料理家として活躍する副島モウさんに、ハーブやスパイスの個性を楽しむレシピを教えていただく連載第4回。今回は、ヨーロッパで古くから薬草として利用されているセージを使ったレシピをご紹介します。
多くの効能を持つ
セージの起源
ヨモギに似た爽やかな芳香とほろ苦さが特徴のセージは、樹高80cmになるシソ科の低木です。地中海地方やアフリカが原産で、古くから魔除けや浄化に使用されてきました。多くの作用を持つことから、古くから薬草として様々な場面で重用され、ラテン語で「救う」を意味する「salvare」がセージの語源と言われています。
「長寿のハーブ」
セージの効果効能
抗菌作用があるため、のどの痛みや口内炎、風邪や気管支炎の初期症状に効果的。セージティーを冷ましてうがいに使うのもおすすめです。ホルモンに働きかける作用もあるため、更年期の症状や月経痛、PMSなど、女性の不調にも効果が期待できます。
ヨーロッパでは「庭にセージを植えている人は死ぬはずがない」ということわざがあるほどで、他にも、抗酸化作用や消化促進作用など様々な作用があります。
肉料理や乳製品におすすめ
セージの使い方
防腐効果のあるセージは、肉の防腐と香りづけのためソーセージに使われることで有名です。セージを使うことから「ソーセージ」という名前がついた、という説もあるほど。ドイツ料理やイタリア料理に欠かせないハーブで、肉の臭み消しや、防腐効果を上げるために使われます。脂っこい料理に使用するとすっきり仕上がりますよ。
また、乳製品との相性がよく、ホワイトソースや、バター炒めに少し加えると風味が格段にアップします。
ホームパーティーやピクニックにも!
セージが香るパテ・ド・カンパーニュのレシピ
セージの防腐・消臭効果を活かした、フランス料理の定番「パテ・ド・カンパーニュ」。少し時間はかかりますが、自宅でできるようシンプルなレシピに仕上げました。
ディナーはもちろん、急な来客時の前菜、ワインのおともにおすすめです。また、サンドイッチの具材やサラダに使っても美味しくいただけます。冷蔵庫で1週間は保存できるのでストックしておくのも良いですね。
- 〔材料〕12cmのココット型1個分
- 玉ねぎ.............................................1/2個
- バター.............................................大さじ1
- 鶏レバー..........................................200g
- 豚ひき肉(赤みが多いもの).........300g
- 卵.....................................................1個
- 塩.....................................................10g
- 黒胡椒.............................................適量
- にんにく(すりおろし)..................1片
- セージ...............................................3g
- 赤ワイン..........................................大さじ2
〔作り方〕
- セージは、上に飾る3枚を残して、細かく刻む。
- 玉ねぎをみじん切りにしてバターでしんなりするまで炒め、バットに取り冷ましておく。
- 鶏レバーは血管を取り除き、氷水でよく洗って水気をふき取って細かくする。
- ボウルに豚ひき肉と2.3.を入れて、全体がもったりとするまで手でよく混ぜる。
- 4.に卵を加え、塩、胡椒、にんにく、セージ、赤ワインを加え、さらによく混ぜる。
※お好みでアーモンドや、くるみ、ナッツを加えても◎。 - 空気が入らないよう、型に打ち付けるようにして生地を入れ、残しておいたセージをトップングする。
- 表面をアルミ箔でくるみ、お湯をはったトレーに型ごとおいて、160度のオーブンで60分蒸し焼きにする。
※型はグラタン皿(小)やパウンドケーキ型で代用できます。大きさによって焼き時間がかわるため、45分たったら一度焼き加減をチェックしましょう。 - 中心部に串を刺して透明な汁が出れば焼き上がり。上に重石をのせて、粗熱が覚めたら冷蔵庫で冷やす。
※1晩以上置くと、味がなじみ、さらに美味しくなります。
○アドバイス
・しっかりとパテが冷えていることを確認してから切り分けましょう。切った瞬間から表面が変色していきますので、切ったらすぐにいただきましょう。
・保存する際は、切り口にぴったりとラップを貼り付け、冷蔵庫に。1週間を目途に食べきってください。
・付け合わせに、粒マスタード、練りマスタード、和からし、ピクルス、エキストラバージンオリーブ油、パン等を添えても美味しくいただけます。
この方にお話を伺いました
副島モウ (そえじま・もう)
エコール辻フランス・イタリア料理カレッジに入学。TOULOUSE Les Jardin de l’Operaにて修行。帰国後、GRAND HYATT TOKYO、BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYOを経て料理研究家パトリスジュリアン師に師事。レシピ開発、料理教室(L’atelier nuage)、フードコーディネーション、RENDEZ-VOUS DES AMIS(鎌倉小町)オーナーシェフとその活動は多岐にわたる。