の上浮穴(かみうけな)高校では、2015年から国産ハーブ「クロモジ」について研究活動を進め、その取り組みが引き継がれています。

久万高原町は、名峰石鎚山(いしづちさん)を有する高原の町。

往年のテレビドラマ『東京ラブストーリー』の主役、カンチの出身地です。当時から、都会(=恋人役リカ)とは反対の、自然の魅力に満ちた町だったことが想像できます。

上浮穴高校森林環境科のクロモジ研究をレポートします。

きっかけは、ある男子高校生達とクロモジとの出会いでした。

クロモジについて学び、町に貢献、社会に関わることを夢見ながら卒業

上浮穴高校には森林環境科があります。

2015年にクロモジ研究を始め、5人の2年生男子がクロモジ研究チームを結成しました。

当時の校長森田桂子先生は、初めはクロモジに限らず森の樹木を活かすことを考えていたところ、香りの良さ、製品化の面白さなどを感じて、クロモジ研究に集中したそうです。町でハーブサミットが開催されることもあり、ハーブとしての魅力も話題となっていました。

当時農場長の橋本孝之先生とともに、地元の森林組合と連携したり、補助金を獲得して蒸留機を購入したり、一緒に山に登って採取したり、陰になり日向になり初代クロモジチーム5人の活動を支えてきました。

クロモジ研究チームでは生態を調べるだけでなく、精油を作り、更にクリームなどの製品化を進めました。そして、いよいよ全国ハーブサミット連絡協議会による第23回全国ハーブサミットにも参画。

クロモジの生態調査から製品化、世の中への発信まで一連の経験を積むことができました。

クロモジの魅力と社会に関わることの面白さを知った彼らは、クロモジを介護の現場で活かすこと、町の名産品にすることなど、クロモジで町に貢献することを夢見ながら高校を卒業します。

上浮穴高校OB、初代クロモジチーム.jpg

上浮穴高校OB、初代クロモジ研究チームの5人

白川凛太郎さん、宮内永さん、田中智也さん、坂本知彌さん、山之内恭介さん

上浮穴高校のOBと現役生が、クロモジの魅力をセミナーで語る!

初代クロモジチームは、卒業後、一度町を出ましたが、Uターン就職。

ある日、久万高原町産業文化会館でクロモジセミナーが開かれることを知ります。主催する町の応援もあり、5人も参加することに。

舞台に立ったのは愛媛大学医学部附属病院の教授 伊賀瀬道也氏、上浮穴高校OBと現役生。


愛媛大学医学部教授 伊賀瀬道也先生による、「感染症対策とクロモジの抗ウイルス作用について」ご講演。.jpg

愛媛大学医学部教授 伊賀瀬道也先生の基調講演



「自分たちは、

「自分たちは、"クロモジ"で町に帰りたくなった」と伝えた、初代クロモジチーム



町民の皆さんを観客に、上浮穴高校の現役生とOBがクロモジの魅力を語りつくしました。.jpg

初代クロモジチームと現役生がクロモジの魅力を語る

初代クロモジチームは、高校時代にクロモジと関わった記録を紹介し、自分たちは"これで町に帰りたくなった"と伝えました。

「子どもの頃、大人に"町に帰れ"と言われたけれど、なぜ帰らなければならないか分からなかった。今の子ども達も同じ。ただ帰れと言うだけでなく、帰りたくなるような町にするために行動が大切」と締めました。

行動を伴う熱い思いに会場からは拍手が起きました。

5年前に始めた高校の取り組みが、町の未来を本気で考える若者を育てました。

とても意義深いことです。

研究チームの5人にはもちろん、それを支えた教育関係、クロモジ関係、自治体の方々に敬意を表します。

会場には、地元のクロモジ事業者もブースを出展し、クロモジサミットの様相を見せました。

このセミナーの様子は地元メディアでも報道され、久万高原町のクロモジの知名度アップにつながりました。

会場ロビーのブースには大きなクロモジもお目見え。.jpg

ロビーのブースには大きなクロモジもお目見え



「高校生とクロモジ」。クロモジが社会教育の教材に!

上浮穴高校では、今も現役高校生が研究を続けています。

町主催のクロモジセミナーでも発表された田川詩月さんは、4人の下級生と研究を進めています。

クロモジを研究したのは、たまたま先輩に声をかけられたためと言います。

地元で開催される歴史あるハーブのイベントや産業まつりに参加できること、

研究チームは少人数のため、自分で決めて自分で行動しないと何も進まないことが楽しいそうです。

今は、香りのよい「ろうそく」を作るべく研究中、お香づくりから始めて試行錯誤を重ねています。

卒業後、田川さんは大好きな柿の農家になるために農業大学に進みたいとのこと。

クロモジを通じて学んだことを活かし、道を切り開いていってくれることでしょう。

クロモジを粉砕する田川詩月さん.jpg

クロモジを粉砕する田川詩月さん

地元の特性を活かしながら、しっかりと目標をもった生徒が育っていく、素晴らしい環境が久万高原町にはありました。

今後のクロモジラブストーリーに期待が持てます。

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《お話を伺った皆さま》

上浮穴高校

OB 白川凛太郎さん、宮内永さん、田中智也さん、坂本知彌さん、山之内恭介さん

他、上浮名高校関係者

皆さんの肩書は取材時(202011月)のものです。

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