肌がかさつく、ごわつく、化粧のりが悪い...。そんな肌トラブルの原因になるのが「乾燥」。
特に秋は、急速に乾燥する季節であること、夏に受けた紫外線のダメージが残っていることから、肌に疲れが出やすい季節です。冬は暖房器具を使うことで湿度が下がって乾燥がさらに進み、春も花粉や昼夜の気温差が刺激になって乾燥しやすくなると言われています。そして、乾燥のイメージがあまりない夏でさえ、エアコンの影響で肌は乾燥してしまいます。
このように、「乾燥」は、年間を通して肌の大敵。保湿に有効なオイルとハーブの効能で、こまめに潤いを与えましょう。
全身のダメージ回復と乾燥対策に♪
「ホホバオイル+精油」のボディオイル
生命力あふれる植物の種子や果実から採れる植物オイルは、古来より食用だけでなく、疾患の治療や肌ケアに活用されてきました。
ホホバオイルは、酸化しにくく保存性に優れていることから、初心者でも使いやすい植物オイルです。肌に浸透しやすい上に伸びがよいという特徴があります。
ホホバオイルに精油を数滴加えると、ダメージ回復と乾燥対策になるボディオイルの完成。お風呂上りの血行がよくなっている時に、乾燥が気になる部分を中心に塗ると効果的です。
〔おすすめ精油〕
ラベンダー:皮膚の細胞修復作用を持ち、紫外線によるダメージを癒して肌を整えます。
ローズ:エモリエント作用(皮膚を柔らかくし、潤いを保つ働き)を持つスキンケアによい代表的なハーブ。肌に潤いを与えます。
ゼラニウム:皮脂分泌のバランスを整え、乾燥した肌を潤します。
※精油の選び方については、文末コラム「精油の選び方」をご覧ください。
- 〔用意するもの〕
- ホホバオイル30ml
- 精油6滴
- ビーカー(またはガラス容器)
※ガラスビーカーは一部100円均一のお店でも入手が可能です。
※ホホバオイルの選び方については、文末コラム「ホホバオイル、ミツロウの選び方」をご覧ください。
〔How to〕
- ビーカー(ガラス容器)にホホバオイルを入れ、精油を加える。
- よく混ぜ合わせて出来上がり。保存する場合は、保存容器に移す。
○ポイント
・体格や皮膚の乾燥状態によって使用量には個人差がありますが、ホホバオイル30mlでほぼ全身に塗布できます。両脚だと10ml、両腕であれば5mlが目安です。
・余ったボディオイルやホホバオイルは、大さじ1杯程度お風呂に入れると、乾燥した肌を優しく潤すバスオイルになります。
・顔に使用する場合は、精油の量を半分以下にしてください。
・ホホバオイルは、低温で白く固まることがありますが、常温で液体に戻ります。
※制作の際の注意事項については、文末コラム「制作の注意事項」をご覧ください。
肌のかさつき、ごわつき改善!
「ワセリン+精油」のバーム
薬局でも手に入るワセリンに、精油を混ぜるだけで香り高いバーム(軟膏)が簡単につくれます。ワリセンには、ホホバオイルのように肌に浸透する作用はありませんが、皮膚表面に留まって肌のかさつきやごわつきを和らげる作用が期待できます。
また、ワセリンは無臭なので、精油と混ぜた「ワリセンバーム」は、精油の香り高い練り香水としても活躍します。眠る前に耳の後ろにちょんと一塗りすると、心身を緩め、心地よい眠りを誘うでしょう。日中の仕事や家事の合間の気分転換にもなりますよ。
〔おすすめ精油〕
ラベンダー、ローズ、ゼラニウム
- 〔用意するもの〕
- ワセリン10ml
- 精油1滴
- 保存容器
※化粧品を小分けするクリームケースなどを使用。100円均一のお店で入手できます。 - 竹串または爪楊枝
※ワセリンの選び方については、文末コラム「ワセリンの選び方」をご覧ください。
〔作り方〕
- 保存容器にワセリンを入れ、精油を加える。
- 竹串(または爪楊枝)でよく混ぜ合わせて、出来上がり。
○ポイント
・皮脂腺が少ない手のひらや足の裏、くちびる、すねなど、特に乾燥が気になる部分に刷り込むように使うのがおすすめ。
・食器洗いなど水仕事の前に塗っておくと、洗剤や水の刺激から手をガードしてくれます。
・使用する際は、塗り過ぎないよう少量から試すようにしてください。
※制作の際の注意事項については、文末コラム「制作の注意事項」をご覧ください。
1つで3役!
