バスタイムは、体の汚れを落とすだけでなく、心身共にリフレッシュする大切な時間。
お湯につかるだけでも温浴効果で体は温まりますが、ハーブをプラスするとお湯の中に溶け込んだハーブの成分が肌の表面に薄い膜を作り、入浴後も継続して体をじっくり温めてくれます。また、ハーブ特有の保湿・抗菌・抗炎症などの薬効成分が肌をやさしくケアします。
さらに、浴室全体に漂うハーブの香りが自律神経に働きかけ、心身のコンディションを整えるという嬉しい効果も。
そこで、ハーブと塩や重曹、ハチミツなどの身近な天然素材を合せるだけで簡単に楽しめるハーバルバスをご紹介します。その日の気分や状態によってレシピを選び、バスタイムで極上のセルフケアを楽しみましょう。
炭酸効果で血行を良くする
アロマバスボム
お風呂に入れると、目の前でシュワシュワと発泡するバスボムは、大人にも子どもにも人気の入浴剤。これにハーブをプラスすると、発泡するときに心地よい香りが広がり、バスタイムが華やぎます。
材料は、天然塩(粗塩)、重曹、クエン酸の3つの天然素材とお好みのドライハーブ(または精油)のみ。重曹はアルカリ性、クエン酸は酸性なので、合わせると化学反応を起こして炭酸ガスが発生します。血行が良くなると言われている炭酸風呂を自宅で手軽に楽しめますよ。
また、天然塩には保温効果や発汗効果、重曹には皮膚の表面を柔らかくする働きが期待できるので、冷え改善や美肌づくりをサポートしてくれるでしょう。
〔おすすめドライハーブ〕
ローズ(つぼみ):エモリエント作用(皮膚を柔らかくし、潤いを保つ働き)を持つスキンケアによい代表的なハーブ。肌に潤いを与えます。
ハイビスカス(ホール):代謝を促す作用が期待できます。お湯がほんのり赤くなります。
※ハイビスカスは、花びらではなく、萼(ガク)の部分を使用します。「ハイビスカス ホール」で検索すると、ネット通販などで購入が可能です。
〔おすすめ精油〕
スイートマジョラム、ゼラニウム、オレンジ・スイート
※ドライハーブ、精油の選び方については、文末コラム「ドライハーブの選び方」/「精油の選び方」をご覧ください。
- 〔用意するもの〕
- 天然塩(粗塩) 大さじ3杯
※精製塩ではなく、粗塩を選びましょう。スーパーマーケットで購入できます。 - 重曹 大さじ3杯
- クエン酸 大さじ1杯
- お好みのドライハーブ 適量
※または精油 5滴 - ビニール袋 1枚
〔How to〕
- ビニール袋に天然塩、重曹、クエン酸を入れ、よく混ぜ合わせる。
- お好みのドライハーブまたは精油を入れ、さらによく混ぜ合わせる。
- ビニールの中でおにぎりを握るようにギュッと握り、丸めていく。
○ポイント
・塩の水分で材料をまとめて固めるため、素材をよく混ぜ合わせてから丸めるのがポイントです。
・ドライハーブを使用する際は、ローズのつぼみやハイビスカスのホールなどお湯の中に散らばりにくいハーブを選ぶとよいでしょう。
・湯船につかるタイミングで浴槽に入れると、目の前で発泡し、香りも存分に楽しめます。
・作った後は早めに使用しましょう。時間が経つと炭酸が抜けてしまい、発泡が穏やかになります。
○アレンジ方法
・作る時に天然色素を加えて混ぜ合わせると、カラフルなバスボムが作れます。
※色素は浴槽につくと沈着することがあるので、入浴後は早めに湯を抜き、洗浄しましょう。
・中にオモチャを入れると、浴槽に入れた時にシュワシュワとオモチャが飛び出し、子どもも喜ぶバスボムに。
※制作の際の注意事項については、文末コラム「制作の注意事項」をご覧ください。
体を芯から温める
ハーバルバスソルト
天然塩が持つ保温&血行促進作用とハーブの有効成分を組み合わせて、体を芯から温める入浴剤を作りましょう。
塩とドライハーブをあらかじめ混ぜてビン容器に入れておくと、見た目にも楽しいバスソルトの完成。ハーブティーとして購入したドライハーブをバスソルトに混ぜて活用するのもよいでしょう。
お湯をはった湯船にバスソルト1回分を入れてよくかき混ぜ、ぬるめのお湯で10分から20分ほど浸かるのがおすすめです。
ヨーロッパ、特にドイツでは海水など海の恵みによって自然治癒力を高める「タラソテラピー」が医療に活用されてきました。バスソルトは、タラソテラピーの要素を家庭でも取り入れられる手軽なアイテムと言えます。
〔おすすめドライハーブ〕
ローズマリー:血液循環を高める働きがあり、冷えの改善に。抗酸化作用があり、アンチエイジングとして期待されます。
ジャーマンカモミール:保湿作用、皮膚の炎症を鎮める作用があり、美肌効果が期待されます。
ローズ(つぼみ):エモリエント作用(皮膚を柔らかくし、潤いを保つ働き)を持つスキンケアによい代表的なハーブ。肌に潤いを与えます。
ハイビスカス(ホール):代謝を促す作用が期待できます。お湯がほんのり赤くなります。
〔おすすめ精油〕
ローズ、スイートマジョラム、オレンジ・スイート、ゼラニウム、ローズマリー
※ドライハーブ、精油の選び方については、文末コラム「ドライハーブの選び方」/「精油の選び方」をご覧ください。
- 〔用意するもの〕1回分
- 天然塩大さじ 2杯
- ドライハーブ 20g
※または精油 5滴
〔How to〕
- 器に分量の天然塩、ドライハーブ(または精油)を入れ、スプーンで混ぜてできあがり。
○ポイント
・配管のつまりや浴槽の傷つきが気になる方は、ティーバッグやガーゼ、メッシュの袋に入れて使うのがおすすめです。
・数回分をまとめて作る時は、密閉容器に等倍の材料を入れてふたをし、よく振ります。保管の際は高温多湿を避け、1カ月を目安に使い切りましょう。
みかんの皮を天日干しし、小さく砕いて天然塩と混ぜて使っても◎。
柑橘類の皮に含まれるリモネンは血行促進作用が期待できます。冬至に入る「ユズ湯」は、リモネンの作用で血行を促して体を芯から温めます。「これから益々寒くなる季節を元気に過ごそう」という、実に理に叶った和のハーバルバスなのです。
※制作の際の注意事項については、文末コラム「制作の注意事項」をご覧ください。
肌荒れ&乾燥肌対策に!
