皮膚や粘膜は外界に曝されている防護壁なので、気温とともに湿度が下がり暖房も必要になる季節は、肌や目が乾いてきます。顔の保湿は気を付けていても、体のうるおいケアは怠りがちな人が多いのではないでしょうか?
洗いすぎによる乾燥肌に要注意!
清潔好きの日本人は年齢を問わず洗い過ぎによる乾燥肌の人が目立ちます。熱めのお湯やこすり洗いは避け、石鹸やシャンプーなどの使い過ぎにも気をつけましょう。皮脂の分泌の少ない子どもや40代以降の方は汚れにくいところは一日おき程度で十分でしょう。
お風呂から出たら10分以内に保湿剤を塗ると効果的。保湿剤には様々な種類がありますが、手足、腰など角質が厚めのところは尿素配合剤が向きます。顔や首にはいつもの化粧水や乳液にスキンケア用のオイルを混ぜると保湿力がアップ。手のひらにオイルを1滴垂らし、そこに化粧水を適量出して手の中で混ぜてエマルジョン化(乳化)してから塗るだけです。
私が愛用しているのは皮膚の保護効果のあるゼラニウムの精油を1%混ぜたマカダミアナッツオイル。ほっとするアロマセラピー効果も得られます。
目の乾きが気になる時は...
ドライアイのケアには目薬が欠かせませんが、目の乾燥対策には、目の充血をとる血管収縮剤が配合されていないものを選んだ方がよいでしょう。血管収縮剤の効果が切れると余計に充血するので使い過ぎになりがち。成分が涙と同じ(人口涙液型)かヒアルロン酸なら繰り返し点眼しても安全です。
マスク着用で鼻・のどの乾燥対策
鼻やのどなど呼吸器粘膜の乾きを防ぐにはまずマスク。自分の呼気で加温加湿された空気を吸入できます。夜間などは濡らしたガーゼを重ねたガーゼマスクにするとより効果的。また、首が冷えるとのどの粘膜の血流も減るので、寝る時にネックウォーマーなどで首を冷やさないようにするのも粘膜保護に役立ちます。
食材のチカラで内側から体を潤す
身体の内側から潤すには、薬膳の潤す効果のある食材(ヤマイモ・レンコン・ユリネ・ゴマ・クコの実など)や温める食材(ネギ・ニンニク・ショウガ・シナモンなど)を食事に取り入れましょう。
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この方にお話を伺いました
緑蔭診療所・医師 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。