「ミツロウ+精油」のハーバルバーム
ホホバオイルと、蜜蜂の巣から採れる「ミツロウ」を煮溶かしたものに精油を加えると、万能ハーバルバームの完成です。ミツロウは、蜜蜂が分泌するロウ(ビーズワックス)で、抗菌作用や保湿作用、皮膚を柔軟にしてハーブの有効成分を浸透させる働きがあります。
「万能ハーバルバーム」は、手軽に作れて、リップクリーム/ハンドクリーム/ヘアクリームの3役をこなす優れもの。保湿と肌への浸透に優れた極上のバームです。
〔おすすめ精油〕
ラベンダー、ローズ、ゼラニウム
- 〔用意するもの〕
- ホホバオイル10ml
- ミツロウ2g
- 精油2滴
- ビーカー(またはガラス容器)
※ガラスビーカーは一部100円均一のお店でも入手できます。 - 保存容器
※化粧品を小分けするクリームケースなどを使用。100円均一のお店で入手できます。 - 竹串または爪楊枝
※ホホバオイル、ミツロウの選び方については、文末コラム「ホホバオイル、ミツロウの選び方」をご覧ください。
〔How to〕
- ビーカー(ガラス容器)にホホバオイルとミツロウを入れ、電子レンジに入れる。
- 500Wで3分温める。ミツロウが完全に溶けていなければ20~30秒ほど追加で温める。
- ビーカーを濡れ布巾などでしっかりつかんで取り出し、竹串または爪楊枝で混ぜ合わせる。
※ビーカーは熱くなっているので、取り扱いに注意しましょう。 - 3.に精油を加えてさらに混ぜ、液体のうちに保存容器に注ぐ。
※使い終わったリップクリームのケースに注ぎ入れて固めると、簡単に手作りのリップクリームが出来上がります。
○ポイント
・気温が低いと固まりやすいので、途中で固まってきたら再加熱するようにしてください。
※制作の際の注意事項については、文末コラム「制作の注意事項」をご覧ください。
オイルとハーブの効能が肌に潤いを与えると同時に、ハーブの香りが心に余裕をもたせてくれるかもしれません。秋から冬にかけての季節に、身も心もリラックスできるハーバルケアをぜひ試してみてください。
ハーバルライフを楽しむ「基本のき」
材料の選び方&制作の注意事項
★精油の選び方
パッケージや瓶の表示をチェックし、100%天然のものを使用します。目安として「100% pure nature」や「AEAJ(日本アロマ環境協会)表示基準適合認定精油」と書いてあるものをセレクトするとよいでしょう。
精油はそれぞれ植物から採れる量が異なります。採油量の多い柑橘類やハーブ系は入手しやすいですが、量が採れないバラやジャスミンなどの花精油は高価です。そのため、雑貨店などで、バラもラベンダーもレモンも全て均一価格で売られているものは、合成オイルの可能性が高いので注意が必要です。
★ホホバオイル、ミツロウの選び方
ホホバオイルもミツロウも「精製」のものと「未精製」のものが市販されています。未精製のものは、天然の有効成分がたっぷり入っていますが、肌が敏感になっていると刺激を感じることもあります。心配な場合は「精製」しているものを選ぶとよいでしょう。「精製」は透明で、「未精製」は黄色っぽい色をしています。
ハーブ専門店や一部雑貨店、ネット通販でも購入可能です。開封すると品質が低下するので、まずは少量のものを選ぶとよいでしょう。
★ワセリンの選び方
一般的に「白色ワセリン」と「黄色ワセリン」があり、用途も「第三類医薬品」、「化粧油」などに分けられます。
薬局で購入できる医薬品の「白色ワセリン」は、精度が高いので安心です。ワセリンは少しずつよく伸ばして使うものなので、購入の際は、少量のものを選ぶとよいでしょう。固まっていて使いにくい場合は、手のひらで少し温めてから使うと伸ばしやすいです。
★制作の注意事項
◎保管について
使用する容器は煮沸消毒またはアルコール消毒をします。直射日光や高温多湿での保管を避け、1カ月を目安に使い切ってください。また容器からバームを取り出す際は、清潔な手で雑菌が入らないよう注意してください。
◎精油の分量について
人によっては香りが強いと感じるかもしれないので、香りを試してみて強く感じたら入れる分量は少なめから始めるとよいでしょう。
◎子どもの使用について
精油が入ったトリートメントオイルやクリームを肌に塗布するのは、3歳以上からとされています。3歳以上でも精油はレシピの半分以下を目安にしてください。
◎パッチテストについて
いずれもひじの内側に少量つけ、肌が赤くなったり、かゆくなったりしないかなど、自分にとっての安全性を確認してから使用してください。
この方にお話を伺いました
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ所属 葛和恵奈子 (くずわ・えなこ)
英国IFAアロマセラピスト/AEAJアロマセラピスト/AEAJアロマセラピーインストラクター/メディカルハーブコーディネーター/RTAベビーマッサージセラピスト
編集者として取材で出会ったハーブ&アロマのチカラに魅せられ、メディカルハーブ健康術&生活術を学ぶ。専門学校講師として、またイベントやセミナーでTPOに合わせたハーブ&アロマ活用方法を伝えている。2児男子の母。