ハーバルバスハニー
はちみつは、古くから抗炎症作用や保湿作用を持つことで知られています。そんなはちみつとハーブを組み合わせると、肌をしっとりさせるスイートな入浴剤になります。はちみつをお湯に入れても、肌がべたつくことはありませんのでご安心を。
ラベンダーやローズマリー、ミントなどハーブの花から採れたはちみつもあるので、香りの違いを楽しんでみるのも素敵ですね。
〔おすすめドライハーブ〕
ローズ(つぼみ):エモリエント作用(皮膚を柔らかくし、潤いを保つ働き)を持つスキンケアによい代表的なハーブ。肌に潤いを与えます。
ハイビスカス(ホール):代謝を促す作用が期待できます。お湯がほんのり赤くなります。
ローズマリー:血液循環を高める働きがあり、冷えの改善に。抗酸化作用があり、アンチエイジングとして期待されます。
ジャーマンカモミール:保湿作用、皮膚の炎症を鎮める作用があり、美肌効果が期待されます。
〔おすすめ精油〕
ローズ、スイートマジョラム、オレンジ・スイート、ゼラニウム、ローズマリー
※ドライハーブ、精油の選び方については、文末コラム「ドライハーブの選び方」/「精油の選び方」をご覧ください。
- 〔用意するもの〕1回分
- はちみつ大さじ 2杯
- ドライハーブ 20g
※または精油 5滴
〔How to〕
- ■ドライハーブを使用する場合
- ティーバッグやガーゼ、メッシュの袋にドライハーブを入れ、はちみつと一緒に湯船に入れる。
- ■精油を使用する場合
- 器にはちみつと精油を入れて混ぜ合わせ、湯船に入れる。
※制作の際の注意事項については、文末コラム「制作の注意事項」をご覧ください。
ハーバルライフを楽しむ「基本のき」
ハーブや精油の選び方&制作の注意事項
★ドライハーブの選び方
ハーブ専門店や百貨店、輸入食品店やスーパーマーケットで"食品"として販売されているドライハーブを選びましょう。ハーブティーのハーブも活用できます。パッケージの表示をよく見て、複数種のブレンドハーブティーではなく、目的のハーブ単体のハーブティーを選ぶと使いやすくて便利です。
"雑貨"扱いのものは、着色料などの添加物、残留農薬などの安全性が確認できないので使用しません。ドライハーブに香料をつけている"フレグランス用ポプリ"と間違えないようにしてくださいね。
★精油の選び方
パッケージや瓶の表示をチェックし、100%天然のものを使用します。目安として「100% pure nature」や「AEAJ(日本アロマ環境協会)表示基準適合認定精油」と書いてあるものをセレクトするとよいでしょう。
精油はそれぞれ植物から採れる量が異なります。採油量の多い柑橘類やハーブ系は入手しやすいですが、量が採れないバラやジャスミンなどの花精油は高価です。そのため、雑貨店などで、バラもラベンダーもレモンも全て均一価格で売られているものは、合成オイルの可能性が高いので注意が必要です。
◎各精油の効能
スイートマジョラム:血行促進、体を温める作用があり、冷え対策にも有効です。
ゼラニウム:皮脂分泌のバランスを整え、肌を潤します。肌のアンチエイジングにも。
オレンジ・スイート:血行を促し、老廃物を排出して肌を整える働きが期待できます。
ローズ:エモリエント作用(皮膚を柔らかくし、潤いを保つ働き)を持つスキンケアによい代表的なハーブ。肌に潤いを与えます。
ローズマリー:血液循環を高める働きがあり、冷えの改善に。抗酸化作用があり、アンチエイジングとして期待されます。
★制作の注意事項
◎精油の分量について
人によっては香りが強いと感じるかもしれないので、香りを試してみて強く感じたら入れる分量は少なめから始めるとよいでしょう。
◎子どもの使用について
精油が入った入浴剤を使用するのは、3歳以上からとされています。3歳以上でも精油はレシピの半分以下を目安にしてください。ドライハーブの使用については特に制限はありませんが、様子を見ながら使用してください。
この方にお話を伺いました
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ所属 葛和恵奈子 (くずわ・えなこ)

英国IFAアロマセラピスト/AEAJアロマセラピスト/AEAJアロマセラピーインストラクター/メディカルハーブコーディネーター/RTAベビーマッサージセラピスト
編集者として取材で出会ったハーブ&アロマのチカラに魅せられ、メディカルハーブ健康術&生活術を学ぶ。専門学校講師として、またイベントやセミナーでTPOに合わせたハーブ&アロマ活用方法を伝えている。2児男子の母。