芍薬

芍薬[シャクヤク]

Paeoniae Radix

シャクヤクは婦人病の要薬として、「美」にも縁の深い生薬です。

芍薬
シャクヤクPaeonia lactiflora Pallasの根。初夏に可憐で美しい花を咲かせることでも、古くから人々に愛されている植物です。
シャクヤクの効果と効能

血液を滋養し、婦人科系の働きを整える働きがあります。漢方では益気・補血薬(婦人向けの強壮薬)として、月経不順・生理痛・冷え症(冷え性)・不妊症・帯下などに使われてきました。
シャクヤクに含まれるペオニフロリンなどの有効成分には鎮痛鎮静・筋弛緩・抗けいれん・血管拡張・抗炎症など幅広い効果が報告されており、筋肉のこり・腹痛・身体疼痛・手足のひきつれ・胃けいれん・下痢などに応用されます。

薬酒として服用すると、アルコールとの相乗効果により、さらに緊張を緩めて血の巡りをよくする効果が発現しやすくなります。シャクヤクだけというよりも、ほかの生薬と配合して用いることが多い生薬です。

芍薬
シャクヤクこぼれ話

美しい女性をたとえて、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれます。可憐で美しい花を咲かせるとともに、この生薬を服用する女性は、シャクヤクの花のように晴れやかで美しくなるという意味も秘められています。シャクヤクが配合された漢方処方「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、代表的な婦人薬として、冷え症(冷え性)・月経不順・不妊症・産前産後などの際に、第一に選択される薬です。竹久夢二の絵に出てくるような「色白・やせ型でむくみやすく、冷えに敏感な蒲柳の質」タイプの方に用いられます。さしずめ色白美人に合う薬といってよいでしょう。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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